2011年11月09日配信のメルマガより抜粋

 ここ数年、徐々に結果を出しながら「いいサッカーをする」という名声を得はじめている関東第一。チームを率いるのは、就任2年目、まだ30代前半という若さの小野貴裕監督だ。ポゼッションベースの攻撃サッカーを志向し、最終ラインからGKから徹底的につないで崩すスタイルは、選手権のような「負ければ終わり、3年生は即引退」の大会でも貫かれている。

 関東第一高のサッカーを見たのはこの日が初めてだったが、1試合見ただけでこのチームのスタイル、監督の手腕がわかるほど特長がピッチ上にはっきり出ている。試合後、その小野監督に1対1でじっくり話を聞いた。

 独特の言葉や表現法はあるとはいえ、そのサッカー観は興味深い。今年になるかどうはわからないが、遠くない将来、小野監督率いる関東第一高は東京都のみならず全国の舞台で旋風を巻き起こすだろう。それに向けた予習として、小野監督の言葉に耳を傾けてもらいたい。



――7−0の快勝となりましたが、簡単に試合を振り返ってもらえますか?

小野貴裕監督(以下、小野監督) 全然よくなかったですね。選手権の3試合とも点は取れていますが、自分たちのやりたい形での得点ではなかったです。やはり微妙な距離感の問題なんだと思います。1、2メートルのところで結構ずれるので。

 コンディションの良いときは前にボールがこぼれるんですけど、今日は前にボールがこぼれなくて、後ろ向きになってしまった。ですから結局マイボールになっても、相手にとって苦しいところにボールを入れることができていない。

 良い状態だと前向きにボールを奪って、早い段階で良いボールを前線の選手に入れることができるんです。チームとしては、流れの中でもカウンター気味の形と、差し込んだ(※『押し込んだ』の意)中でビルドアップする形がテーマなんですが、今日の試合ではなかなかできませんでした。

 相手は比較的前がかりに来ていたので、うちの中盤とDFラインが下がってしまい、その結果ボールを拾っても中盤の選手が後ろ向きになっていました。前向きにボールを取れる時は、うちが一番良い状態にある時ですね。

――「早い段階でDFラインが下がり過ぎた」とおっしゃっていましたが、選手権独特の緊張感が影響していますか?

小野監督 (相手の)前線の選手が少しやんちゃで速いっていうのはわかっていたので、リスクマネージメントじゃないですけど、「警戒しなさい」とは言っていました。ノーマークでやり合えば、たぶん警戒しないで行くこともできたんだと思います。それでも、ある程度は(選手権の緊張感が)影響していたと思います。

 第一試合の久留米(東久留米総合高)も、そうだったと思うんですね。久留米は最初やりたいことができなくて、修徳(修徳高校)の方がやりたいことをやれていました。たぶん、久留米はあんな形を予測していなかったはず。逆に、うちは早い段階で点が取れて試合が動いただけであって、内容や受けているイメージとしては、久留米と同じだったと思います。点差ほど楽なゲームではありませんでした。

――外から見ているほど、内容的に満足しているわけではないと?

小野監督 全然です。こないだの足立学園戦もそうでした。どうしても大雑把なゲームになってしまいますね。点差が動いたというのもあるとは思うんですけど、もう少し小気味いいサッカーをしたいなと。

――問題としては選手の距離感ですか?

小野監督 そうですね。出足の部分で距離が稼げなかったっていうのもあります。去年よりもパスは走っていると思いますが、一試合目(東久留米総合高対修徳高)の方がもう少しスリッピー(なピッチ)でボールが動いていた。もう少し球が走る方が、うちはやりやすかったと思います。それでも、思っていたよりは良かったかなという印象ですね。

――私は今日、初めて関東第一高校のサッカーを見せていただいたんですが、すごく良い印象を受けました。監督自身は、選手たちに具体的にどういうサッカーをしようと伝えているのですか?

小野監督 そうですね。単純に私は攻撃が好きなので、練習で「ボールを取られるのは良い選手ではない」と言っています。守備的なサッカーが悪いわけではないのですが、ベースは「攻撃ありきの守備」。逆ではないですね。

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