刃は回転式ファインセラミックス。

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男子はたいてい体育の時間が好きなものだが、運動音痴だった私はその時間が大嫌い。代わりに、学校の工作の時間が一番好きだった(手先が器用だったので)。しかし思い出すと、工作のときいつも苦労したのが、滑らかな曲線に沿って紙を切り抜くこと。ふつうのカッターではどうしてもうまく切れないのでハサミを使う。だが、ハサミもコツを覚えないとキレイな曲線に切れないもの。そこで、曲線を得意とするカッターを見つけたので試してみることにした。

それは、マウス型カッター『Line ライン』(長谷川刃物)で、パソコンのマウスをいじっていた社員が「これで紙が切れたら面白いかも」という一言がきっかけで誕生したという風変わりな製品。実際、マウスの先になにやら突起物が付いたような外観。これがまさかカッターだと一目で分かる人は少ないだろう。

突起物の先に回転式のファインセラミックスの刃が付いており、本体のボタンを押しながら動かすと紙が切れる仕組み。刃の耐久性は直線距離で約2000メートル。切れる紙は新聞紙、雑誌、コピー用紙など比較的薄いもので、基本的に写真印画紙などの厚紙は切れない。

では早速、その切れ味を試してみた。
今年の干支は辰であり、筆者の名前には竜が入っているので、「竜」の字を切り抜いてみることにした。まず、切り抜く上で気をつけたことは直線部分はふつうのカッターで切り、曲線部分だけ同製品を使うということ。説明には定規に沿って本体を動かせば正確な直線で切れるとあるが、とりあえず今回は慣れたふつうのカッターで切ったほうが無難と判断した。

さて問題の曲線部分。とその前に、余白で試し切りをしてみたが、スムーズに流れるような曲線で切れるのに感動した。この切れ味、使い心地はふつうのカッターでは到底味わえない。手の動きに忠実に刃が従うという感じ。このまましばらく余白で遊んでいたいと思うほど、とても気持ちよかった。

いよいよ本番。緊張しながら神経を集中してカッティング作業。しかし、やってみると結構難しいことに気づいた。というのは、刃と切り抜く対象物との距離感がうまく掴めないのだ。従来のカッターなら、定規を対象にあて、それに沿って切るので簡単(あくまで直線の場合)。だが、『Line』では切る対象が曲線であり、基本的に定規は使えない。そのうえ、回転式なのでそのときどきの刃の方向を正確に確認しなければならず、さらに刃そのものが突起物の陰になって見づらいかったりするので、刃をうまくコントロールできない。そこで、上からではなく真横から刃の部分を見ながら慎重に切り進むと多少うまくできる。

だが結果、やはり余白が少し残ってしまった。初めて使うカッターなので仕方ない。今後も使い続ければ熟練してもっとうまく切れるようになるだろう(多分!?)。

このマウス型カッターを使えば一躍職場の人気者(?)になるかは定かでないが、スラスラとキレイにカッティングできればちょっと格好いいと思う。
(羽石竜示)