「すべらない砂」で、合格祈願!

写真拡大 (全2枚)

2月が近付くと、いまだにソワソワする。そして、思い出す。受験のことだ。スロースターターの私は、最も根を詰めたのが1月だった気がする。もう、勉強しまくり。ゲン担ぎまくり。土壇場になった私は、「力になる」と思うもの全てに手を出していた。

そんな当時の私なら、きっとこれも見逃してなかったに違いない。鹿児島市交通局は、電車の車輪がすべらないように撒く砂を『すべらない砂』と名付け、受験や就職活動を控える学生たちにプレゼントしているという。

この試みがスタートしたのは、2011年1月。昨年度の受験生に向け、パッケージしたのが始まりだった。
「運行する際、油分が含まれたイチョウの葉によって電車がスリップしやすくなることがあるんです。その危険性が確認されたら、レールにこの砂を撒いてすべらないようにしています」(同局・担当者)
ちなみに、これはただの砂ではない。鹿児島県日置市日吉町吉利の山から採取した、水分を吸いにくい特殊なものを採用している。

このように安全面で大活躍している砂なのだが、「すべらない」という語呂合わせによってゲン担ぎにも大活躍。昨年度は、用意していた分がなくなってしまうほどの人気を誇ったそうだ。
「多く活用されていたのは、高校・大学受験の際のお守りとしてでした」(担当者)
同局には「おかげさまで合格しました」、「また、今年度も出さないのですか?」といった声が多く寄せられたという。結果、今年度も『すべらない砂』の配布が決定!

ちなみに、入手方法について。これは、実は販売商品ではない。
「鹿児島市高麗町の交通局乗車券発売所で取り扱っています。鹿児島市交通局のオリジナルグッズやラピトレカを購入していただいた方の中から、ご希望された方に無料で進呈させていただいております」(担当者)
なるほど、完全に善意で企画されたお守りのようだ。

そして、作り方について。総務課営業係職員がラミネーターを使用し、市電の写真と砂を手作業で加工して、お守りとして仕上げている。
「機材が詰まらないよう、砂を上手く一緒にラミネートするのが難しいんです」(担当者)
簡単に配布しているが、手間はかなりかかる。しかし同局の善意によって、何とかパッケージ化。だが、どうしても大量生産は困難なようだ。

当然、困難なのは受験も一緒。お守り代わりに『すべらない砂』を受験会場に持参し、ゲンを担ぐ受験生もいるとのこと。
「気持ちの上で、良い影響があれば……。喜んで使っていただけたら幸いです」(担当者)

そんな、この『すべらない砂』。皆からの好評を受け、今年のみならず来年度以降の配布も企画されているそうだ。
「恐らく、しばらくは続けていくと思います!」(担当者)

これは、実は受験生だけの問題ではない。社会人だって、すべりたくない瞬間はある。私にも試験や選考の機会は訪れるし、その度に「すべりたくない」と思って今までやってきた。
この『すべらない砂』に、あやかりたい。
(寺西ジャジューカ)