Image: Brent Rose - Gizmodo US

ほぼ何もしなくても、自分史上最高にきれいな家を。

Roborockがロボット掃除機の新たなフラッグシップモデル、Qrevo Curvを海外で発売しました。米GizmodoのBrent Rose記者が一足先にしばらく使って詳細レビューしています。18,500Paという吸引力や段差を乗り越える独自の仕組みなどてんこ盛りですが、実際使ってみてどうなのか…以下、どうぞ!

ロボット掃除機の価値は、どこまで動き回れるかということと、どれだけきれいにできるかで決まります。お掃除ロボットはこの数年、LIDARやカメラを搭載することで障害物回避やルート設計が上達しましたが、それでも床の段差を越えられないものが多いのが現状です。

でもRoborockのQrevo Curvは、ホイールを個々に上下させることで、敷居や分厚いカーペットも乗り越えられる仕組みになっています。さらに業界トップの吸引力に、髪の毛がからまないブラシ、延びるデュアルモップ、自動ゴミ捨て機能、さらにアプリも秀逸で、どんな場面でも最高に使えるロボット掃除機といえます。

Roborock Qrevo Curv

これは何?:Roborockのフラッグシップロボット掃除機。

価格:1,600ドル(約24万4000円)。

好きなところ:最高の吸引力と水拭き力、障害物を乗り越えられる、最小限のメンテナンスでOK、部屋の隅もきれいにできて髪の毛もからまない。

好きじゃないところ:障害物回避機能には改善の余地あり、モップの上下幅が不十分。

独自機構を詰め込んだデザイン

Image: Brent Rose - Gizmodo US

Roborock Qrevo Curv(以下Qrevo Curv)は、外見的にはありきたりなディスク型で、直径14インチ(約35.6cm)、高さは4.1インチ(約10.4cm)、重量は8.6ポンド(約3.9kg)です。上部にはLiDARの突起、前部にはカメラがあり、あとはホームボタンに電源ボタンがあるくらいで、変わったところはありません。

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でも裏返すとその独自性がわかります。DuoDivideと名付けたスパイラル状のブラシが付いていて、これが髪の毛を拾い上げて吸気口に放り込みつつ、詰まりを防いでいるのです。

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またロボット掃除機の吸引力は、他社だと強くても12,000Pa程度なんですが、Qrevo Curvは18,500Paあります。さらに「FlexiArm Arc Side Brush」という、名前の通りサイドに付いた小さなブラシが、部屋の隅やソファまで届いてゴミやホコリを集めてきます。

隅々まで届く、FlexiArm Arc Side Brush。
Image: Brent Rose - Gizmodo US

水拭き用モップは毎分最大200回転のデュアル搭載で、水流のオプションは30種類あり、部屋の隅々までさっぱりさせてくれます。床がカーペットの部分に来るとモップが自動で持ち上がるので、濡らしてしまうことはありません。内蔵のリチウムイオンバッテリーの容量は6,400mAhとたっぷりで、使い方にもよりますが、1回の充電でかなりの面積をカバーできます。

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最小限のお手入れを支えるドック

本体をすっぽり格納する、丸みを帯びたドック。(Image: Brent Rose - Gizmodo US)

充電やゴミ処理、水の管理を担うドック・Multifunction Dock 3.0も考え抜かれています。こちらはよくある角張ったドックではなく、幅・奥行き・高さともに17.7インチ(約45cm)の丸みを帯びた形で、ソフトな印象を与えます。もっと普通の四角いのでいいんだけどという人には、掃除機本体は同じでドックだけデザイン違いの「Roborock Qrevo Edge」がもうすぐ発売されます。

ドックは掃除機側のゴミ箱の中身を自動で吸い上げ、ドック内のゴミ袋に格納します。なので掃除のたびにゴミ箱を空にする作業は必要なく、ドックのゴミ袋を交換する頻度は、(掃除の頻度や家の面積、汚れ具合にもよりますが)最長7週間に1回程度でよくなります。

