きょうも、救急車両はがんばっています(写真はイメージです)。

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近所でボヤ騒ぎがあったとき、20台くらいの消防車が出動していて驚いた。都市部の場合、火災の状況が正確にわからない限り、延焼の可能性を考えて大量の車両数で出動するということもあるのだろう。

ところで、ちょっと不思議なのは、事故の場合にも、大量の消防車がやってくること。
たとえば、先日、山手線のある駅で、ホームに人が転落したといった情報が入り、駅周辺に救急車両が大量に出動していた場面に遭遇した。
でも、来ている救急車は1台だけだったのに、消防車は15台以上もきていた。こういう状況は時折目にするけれど、いったいなぜ? 総務省消防庁に聞いたところ、こんな回答があった。
「緊急出動の際には、いわゆる『PA連携(ファイヤ・クイック・エイド)』といって、ポンプ車(Pumper)と救急車(Ambulance)が同時に出場することが効果的だと認められた際に、消防車も一緒に出動することになっています。救急隊の活動を支援するのが目的ですが、出動台数などは各本部の考え方や体制によるところで、一概に決まってはいません」

東京消防庁にも、同じ質問をしてみた。
「事象によって違いますが、火災ではなくケガ人がいる場合でも、救助活動・支援活動として、救急隊は救命処置等をするために一緒に出動することになっています。電車事故の場合、電車の下敷きになってしまったりするときには、ポンプ隊、レスキュー隊など状況に応じて必要になりますし、ケースによって活動が異なります」
そのため、たとえば救急車と消防車が1台ずつ出動しているときもあれば、救急車のほうが大量に出動することもある。また、出動した後に、必要によりさらに出動をかける場合もあるそうだ。
「たとえば電車での事故の場合、満員かそうでないかでも状況が異なりますし、トンネルの前とかでも事故の状況が大きく異なってきます。そうした場合、現場に着いてから応援の部隊を出動させたのでは対応が遅くなりますので、あらかじめ必要な部隊を出動させた上で、活動の必要がない部隊は帰ることになります」

救急隊は、ケガ人などの応急手当てをしながら容態観察をし、「搬送する」というのが主な目的。
だが、消防車の場合は、心肺機能が停止した人などに高度な救命処置を行う場合や、階段・通路などが狭く、傷病者の搬送が難しい場合などにも対応できる救急資器材や設備等が幅広く備えられているという。
「救急隊が出動しても、鍵が開かないというだけで消防隊が呼ばれることもあります」

救急隊と消防隊とは連携しつつも、目的や、車両に備えられた設備が異なるもの。救急隊と消防隊が同時に出動することにより、消防隊が先に到着し、積載している救急資機材で救急処置を行うことができることから、オールマイティな消防隊が多く出動を要請されるケースが都市部の場合は多数あるということのようだ。
(田幸和歌子)