ところが1975年以降、低成長期に入って、「作れば売れる」という時代は終わりました。しかし消費者は何が欲しいのかを言ってくれません。そこで企業が苦肉の策として編み出したのが、多品種少量生産という仕組みでした。ただ、そこで行われたのは缶ビールの缶の大きさを多様化したり、冷蔵庫の扉の色を増やしたりする、見かけだけの多様化でした。
そして、2000年以降、私は本当の多様化が始まったのだと思っています。消費者が明確に自分の欲しいもの、個性を主張し始めたのです。その理由は、所得水準が豊かになったこと以外に二つが加わっています。ひとつは、ライフスタイルの多様化です。2005年の国勢調査の結果はまだ公表されていませんが、 30歳台前半男性の非婚率は、全国で5割、東京都で6割に達すると見込まれます。既婚者と比べると独身者ははるかに自由なライフスタイルを形成することができます。つまり、多様化が可能になるのです。

もうひとつの要因はITの進化です。ITの一番大きな機能は膨大な情報の海から瞬時に適合するものを見つけ出すことです。この機能を使って、いまマニアックな嗜好を持つ者同士が結びつき合うようになってきており、それが新しいマーケットを生みだしているのです。

こうした変化を踏まえると、今後のマーケットは、多様化、細分化が一層進み、しかもそれがどんどん変化していくことになると思われます。そのとき、技術はどう変わるのでしょうか。私は、突然新しい変化が起こるというよりも、(1)技術の成功確率の低下、(2)技術の小粒化、(3)技術の短命化といういまの技術トレンドが、いままで以上のスピードで進むのだと考えています。

実際、統計でみても、1960年には付加価値全体の45.3%を占めていた過去10年間に登場した商品の割合が、19990年には5.8%にまで減っています。誰もが欲しがる新商品が誕生して経済を牽引するのではなく、既存の商品が多様化することで付加価値が生まれるようになってきているのです。また、ひとつの技術が開発されて、それが市場で利益を生む期間も1950年代以前は21.8年あったのが、1990年以降は3.2年に短縮化しています。


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