グアムのスポーツバーでスーパーボウル出場チームを決定するNFCファイナルを観る人たち。時差の関係で月曜の朝9時半。みんな仕事はどうしてるのでしょう!?

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前回ご紹介したように、アメリカンフットボールの全米王座を決定する「スーパーボウル(SB)」のアメリカでの人気は超絶的。表題のとおりTV視聴率も20年連続で40%を越えるスーパーイベントです。

そのお祭り騒ぎ便乗して日本でも盛り上がろう! ……と思っても肝心のアメフトのことが全然わからないんじゃ元も子も。

でも大丈夫! 

「今年のSBはアメフトをはじめて観戦する方にとっては最高のゲームですね」

そう力強く太鼓判を押すのは今年アメフト日本一になったオービック・シーガルズの元QB(クォーターバック)で、現在慶應義塾高校アメリカンフットボール部の監督でいらっしゃるNFL(米アメフトプロリーグ)にも詳しい井上浩樹さん。

―― どういうことですか?

「今回は点がたくさん入る派手な分かりやすい試合になる可能性が高いと思います」

「アメフトの試合の中には守備ががんばってなかなか点が入らない玄人好みをするような試合もあるのですが、やはり初めて観る人が一番盛り上がるのはタッチダウン(相手の陣地のゴールエリアにボールを運び込むこと。6点入る)」

「今回出場のNY(ニューヨーク)ジャイアンツとNE(ニューイングランド)ペイトリオッツで攻撃の中心になるQBはともにNFLを代表する好選手でパス攻撃による得点の取り合いが予想されます」

―― ということはカッコいいロングパスが期待できるということですね。

「はい。そうですね。でもそれだけではありません。両チーム、そして両QBは対照的で少なからぬ因縁を抱えています。そのサイドストーリーもふくめてアメリカではかなり盛り上がってきていますね」

―― 因縁? サイドストーリー? どういうことですか?

「まずNEは優勝候補としてプレーオフを勝ち上がることが有力視されていたいわばエリートチーム、他方NYはあと1敗していればプレーオフにも出場できないような状況の中、シーズン後半チーム力をあげSBにまで這い上がってきたチームです」

「またNEのQBのトム・ブレイディーはこの10年間でNFL最高のQBのひとりとされています。特にSBでの活躍が顕著で過去に3回も優勝しており、今年も勝てば史上最高のQBの一人に数えられることは間違いないでしょう。」

「そのブレイディーとともに2000年以降のNFLを牽引してきたQBにインディアナポリス・コルツのペイトン・マニングという選手がいます。両選手甲乙つけがたいスーパープレーヤーですが、今回ブレイディーが対戦するNYのQBイーライ・マニングは実はペイトンの弟。イーライは兄ペイトンと比べられ続け、その影にいる印象が強かっただけに今回勝って自らも超一流であることを証明したいでしょうね」

―― それを知って観ると面白そうですね。

「さらに両チームは2007年のSBでも対戦しているんです。そのときは圧倒的に不利の下馬評をひっくり返してイーライ率いるNYが勝利しました。それだけにNEのブレイディーは期するところがあるでしょう」

「ただ今回のSBの会場はイーライの兄ペイトンが所属するコルツの地元インディアナポリス。地元の観客は皆イーライを応援することが予想されます」

―― おお、確かに少なからぬ因縁だ。こういうストーリーがあると俄然興味が湧きますね。

「NEのQBトム・ブレイディーが4度目のチャンピオンになり、NFL史上最高のQBの栄光を掴むか、NYのイーライ・マニングが兄の実績を超えて勝負強さを発揮するか、大注目スーパーボウルになりそうです!」
NFL第46回スーパーボウルのキックオフは日本時間の2月6日(月)午前8:30。NHKのBS1で生中継されます。さすがにその時間は仕事があって生放送は観られないという方には、当日夜にファンが一堂に会して盛り上がるパブリックビューイングのイベントもあるみたいですよ。

全米が一番盛り上がるイベント・スーパーボウル、一度体験してみてはいかがですか?
(鶴賀太郎)