三宿といえばいまも変わらず、お洒落でハイセンスなイメージが先行する街だ。

いま、そんなエリアの理想像を具現化したような、洗練を極めたイタリアン『Arrow』が話題を集めている。


街にふさわしい洒落感を空間と料理で的確に表現

知らなければたどり着けない立地


三宿交差点から少し離れた、静かな住宅街に『Arrow』はある。

ぱっと見では何のお店か、いや、お店であるかどうかさえ分からない洒落た外観はオーナーが「飲食店らしからぬ」つくりを目指した結果。



交流が生まれやすいロングテーブル


室内でもそれは徹底されており、たとえば客席数は60平米ほどの広さながらわずか22しかない。

その中心を占めるのが店の顔ともいえる12人掛けの大きな木製のロングテーブル。床の白いタイルと好対照を成しており、整然と並ぶイスも含め、家具の多くは100年超えのアメリカンヴィンテージ。三宿の街にふさわしい洗練された空気が漂う。

完全フルオープンのキッチンも美しく、磨き上げられた調理器具が並ぶ様は圧巻。すべてが計算し尽くされたようにピタリと収まっており、唯一無二の雰囲気を醸している。



川村さんは31歳の若さだが、キャリアは10年以上


「調理機器もイタリアから取り寄せたものでそろえるなど、“魅せる” 工夫をしています。イタリアンだけど、いつもと違う。そんな非日常の中で寛いでほしかった」と語るのはすべての料理をひとりで手掛けるシェフの川村洋太さん。

オーナーから「職人気質で研究熱心」と認められた逸材で、過去には毎年、イタリアに渡り、ほぼ全州を巡って各地の技を目の当たりにしてきた経験もある。

メニューは「みんなでシェアして楽しんでほしい」とアラカルトのみ。



ミニトマトとニンニクだけを煮込む「フレッシュトマトのシンプルなパスタ」¥2,400


どれも郷土の味がベースにあり、「フレッシュトマトのシンプルなパスタ」など、盛り付けは素朴で主役の食材も明確だが、味わいは繊細。

「この料理ではイタリアンパセリは飾りじゃなく、風味として絶対必要。凝縮したトマトの旨みにこの清涼感は欠かせないんです」と理路整然。

そんなシェフが作り出す分かりやすい美味しさは、すでに地元民の厚い支持を得ており、折に触れて通う常連も多数いる。




8種の魚介の旨みを凝縮した「魚介とオレンジのシチリア風リゾット」¥2,400。




特製ブロードで4時間も煮たタンはほろほろ。「豊西牛タンのボリート」¥2,300。




卵白に生クリームや牛乳を合わせて作る「白いプリン」¥600。



ワインは自分の料理に合うことを条件にシェフが厳選した300本以上がそろう


メインのテーブルでは相席になることもあり、その際は「ボトルワインをシェアする方もいらっしゃって嬉しくなります」と笑顔で語る川村さん。こなれた振る舞いが見られるのも三宿ならでは。

何より、洒脱な空間で才気あふれる料理が食べられる、そんなトラットリアをこの街が放っておくわけはないだろう。


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