「事業譲渡」というM&Aスキームを使った部門売却について解説します。

2つの環境変化
M&A仲介事業をしていていると、景気の動向を肌で感じることが多々あります。昨今の出来事でいえば、我々を取り巻く環境が少しづつ、且つ大きく変化していったということ。まず第一に、米国サブプライムショックを引きがねに始まった世界金融危機。M&Aの観点でいうと、これまで積極的に買収していた海外ファンドや、大企業の買い控えなどに影響しました。また銀行の貸し渋りなどに起因して、資金調達は引き続き厳しい状態が続くでしょう。第二に、日本でも若いベンチャー経営者が出口戦略として、M&Aを考える様になってきている事です。IPOが困難になった昨今、上場ではなくてM&Aを考える経営者や、売却益で新事業を立ち上げたいと語る経営者は実に多いのです。弊社のお客様でも、売り手、買い手の両方に、若手経営者は多く目立ちます。売り手は、自分は立ち上げに向いていて、事業をある程度の所まで育てたので、後は経営に長けた者に事業を譲り、今以上に大きく育てていってもらった方が、会社にとっても社員にとっても幸せという考え方です。売却対象事業の従業員の雇用という面で言えば、通常のM&Aでは、社員の雇用はこれまでと同条件、又は、これまでの待遇よりも良くなる事から、売却された企業の社員は「M&Aされて良かったと思う」と答える事が多いのです。買い手は、新規事業立ち上げの苦労やリスクを熟知しているのと、「時間を買う」というM&Aの一番のメリットを理解し、事業拡大を夢に描いて、積極的に買収をしかけています。

売り案件の増加と実状

続きはこちら