ドックのフタを開けると、水のタンクが。
Image: Brent Rose - Gizmodo US

水拭き用の水の交換も自動化されていて、掃除機が使った水は自動で捨てられ、きれいな水を補充してくれます。モップ部分は華氏167度(摂氏75度)のお湯で洗浄され、Roborockいわく細菌の99.99%を除去できるとのこと。洗浄後は華氏113度(摂氏45度)の温風で乾燥させ、カビを予防します。モップを普段より念入りに洗う必要があればそれも自動検知し、勝手に再洗浄してくれます。

ドックの奥に、モップ洗浄モジュールが見えます。
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アプリも秀逸

Qrevo Curvを構成するもうひとつの要素が、Roborockアプリです。これも全体的に非常によくできていて、本体に付いているQRコードをスキャンするだけで簡単にペアリングできます。

Qrevo Curv本体に家の中を見回らせると、LiDARを使って家の間取りをマッピングしてくれます。マッピングができたら、スマホでマップ上の各部屋にラベリングしたり家具を追加したり、床の種類を設定したり(これはたいてい自動で検知されますが)、掃除機の立ち入り禁止場所を設定したりします。

掃除やモップの設定はすごく細かく可能で、ルーティーンを指定でき、外出時のペットモニターとしても使えます。音声アシスタント内蔵で「ハロー、ロッキー」と声をかけると立ち上がり、40以上のコマンドを認識します。Google HomeやAmazon Alexa、Apple(アップル)のSiriとも連携できます。サードパーティとの連携ではRoborock純正アシスタントほど細かいことはできませんが、「ヘイGoogle(グーグル)、キッチンを掃除して」と言えばその通り動いてくれるんです。これぞまさにAIに求めてたことじゃないでしょうか?

間取りをマッピングするときは、最初にそれだけをしてもいいし、掃除しながら同時にやってもいいんですが、僕としてはマッピングのみで、をお勧めします。僕は最初は同時にやろうとしたんですが、結果Qrevo Curvの動作がすごくゆっくりで、迷っているようにも見えました。なのでいったん再起動してマッピングのみモードにしたら、もっとスムースだったんです。アプリが間取りを覚えたら、部屋のそれぞれにラベル付けして、掃除の準備完了です。

衝撃のパフォーマンス

Qrevo Curvのメニューでは、掃除する範囲は家全体か、特定の部屋だけか、指定したエリアか、任意に設定したルーティンか、とかを選べます。選択肢がすごく多いんですが、まずSmartPlan機能では、ベストな掃除の仕方をその場でAIが決めていき、最適なルートを進みます(詳細は後述)。

Vac & Mopメニューでは、その名の通り吸引(Vac)とモップを両方使いますが、吸引力もモップの水流もある程度コントロールできます。モップオンリーや吸引オンリーも可能で、後者にすると吸引力を最大にできます。はたまたアプリをリモコンのように使って、特定部分のスポット掃除(たとえば何かこぼしたときとか)もできます。とにかく、プログラムを選択してスタートボタンを押すと、Qrevo Curvが動き出します。

Qrevo Curvの掃除の能力は、衝撃です。吸引力が素晴らしく、そこそこ厚いカーペットからも問題なくゴミを吸い上げ、砂も問題なしでした。FlexiArmブラシも売り文句通り、角や冷蔵庫の下のゴミをかき出してくれるし、モップもしっかり働いてキッチンの床のシミも水だけで洗い落としてくれます。Roborock用の洗浄液も売ってるんですが、それはまだテストしていませんし、今のところ洗浄液を使う必要すらないんです。

吸引力を上げてターボにしていても、音は静かです。僕は寝室以外は毎晩吸引とモップがけでQrevo Curvを稼働させていて、寝室のドアも開けてありますが、うるさくて目が覚めたことはないです(ただ僕は、寝るときにホワイトノイズマシンを使ってます)。Qrevo Curv自体にヘッドライト内蔵なので、周りが見やすいよう照明を点けておく必要もありません。今の部屋に4年住んでますが、床もラグも今ほどきれいだったことはありません。

