ボストン・レッドソックスが、ダイスケ・マツザカと2007年から始まる6年契約を結んだとき、51百万ドルのポスティングフィーを含む101百万ドルを費やした。その時、彼らは三年目の壁の心配をしていた。ボストンのアナリストが分析した所、日本プロ野球からきた投手のほとんどは、メジャーリーグに来てから三年目に、明らかにパフォーマンスが低下するのだ。

レッドソックスは、登板間隔が短くなり、シーズンを通してよりパワフルな打線と対戦すること、野球、球場、トレーニングメニュー、街、遠征、文化、同じものが一つとして無い事を危惧していた。

なのでレッドソックスは、全てにおいてマツザカを甘やかしたのだ。彼らは、トレード拒否権、フィジカルセラピスト、マッサージセラピスト、通訳、メディア担当者、年8回のボストン-東京間のファーストクラスチケット、年100,000ドルの住宅手当、車、フェンウェイパークのボックスシート、そして日本の伝統的エースナンバーである18番のユニフォームを彼に与えた。彼らはまた、彼に必要な休みも与えた。2007年と2008年に61試合に先発したマツザカは、うち35回を6日か7日間隔で投げた。それは57%にもなる。

これだけの事をしたにも拘わらず、マツザカは壁にぶつかった。最初の2 シーズンのマツザカは、33勝15敗、防御率3.72だった。しかし3年目以降、彼は肩、股関節、肘の故障に見舞われ、16勝15敗、防御率5.03という成績だった。 彼はトミー・ジョン手術を受け、来シーズンの後半まで投げられそうにない。

NPB選手はどうすれば、再びフリーエージェントシーズンの重要な一部分として、かけた費用と同じだけの価値を持つメジャーリーガーに変わることが出来るのだろうか。今シーズンオフ、半ダーズ以上の日本人選手が、フリーエージェントかポスティングシステムによって、メジャーリーグに来ることが予想される。ポスティングシステムは、選手との独占交渉権を得るために、非公開で入札を行う。最も注目されるのは、日本ハム・ファイターズの右腕ユウ・ダルビッシュだ。もちろんチームがポスティングを受け入れればの話だ。

レンジャーズのサド・レビンGM補佐は言った。「先発投手たちについて事実が示しているのは、2年成功したあと急激にパフォーマンスが低下して、そして消えていくということだ。リリーバーの多くが、すぐに成功して長く活躍しているのに」

16 年前ヒデオ・ノモがメジャーリーグデビューし、日本球界からメジャーリーグに来る選手の先駆けとなった。43人の選手が、ノモを追ってやってきた。3人の選手(イチロー・スズキ、ヒデキ・マツイ、カズ・ササキ)が、2回以上オールスターに選ばれている。そして11人が、現役のメジャーリーガーだ。その中には、最も最近メジャーに来て打率.226、0本塁打と適応に苦労しているミネソタ・ツインズのツヨシ・ニシオカも含まれている。

ノモも3 年目の壁にぶつかった。彼は最初の2シーズンで29勝17敗、防御率2.90を記録したが3年目は防御率4.25だった。彼は4年目にトレードされ、次の年は自由契約になった。彼が本格的にカムバックするまで、数チームを渡り歩いた。彼が壁にぶつかったあとの防御率は4.61だった。

1995 年からノモを含めて 9人のNPB出身先発投手がメジャーリーグでプレーして、40回先発している。メジャーリーグをドジャース一筋で過ごし、現在はフリーエージェントのヒロキ・クロダ(防御率3・45)を除いた彼らのキャリア防御率は4.24〜5.72の間だ。それには、僅かしか先発していない、ケイ・イガワとジュンイチ・タザワは入っていない。

「君たちは、ここで素晴らしい活躍をした選手たちがいるのを知っているじゃないか」ドジャースのネッド・コレッティGMは言った。「ここに来た何人かは平均ぐらいで、何人かは平均を下回った。プロスペクトと似ている。それは基本的にいつでもケースバイケースなんだ。ただ私たちが知っているのは、スケジュールの進み方が違うこと。もちろん、野手か投手かでも違う」