人気バラエティ番組『クイズ!ヘキサゴン?』の出演メンバーが一堂に介したアルバム『WE LOVE ヘキサゴン』が、10月22日に満を持して発売となった。中でも、タイトルに「完全限定生産盤」と謳っている「リミテッドエディション」は予約段階ですでに品切れ。大手ネット通販「Amazon」でも発売日前から総合2位の売れ行きだ。
 「おバカブーム」で今年最注目の話題番組となった『ヘキサゴン』が“記念碑”的役割も込めて出すアルバムの中身や背景を、せっかくなのでタテ・ヨコ・ナナメといろんな角度から味わってみたい。

<1>『ヘキサゴン』ファンとして楽しむ

 毎週水曜午後7時から『ヘキサゴン』を楽しみに見ている番組のファンとしては、この半年近く番組エンディングで聴き続けていた、羞恥心・Pabo・アラジン・ラクダとカッパ・misono&ヒロシ・エアバンド・一発屋2008らの歌唱曲がまとめて聴けるのはうれしい限りだ(番組人気に火がつく前の2006年に香田晋が歌ったエンディング曲『おかあさん』が収録されれば完璧コンプリートだったが、これはさすがに入らなかった)。

 番組発で大ヒットとなった『羞恥心』『泣かないで』『陽は、また昇る』はもちろん、番組オンエアで話題になった『我が敵は我にあり』『アブラゼミ♀(大阪バージョン)』『アブラゼミ♂(東京バージョン)』のフルバージョンもじっくり堪能できる。また、アルバムには『アブラゼミ♀』の里田まい・つるの剛士コンビによるカバーと『アブラゼミ♂』の上地雄輔・野久保直樹によるカバーも合わせて収録されていて、アルバムならではのお得さ。
 あわせて、ヘキサゴンファミリーのトレカ付録が封入。番組プロデューサー・神原孝氏によるライナーノーツの裏話もスパイス的楽しさを加えている。


<2>懐かし歌謡ファンとして楽しむ

 『恋のヘキサゴン』で昨年9月にデビューしたPabo(里田まい・スザンヌ・木下優樹菜)は、曲調・振り付け・衣装とすべてキャンディーズをはっきり意識したコンセプトだった。
 キャンディーズが解散したのは1978年4月だから、ほぼ丸30年前。ちょうど当時キャンディーズを追っかけていた年代が、現在お父さん・お母さん世代となって、子供とお茶の間で『ヘキサゴン』を見ているわけだ。あえてターゲットを絞ったノベルティ(企画もの)アイドルだったがゆえに浸透度も早く、この「番組発おバカアイドル」はオリコンで最高19位、今年8月20日までに4.1万枚の売り上げを記録した。
 同様に、羞恥心(つるの剛士・上地雄輔・野久保直樹)はフォーリーブス(1978年8月解散)のコンセプト。ただしこちらは意外と(?)想定していなかった若い世代にも支持を受けたことで大ヒットにつながり、やはり今年8月20日までに『羞恥心』44.5万枚、『泣かないで』32.1万枚を記録。ともにオリコンでは最高2位だった。

 もうひとつ、「懐かし歌謡」のくくりで言えば「アラジン」という名前も懐かしい。今回ほとんどの曲の作曲者である高原兄が、かつてアマチュア音楽コンテスト「ヤマハポピュラーソングコンテスト(通称ポプコン)」に出場、見事グランプリを獲得したバンド名が元祖アラジンだ。今回のアルバム収録曲『天下無敵の一発屋2008』の元歌も、1994年に元祖の方が出した『完全無欠のロックンローラー(社会編)』のカップリング曲のカバーである。
 ちなみに、羞恥心とPaboの合体ユニットの方のアラジンは正式には「アラジンthe second」という名前。元祖アラジンに敬意を表して、ということか。


<3>事情通ぶって楽しむ

 ヘキサゴンファミリーの所属事務所がバラバラなのは周知の事実だが、じつは所属レコード会社もひとつではないのがややこしい。