【砂村光信 視点】むしろフランスの方が“超速”だった…SHの動きに歴然の差
◇ラグビーリポビタンDツアー2024 日本12―52フランス(2024年11月9日 パリ・フランス競技場)
超速ラグビーを掲げる今の日本代表だが、今回の試合に関して言えば、相手のフランスにそのお手本を見せられたような内容だった。スタッツ面では日本が上回る数値があったにも関わらずここまで完敗したのは、フィジカルの差とともに、サポートの遅さにあったように思う。
前半、後半を通じて敵陣インゴールに迫りながらも、3人目以降の接点へのサポートが遅く、ことごとくボールを奪われていた。本来は速いテンポの球出しが持ち味なSH斎藤がサポートに入らざるを得ず、パスアウトが遅れる場面もあった。一方のフランスはSHデュポンが自ら仕掛けることで、日本のディフェンダーを引き寄せ、至るところに穴をつくっていた。順目と逆に投げるフリップパスも効果的で、日本は最後まで手を焼いていた。
ラックではフランスの選手が足を伸ばすシーンがあった。ルール的にはグレーゾーンだが、相手の球出しを遅らせるには効果的なプレー。経験値が少ない日本代表と、国際試合の場数もレフェリーの傾向も知り尽くしているフランスとの差を感じた。
この試合では立川とタタフが負傷し、15番で先発したツイタマもFBとしての経験不足を感じさせた。特にバックスの縦のラインは重要。遠征残り2試合に向けても不安の残る結果だった。(元U―23日本代表監督)