オリジナルはパート2まで出ている『計算力を強くする』。今後、こちらも漫画化の可能性があるかも。

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算数が得意な子でも、意外と苦手なのが「量感」や「概数」の問題だ。

たとえば、大人の場合、スーパーで、レジに行く前にだいたいの金額が計算できる人は結構いるもの。
また、「500円玉でお釣りをもらうお金の出し方」「小銭を極力減らすお金の出し方」なんかも、得意だ。
さらには、バーゲン会場で「3割引の服1枚と、5割引の服1枚、7割引の服1枚の合計額」なんて複雑な計算も、頭の中でパッとできてしまったりする。

ところが、子どもの場合、鉛筆を持って教科書や問題集の問題をスラスラ解くことはできても、この手の「ざっくりと頭の中で把握する」ことは得意じゃない子が、実に多い。
「経験の差」と言ってしまえば、それまでだけど……。

そんな疑問を抱えているとき、出合ったのが、昨年10月に刊行された『マンガで読む 計算力を強くする』(がほんみほ 漫画/講談社)だ。
これは、6年ほど前にブルーバックスで刊行された鍵本聡氏著の同名オリジナル本を漫画化したもの。
きっかけなどについて、担当編集者に聞いた。

「文字だと説明が難しくなりがちなので、小学生でも読めるように漫画にしたというのが大きな理由です。マンガは皆さんよくお読みになりますし、学習漫画もドラえもんとか、キャラクターを使ったものもたくさんありますよね」

50年近く続くブルーバックスの歴史の中で、実はマンガは10冊以上あるそうだが、これまでのマンガと大きく異なるのはオリジナルの描き下ろしではないことだそう。
「弊社でも『少年マガジン』『週刊モーニング』などの漫画雑誌をいろいろ出していますが、漫画雑誌で描いている漫画家さんはすごく原稿料が高くて、オリジナルではお願いできないという事情がありまして。そこで、もともと本になっているものを漫画にしようと企画しました」

ブルーバックスのシリーズは、科学的に物を考える習慣や、科学的に物を見る目を養うことを最大の目標にしているだけあって、非常に内容の濃い秀逸な本が多い。だが、いかんせん難しく、特に文系の人や子供などには敷居が高い印象もあるけれど……。
「マンガ化した理由はまさにそこで、狙い通り小学生や女性にも買っていただいており、ご好評いただいております」

本書では、たとえば、「12×35」を瞬時に計算する方法などが紹介されている。
1ケタの掛け算は簡単だけど、2ケタになると考えてしまうという人は多いもの。
そこで、2ケタの掛け算を1ケタに変えてしまう、つまり、「35に2をかけて70にしてしまう」→「その分、12を2で割る」というやり方だ。

12×35=

(12÷2)×(35×2)=

6×70=420

数年前に「インド式計算術」なるものが流行ったが、これに限らず、「5をかける、5で割る」ことや、「計算の順序を入れ替える」、「数字を瞬時に頭の中でグループ化する」ことなどのちょっとしたコツで素早く計算ができるとしたら?

ちなみに、気になるのは、漫画化することによって、情報量がぐんと減ってしまいそうなことだが、
「方法のハウツーや極意、問題そのものも情報量も、漫画にすることで変えていることはほとんどありません」
と、担当者。

まずは手軽な漫画で、数字の世界に触れてみては?
(田幸和歌子)