「お金」と「卒業」--自由市場の荒波にさらされる私立学校--/中土井 鉄信
多くの私立学校が、私学助成の抑制や削減、また少子化のあおりなどで厳しい経営状況に直面している。そんな中、約7割の学校が学費未納者の卒業認定を認めていない。学費未納は自らが招いた問題といえばそれまでだが、学校側の厳しい対応の背景には、私立学校が自由経済市場の荒波にさらされているという止むにやまれぬ事情もあるのだ。
どんな職業でもそうだろうが、その職業に携わったものにしか分からな
いジレンマというものがある。私自身は教育を生業としているので、当然、
そのジレンマは、この日本で教育をすることの難しさに行き着いていくの
だが、最近、コンサルタントとして私立学校の経営に携わるようになり、
「教育」と「経営」という側面のバランスに関わる問題をいっそう考える
ようになった。
少々、以前の話になるが、5月1日付けの朝日新聞に
【「滞納者は卒業不可」 私立高7割が方針 私教連調査】という記事が
掲載された。
記事を要約すると、次のようになる。
全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)が、その組合員が在籍して
いる全国の私立高校(229校が回答)に学費未納者を卒業させるか、否
かという調査を行った。
その結果は「卒業式には出席させ、学費納入後に証書を渡す」が77校。
「式に出席させず、納入後に証書を渡す」が69校。
「除籍する」「留年させる」という学校が6校ずつ。
一方、卒業を認め、学費は後払いでよいとする回答は42校(18.3%)
にとどまったという。
実に学費未納を解決しない限り卒業させないという学校が、7割近くに
も及んでいるのが現状だ。最近になり、多くの私立学校が、私学助成の抑
制や削減、また少子化のあおりなどで厳しい経営状況に直面している中、
学校側の厳しい対応には致し方ない面も多いと思う。
しかし、卒業認定を授業料の未納があるからと言って一律に出さないの
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どんな職業でもそうだろうが、その職業に携わったものにしか分からな
いジレンマというものがある。私自身は教育を生業としているので、当然、
そのジレンマは、この日本で教育をすることの難しさに行き着いていくの
だが、最近、コンサルタントとして私立学校の経営に携わるようになり、
「教育」と「経営」という側面のバランスに関わる問題をいっそう考える
ようになった。
【「滞納者は卒業不可」 私立高7割が方針 私教連調査】という記事が
掲載された。
記事を要約すると、次のようになる。
全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)が、その組合員が在籍して
いる全国の私立高校(229校が回答)に学費未納者を卒業させるか、否
かという調査を行った。
その結果は「卒業式には出席させ、学費納入後に証書を渡す」が77校。
「式に出席させず、納入後に証書を渡す」が69校。
「除籍する」「留年させる」という学校が6校ずつ。
一方、卒業を認め、学費は後払いでよいとする回答は42校(18.3%)
にとどまったという。
実に学費未納を解決しない限り卒業させないという学校が、7割近くに
も及んでいるのが現状だ。最近になり、多くの私立学校が、私学助成の抑
制や削減、また少子化のあおりなどで厳しい経営状況に直面している中、
学校側の厳しい対応には致し方ない面も多いと思う。
しかし、卒業認定を授業料の未納があるからと言って一律に出さないの
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