映画『グラディエーター』シリーズ2作を通して、唯一の女性メインキャスト、ルッシラ役のコニー・ニールセンが来日(C)ORICON NewS inc.

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 人類の歴史上最大級の栄華を誇った大帝国・古代ローマを舞台に、苛烈を極める皇帝の後継者争いの陰謀に巻き込まれ、奴隷へと落とされた元大将軍マキシマスが復讐を誓い、剣闘士(グラディエーター)としてコロセウムで極限の闘いに挑む壮絶な物語『グラディエーター』(2000年)。名匠リドリー・スコット監督のフィルモグラフィを代表する名作の“その後”を描いた映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が11月15日より公開中。

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 『グラディエーターII』は、前作でラッセル・クロウが演じたマキシマスの息子ルシアス(ポール・メスカル)が主人公。ルシアスの母親は、前作にも登場したルッシラで、コニー・ニールセンが続投している。

 ルッシラは実在した人物がモデル。ローマ帝国の最盛期といわれる約100年間を治めた五賢帝の最後の一人、マルクス・アウレリウス帝の娘で、マキシマスを陥れたコモドゥス(ホアキン・フェニックス)の姉。マキシマスと恋仲だったことがある。

 『グラディエーターII』では、ルシアスが暮らしていたヌミディア侵略を指揮した将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)の妻となっていて、彼に守られていた。そのアカシウスは、戦闘中に妻を殺されたルシアスの仇となってしまう。

 ルッシラは2作を通して、唯一の女性メインキャストであり、複雑に入り乱れる人間関係の中心にいるキャラクターだ。

――前作『グラディエーター』から24年も経っているのが信じられません。

【C・ニールセン】私もそう思います。こんな形で続編が作られるなんて想像もしていませんでした。ただ、前作で小さな息子ルシアスをマキシマスに紹介するシーンでは、“2人には昔、実らないロマンスがあったのでは”という感情を秘めながら演じていました。それが当時の私なりの役作りだったんです。

――再びルッシラを演じることに難しさはありましたか?

【C・ニールセン】彼女の英雄的な資質の根底には、父親であるマルクス・アウレリウス帝への尊敬とローマへの忠誠があります。父親が持っていた夢を叶えようとする姿勢も、彼女を特別な存在にしています。ルッシラは文化、家族、恋愛といったさまざまな要素が織りなす複雑なキャラクターですが、演じる上で難しさはありませんでした。喜びしかなかったです。

 ルッシラは時代や権力者たちに抑圧されながらも、知性を武器に抵抗し続ける女性です。前作も今作も彼女を応援したいという思いで演じました。歴史の中で、権力を持たない人々の声はほとんど記録されていません。それは歴史書にも映画にも言えることです。ですが、『グラディエーター』シリーズは、名もなき人々に光を当てています。こうした映画が過去を生き生きと甦らせるのだと思います。彼女のようなキャラクターを演じることは、本当に素晴らしい経験でした。

 映画やドラマでは、キャラクターをただ演じるのではなく、社会の問題や状況を表現し、観客にメッセージを届ける役割があると考えています。リドリー・スコット監督も、現代社会の課題を、映画を通じてさりげなく訴えていると思います。

――リドリー・スコット監督から何か指示はありましたか?

【C・ニールセン】いいえ、彼はキャスティングした時点で私を信頼していました。演技に関して細かく指示を出すことはなく、「この人ならできる」と確信していたと思います。

――『グラディエーター』と出会わなければ、ご自身のキャリアに大きな影響があったと思いますか?

【C・ニールセン】そうですね。あれほど大規模な作品は他にありませんでしたし、アカデミー賞を受賞した映画に出演できたのは特別な経験です。本当に感謝しています。

――来日中、明治神宮に行かれたそうですが、印象に残ったことは?

【C・ニールセン】ちょうど七五三のお祝いが行われていて、とても特別な雰囲気でした。弓道の大会や華道のイベントも見られて、日本の伝統が今も受け継がれていることに感動しました。60歳の女性が20年続けている弓道を見せてくれて、その美しい姿に鳥肌が立ちました。