阪神・球児監督 来季高卒3年目の井坪に期待大 「大事な存在。引き上げたい」
「球児の秘蔵っ子」誕生の予感だ。阪神・藤川球児監督(44)が高知・安芸秋季キャンプ第2クール3日目の9日、新戦力に大きな期待を寄せた。今キャンプ2度目の紅白戦に紅組の「3番・中堅」で先発し、先制適時二塁打を放って藤川阪神“初得点”をたたき出した井坪陽生外野手(19)を「今後、大事な存在になる」「引き上げたい」などと絶賛。来季が高卒3年目の有望株も、新体制で定位置をつかみ取る意欲を見せた。
「1番・佐藤輝」の右越え二塁打でつくったチャンスで、井坪が存在感を示した。初回1死二塁の先制機。白組先発・津田の148キロ直球を鮮やかに振り抜き左翼線へ。快晴の土曜日にキャンプ地に詰めかけた約5700人のファンを、いきなり沸かせた。
「真っすぐに振り遅れないように、しっかり打ち返すことを意識してやっています。守備、走塁、打撃、全部で勝負しないといけない選手だと思っているので、全部一流のレベルまで持っていけるようにやりたい」
同じ6イニング制で行われた3日の紅白戦は0―0の引き分け。チーム初打点をマークしたのも、3番に抜てきされたからこそだ。前回の1番に続いて2戦連続で上位を任せた藤川監督も、若虎にかける期待の大きさを隠さなかった。
「もの凄く能力が高いことを重々分かっているし、チームとしても非常に今後大事な存在になる。この前は1番で、きょう3番に入っているのは、彼を引き上げたいというか。能力を非常に高く考えているとは思います。全てのポジションのコーチもそう思っているんじゃないですかね」
関東第一(東京)から22年ドラフト3位で入団。今季で2年目を終え、まだ1軍出場はない。とはいえバットコントロールに優れた非凡な打撃センスには、新人の時から定評があった。新体制となり、藤川監督の「監督も打撃コーチも新しく交代したタイミング。そういう部分では彼自身が次のステージに上がるチャンスはあると思います」という言葉に、井坪本人も力強く呼応した。
「今、(首脳陣が)代わった時がチャンスだと思う。ここで一気に1軍に定着できるように」
阪神の外野定位置争いは、右翼・森下、中堅・近本の壁が高く、残る左翼も激戦区。今季ブレークした前川を筆頭に井上も控え、新外国人選手も参戦の可能性がある。ただ、V奪回には「新星」の出現が不可欠であることも間違いない。オリックスから加入した小谷野打撃チーフコーチも「もともと対戦相手としてウエスタンで見ていても良かった」と高評価する19歳の原石。新監督にとって、この秋の大きな収穫となりそうだ。(山添 晴治)
◇井坪 陽生(いつぼ・ひなせ)プロフィル
☆生まれ&サイズ 2005年(平17)3月17日生まれ、東京都八王子市出身の19歳。1メートル77、88キロ。右投げ右打ち。
☆球歴 4歳から野球を始め、小学4年からは本格的に八王子リトル(硬式)で三塁手として活躍。七国中では八王子シニアに所属し、中3時にアジアチャレンジマッチU15の日本代表に選出され中軸を務めた。関東第一では1年秋に4番。2年の秋からレギュラー。甲子園出場経験はなし。50メートル走6秒0、遠投100メートルの俊足強肩の外野手として活躍し、高校通算32本塁打。22年のドラフト3位指名で阪神入団。
☆好き嫌い 好きな食べ物は伊勢エビ。嫌いな食べ物はトマト。