地下鉄銀座線、産業遺産に認定。

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地下鉄と言えば、戦後に普及した近代的な交通システムという印象を持たれる人も多いだろう。大都会・東京の地下を縦横無尽に走る地下鉄には特にそうしたイメージが強い。しかし、東京メトロ銀座線は、実は戦前から走っているのだ。

このほど、日本初の地下鉄銀座線が、経済産業省の公式事業である「近代化産業遺産 続33」に認定された。


「近代化産業遺産」は、経済産業省が近代化を推進した産業を地域活性化に役立つものとして認定し、それらの活用を促進する取り組みである。昨年度から開始され、産業史や地域史に基づく33の近代化産業遺産群を取りまとめ、認定している。

本年度も引き続き「近代化産業遺産群 続33」が実施され、その一つに東京メトロの銀座線などが認定された。今月23日に経済産業大臣から認定書と銘板が贈呈されるという。

地下鉄銀座線は、1927年(昭和2年)に浅草−上野間で開業した日本初、そして東洋初の地下鉄で、その後1939年には2路線を併合して、渋谷まで延伸した。

もともとは、1927年から34年にかけて東京地下鉄道が開業した浅草−新橋間と、1938年から39年にかけて東京高速鉄道が開業した新橋−渋谷間の2路線が営業しており、新橋駅を境に違う会社の路線であった。東京高速鉄道が開業してからの9ヶ月間は、接続駅である新橋駅には両社のホームがあったが、1939年9月から浅草−渋谷間の直通運転が開始された。

そのわずか9ヶ月間だけ使われた東京高速鉄道の接続ホームは今も新橋の地下に残存しており、「幻の新橋駅」としてファンに親しまれている。今回、この「幻の新橋駅」や、現在は地下鉄博物館に展示されている日本初の地下鉄車両1001号車、浅草駅4番で入口上屋なども、「近代化産業遺産 続33」として認定された。

銀座線の地下鉄路線は、開業から80年以上経った今も現役で使われている。そして、ご存知渋谷駅は一日平均26万人近くの乗降客数を誇っている。記者も学生時代に銀座線を毎日利用しており、朝ラッシュ時の混雑には辟易していたものだ。

戦前から同じトンネルを走り、多くの人を運び続けている「現役の遺産」に今、乗っている。そう意識してみると、いつもの暗いトンネルの轟音が、どこか違って聞こえるかもしれない。

(編集部 鈴木亮介)

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