担当M(以下M):中村俊輔選手が日本に帰ってきました。ラモスさんもご自身の引退試合のセレモニーで最後のパスを中村選手に出すなど、思い入れがあるんじゃないですか。

ラモス(以下R):ありますよ。だけど、戻ってきた中村選手に最初から多くのことを期待してはダメだと思いますね。

M:バーレーン戦の中村選手の出来にも、あまり満足していらっしゃいませんでした。

R:すごく悪かったわけじゃないと思いますよ。彼に期待があるから評価は厳しくなってくる。もちろん、周りの動きが俊輔のいいプレーを引き出せなかったというのもありますね。ロングパスが少なかったのは、俊輔が出せなかったというのも、出す相手がいなかったというのもあると思いますから。それでもあんなもんじゃないでしょう、俊輔は。ケガが怖かったかもしれないけど、もっとすごいことをやれる選手ですよ。

M:それでは調子を崩しているということなんでしょうか。

R:いや、調子というより試合勘が戻ってないんだと思いますね。スペインであまり試合に出ていないでしょう? だから感覚が鈍っているんだと思っています。もしかしたら稲本潤一選手も同じかもしれないとも心配しています。

M:このままワールドカップまで調子が上がらないことはないでしょうか。

R:それはないと思いますね。だって俊輔は木村和司監督の下でプレーすることになるんでしょう? 木村監督なら俊輔にノビノビとサッカーをさせてあげると思いますね。そうすればすぐに感覚が戻ってくると思います。木村監督と俊輔なら通じ合うものも多いでしょうからね。日本代表では俊輔に自由にプレーさせてあげられないと思うけど、自分のチームなら自由にやらせてあげてもいいんじゃないでしょうか。いろんなことを要求しなければ、その分早くコンディションが戻ってくる。木村監督はそれを分かっていると思いますよ。

M:中村選手が復調するのにどれくらい時間がかかるでしょうか。

R:僕は3月一杯で大丈夫だと思います。4月からは普通の状態になるでしょうね。だけどそれまで周囲はいろいろ言うでしょう。本人は気にしないと思うけど、ともかく今は待ってあげることが大事だと思いますね。

M:ラモスさんが中村選手に今何か言うとすればどんなことを?
R:好きなサッカーをやってほしい。湘南戦は途中からの出場かもしれないけど、まず好きなサッカーをやってほしい。それだけですね。