記者会見する日産自動車の内田誠社長(写真・共同通信)

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 11月7日、日産自動車は2024年9月期の中間決算を発表した。その内容は「世界の日産」の凋落ぶりを示す惨憺たるものだった。

「発表によれば、売上高こそ5兆9842億円と、前年同期比で1.3%の減収で済んだものの、本業の儲けを示す営業利益が、前年の3367億円から90.2%減の329億円。最終的な儲けを示す純利益も93.5%減の192億円と大きく落ち込んでいます。

 6日に決算発表をしたトヨタ自動車も、営業利益が2兆4642億円と3.7%減となりましたが、2年連続の2兆円超えですから、日産の業績の落ち込みは比較になりません」(自動車ジャーナリスト)

 大幅な減益の原因は、主力のアメリカ市場での販売不振や中国市場でのEV戦略の失敗と分析されている。

「内田誠社長は、オンライン会見で、アメリカ市場について『ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の需要が急速に高まっており、現在、こうしたラインナップを持っていない当社は苦戦を強いられている」と述べています。

 中国市場については『ここ数年、現地メーカーの新エネルギー車が急速に増加している。その影響で当社を含むメーカーが主戦場とする市場が縮小している』などと述べました。

 最近の極端なEVシフトの失敗を認めているわけで、いずれも『何をいまさら』と首をひねりたくなる分析です。

 いまでは『日産には売る車がない』と社内でも言われるほどで、商品力の低下が目立ちます。内田社長も『お客さまのニーズに応える商品をタイムリーに提供できていない』と認めており、経営責任は明らかです」(同)

 この日、日産は業績の安定化と適正化を図るためとして、世界で生産能力を20%削減し、9000人をリストラするなどの合理化案を発表した。さらに、経営責任をとって、内田社長自身が11月から役員報酬の50%を自主返納することも明かしたのだが……これがSNSで大きな怒りをかっているのだ。

「有価証券報告書によれば、2023年度の内田氏の総報酬は6億5700万円にのぼります。この半分を返上したとしても、3億2850万円を手にすることになります。

 他の役員も自主返納するということですが、1億円以上の報酬を得ている役員は内田氏を入れて6人もいます。計27億5800万円。これが半分となっても13億7900万円が役員報酬として支払われることになるのです。

 内田社長は、カルロス・ゴーン氏が去った後の大赤字を受け、2020年に『日産ネクスト』という新リストラ案を発表しますが、結果的に失敗したわけです。そのため、役員含め、全員が引責辞任すべきだとの声もあがっています」(同)

 実際、SNSでは

《日産のダメダメ決算&無配が話題だね。経営陣が総退陣しないとなレベルだけど、代表が報酬50%カットの3億円ってこれ暴動起きるんじゃないのかな》

《いや、おかしいでしょう。経営の失敗は経営者の責任。労働者は経営方針を決定できないのですから。労働者の首を切るべきではない》

《日産の一般社員9000人を解雇するけど純利益93%減にした社長以下役員は辞めませんから。ナニコレ。アホでもどちらを辞めさせた方がいいか分かるよ》

《9000人リストラする前に、役員報酬を0にしないと納得できないよ。9000人の方も職をなくし0になるわけだから》

 と怒りの声が渦巻いている。なかには、こんな切実な声も。

《日産から“削減“される9000人もの人たちは正規? 非正規? 9000通りの暮らし.家庭があるんだよ。解雇されて、就活しても正規雇用の道はあるのか? 不安定な非正規の仕事しかないかもしれない。路頭に迷うことがありませんように》

 本当に暴動が起きても不思議ではない――。