時々落ちてくる困ったアレ……「鳥のフン」が白いのはナゼ!?
気持ちよく晴れた春のある日。同僚と外でランチをしていたところ、かなり大量の鳥のフンが彼女の頭に直撃し、髪の毛が大惨事に……なんて、だいぶ昔のエピソードを今でも鮮明に覚えていますが、「鳥の糞が髪に付いた」「洋服に落ちた」という経験が全くない、という方は珍しいのではないでしょうか。
地上で生活をする人間からすれば、ちょっと困った存在のアレ。鳥が飛びながらフンをする理由は、「少しでも身体を軽くして、飛びやすくするため」ということが有名ですが、なぜ、白いのか。ふとそんな疑問を感じました。ほとんど多くの生物のフンは、茶色か黒色系統のはず。確かに、食べる物の色によって、フンの色が影響される、という可能性もあります。カタツムリなどが、ピンクの食べ物を食べればピンクのフンをし、青い食べ物を食べれば青いフンをすることは有名ですね。しかし、鳥は白いものばかり食べているかといえば、そうではありません。多くの鳥は「雑食」で、ミミズ、昆虫、木の実に魚……等々、様々なものを食べています。それなのに、なぜ鳥のフンは白いのでしょうか?
■ 白い部分は、いわゆる「おしっこ」だった!?
動物行動学者の竹内久美子氏が、著書『遺伝子が解く!アタマはスローな方がいい!?』にて、この疑問に答えてくれています。老廃物のなかで、一番問題になるのは、実はタンパク質を分解した後にできる「アンモニア」だそうで、生き物にとっては、大変有毒な物質なのだそうです。魚などは、すぐにそのままの形で排出しますが、人間などのほ乳類は、体内でいったん無害な「尿素」に変えてしまい、ある程度たまった排出する……という仕組みになっています。
では、問題の鳥は、どうしているのでしょう。まずそもそも、鳥は「卵」のなかからヒナとして生まれるのですが、卵のなかで尿素として排出しまえば、殻のなかが尿素でいっぱいになってしまいます。そのため、「尿酸」という、水に溶けない物質に変えて、有毒なアンモニアを排出する、という仕組みを取っているそうです。この「尿酸」が、白い固まりをしているのですね。
つまり、「鳥のフンが落ちた〜」と普段言っているアレは、実のところ、「フン」と「尿酸」の混じったもの。落ちたフンをよくよく見ると、確かに白いところと、黒い部分が混ざっていますね。白い部分は、何やらネバっとしていますが、あれは人間でいうところの「おしっこ」だったのです。
■ 飲まず・出さずで、空を飛んでいる!?
さらに、鳥が「尿素ではなく、尿酸を排出すること」を採用した経緯には、もう1つの理由も考えられるそうです。『鳥の雑学事典(山階鳥類研究所編/日本実業出版社)』によれば、鳥は飛ぶために、とにかく体重を軽くしなければならないため、なるべく水も飲まないし、排出もしない、という対策をとっているそうです。しかし、ほ乳類のように、アンモニアを水に溶ける「尿素」に変えてしまったら、水も同時に排出されてしまい、体内に保持している貴重な水が奪われてしまいます。そこで、水に溶けない「尿酸」として排出することにしたのではないか……ということなのです。
人間の女優さんの中には、「撮影の際、汗をかかないために、あまり水を飲まない」という方もいらっしゃると聞きますが、鳥たちも、「水分を飲まない、そして出さない」という手段で、「飛べる体重と水分量」を調節していたのですね。フンの『成分』を工夫したり、水もほとんど飲まなかったり……と、鳥にとっても、「空を飛ぶこと」は本当に大変なんだなぁ、としみじみ感じた次第です。今度、頭に白い“アレ”が落ちてきたときには、是非こんなこと、思い出してみてくださいね。
(外山ゆひら)
地上で生活をする人間からすれば、ちょっと困った存在のアレ。鳥が飛びながらフンをする理由は、「少しでも身体を軽くして、飛びやすくするため」ということが有名ですが、なぜ、白いのか。ふとそんな疑問を感じました。ほとんど多くの生物のフンは、茶色か黒色系統のはず。確かに、食べる物の色によって、フンの色が影響される、という可能性もあります。カタツムリなどが、ピンクの食べ物を食べればピンクのフンをし、青い食べ物を食べれば青いフンをすることは有名ですね。しかし、鳥は白いものばかり食べているかといえば、そうではありません。多くの鳥は「雑食」で、ミミズ、昆虫、木の実に魚……等々、様々なものを食べています。それなのに、なぜ鳥のフンは白いのでしょうか?
動物行動学者の竹内久美子氏が、著書『遺伝子が解く!アタマはスローな方がいい!?』にて、この疑問に答えてくれています。老廃物のなかで、一番問題になるのは、実はタンパク質を分解した後にできる「アンモニア」だそうで、生き物にとっては、大変有毒な物質なのだそうです。魚などは、すぐにそのままの形で排出しますが、人間などのほ乳類は、体内でいったん無害な「尿素」に変えてしまい、ある程度たまった排出する……という仕組みになっています。
では、問題の鳥は、どうしているのでしょう。まずそもそも、鳥は「卵」のなかからヒナとして生まれるのですが、卵のなかで尿素として排出しまえば、殻のなかが尿素でいっぱいになってしまいます。そのため、「尿酸」という、水に溶けない物質に変えて、有毒なアンモニアを排出する、という仕組みを取っているそうです。この「尿酸」が、白い固まりをしているのですね。
つまり、「鳥のフンが落ちた〜」と普段言っているアレは、実のところ、「フン」と「尿酸」の混じったもの。落ちたフンをよくよく見ると、確かに白いところと、黒い部分が混ざっていますね。白い部分は、何やらネバっとしていますが、あれは人間でいうところの「おしっこ」だったのです。
■ 飲まず・出さずで、空を飛んでいる!?
さらに、鳥が「尿素ではなく、尿酸を排出すること」を採用した経緯には、もう1つの理由も考えられるそうです。『鳥の雑学事典(山階鳥類研究所編/日本実業出版社)』によれば、鳥は飛ぶために、とにかく体重を軽くしなければならないため、なるべく水も飲まないし、排出もしない、という対策をとっているそうです。しかし、ほ乳類のように、アンモニアを水に溶ける「尿素」に変えてしまったら、水も同時に排出されてしまい、体内に保持している貴重な水が奪われてしまいます。そこで、水に溶けない「尿酸」として排出することにしたのではないか……ということなのです。
人間の女優さんの中には、「撮影の際、汗をかかないために、あまり水を飲まない」という方もいらっしゃると聞きますが、鳥たちも、「水分を飲まない、そして出さない」という手段で、「飛べる体重と水分量」を調節していたのですね。フンの『成分』を工夫したり、水もほとんど飲まなかったり……と、鳥にとっても、「空を飛ぶこと」は本当に大変なんだなぁ、としみじみ感じた次第です。今度、頭に白い“アレ”が落ちてきたときには、是非こんなこと、思い出してみてくださいね。
(外山ゆひら)