阪神・藤川監督 岡田前監督から帝王学吸収 金言「血となり、肉となる」85分熱血ロングトーク
「阪神紅白戦、白組0−4紅組」(9日、安芸市営球場)
阪神・藤川球児新監督(44)が9日、キャンプを視察に訪れた岡田彰布オーナー付顧問(66)と約85分間のロングトークを繰り広げた。2度のリーグ優勝を誇り、昨年は38年ぶりの日本一を達成した希代の名将から帝王学を吸収。具体的な内容こそ明かさなかったが、恩師の金言を今後の監督業に生かしていく。
壮大な太平洋を望みながら、時間を忘れるように語り合った。“球児フィーバー”に沸く安芸。岡田オーナー付顧問との再会を心待ちにしていた藤川監督は、しみじみと、それでいて、晴れやかな表情で口を開いた。
「18歳の時、1年目の2軍監督が岡田監督だった。これから初めて監督以外の言い方になる。岡田顧問という言い方に変わるのは不思議ですね」
虎党が待ち望んだツーショット。猛虎愛にあふれる2人は話し出すと止まらない。途中、小谷野打撃チーフコーチも加わり、熱血トークは約85分に及んだ。コーチ経験のないまま監督に就任した藤川監督にとって、何よりもかけがえのないひととき。恩師からたっぷり帝王学を吸収した。
「顧問が今シーズン、どういうふうに対戦相手やうちの選手を見ていたのかとか、シーズンの流れとか、目に見えないことですね。どちらかというと頭の中で考えたり想像するところを、1時間以上ですか、すごくありがたい時間でしたね」
藤川監督は「あうんの呼吸」と表現した。「グラウンドレベルで必要な会話ですから。外に出すことができない話」。会話の具体的な内容は明かさなかったが、戦術、采配、選手の起用面に及んだ可能性も。岡田顧問も心得ているのだろう。藤川監督の心中を察するように、コメントを残すことなく球場を後にした。
チーム内外から“岡田野球”を長く見てきた中で新たな発見があった。岡田顧問は2度のリーグ優勝を誇り、昨年は38年ぶりの日本一に導いた希代の名将だ。「勉強では学べないこと。会話の中で拾うのが一番勉強になりますね」。恩師の金言に藤川監督は「それはもう血となり、肉となる」と感謝しきりだった。
昨夜のチーム宿舎でも高知名物のギョーザがテーブルに並ぶ中、食事を共にした。岡田顧問は今クール中、安芸に滞在予定。グラウンド外でも、まだまだ2人が野球を突き詰める時間はたっぷりある。
帰り際、指揮官は「明日の(新聞の)1面は誰ですか?佐々木朗希ポスティングですか?」とジョーク交じりに報道陣に問いかけ、「明日は顧問やろ」と恩師をたたえるように笑った。紅白戦でのナインの躍動も相まって、表情はどこまでも充実感に満ちていた。虎の伝統を継承し、明るい未来を紡いでいく。