ストレステスト結果も上々

スナックの刑、の図。
Image: Brent Rose - Gizmodo US

SmartPlanとかVac&Mopモードは日々の掃除には問題ないですが、とくに汚れてるときはどうなるんでしょうか? それを確かめるべく、僕は「スナックの刑」と称し、クラッカーとかピスタチオの殻、スパイス、ミント菓子、コーヒーの出がらしを床にパラパラまいていき、さらに牛乳もぶちまけました。

かなりエクストリームな状況ですが、やっぱりSmartPlanやVac&Mopモードでは太刀打ちできませんでした。どちらもほとんどは吸引したんですが、フローリングの床だとQrevo Curvは吸引と水拭きを同時に進めようとします。ホイールがクラッカーみたいな割れやすいものを砕き、モップの水分がその破片やスパイスを床にくっつけてしまいました。こういう場合、まずバラバラするものを吸引してから水拭きしたほうがいいんですよね。

こんなとき、アプリでのカスタマイズが活躍します。最高レベルで吸引してからDeep+モードでモップをかける、というルーティンの入力は、90秒くらいでできました。このルーティンだとスナックの細かい粒まできれいになることがわかったので、今は普段の掃除にもこのルーティンを使ってます。この手順だとバッテリーをデフォルトより多く消費しますが、バッテリー駆動時間も長いから大丈夫です。

僕の家は665平方フィート(約62平米)の1LDKなので、家全体を吸引・水拭きしても、デフォルトのモードで掃除したくらいではバッテリーはほとんど減りません。なのでストレステストのために、全体をTurbo+で吸引してからDeep+で水拭きするルーティンを作りました。

するとQrevo Curvは、まず家の中の家具以外の領域にあたる366平方フィート(約34平米)を68分で吸引し、次にそこからラグやカーペット部分を除いた161平方フィート(約15平米)を38分で水拭きしたのですが、それでもバッテリーは31%残ってました。家がもっと大きい場合、ルーティンを分けて途中で充電するか、吸引や水拭きをTurbo+やDeep+より弱いモードにしたほうがいいかもしれません。

障害物回避はまだ課題

Qrevo Curvの障害回避はそれなりにできてますが、まだまだ完璧ではありません。家具の回避はほぼ大丈夫で(それでも時々頭から突っ込む)、ダイニングチェアの間も器用にすり抜けてるし、ソファの前のテーブルを動かしたときは一瞬迷ってましたが、すぐに違う道を見つけました。

でも残念ながら、一度は電源ケーブルにからまり、電源タップを壁から引き抜いて、ランプを倒しかけました。うっかり床に置きっぱなしだったトートバッグのストラップを吸い込んで固まったこともありました。カーテンにからまることも時々ありますが、毎回なんとか自力で脱出しています。

朝起きたらオフィスチェアの足の部分にハマってたことも今までに3回ありました。動けなくなるとバッテリー節約のために自分で電源を落とすんです。ある意味賢いんですが、人手を煩わさずに掃除ができるという触れ込みなので、残念でもあります。

僕は最近旅行から帰ってきたばかりで寝室の床にスーツケースとか服とかが置きっぱなしだったので、この状態でQrevo Curvを使うとどうなるか実験してみました。Qrevo Curvは床の上のものを見つけると、犬が目新しいものの匂いを確認するように注意深く検分し、その物体を避けていきました。

そこまでは感動したんですが、その後は靴にぶつかって、さらにはすでに見ていたはずの靴下の上に乗り上げて引きずっていき、半端な場所に置き去りにしました。引きずったのが犬のフンだったりしたら大惨事ですね。靴でも靴下でも、売り文句的にはちゃんと避けられることになっているので、このへんはもっと精度を高める必要があります。

あとは、Qrevo Curvがカーペットの上に来たときは、濡らさないようにモップを持ち上げるはずなんですが、毛足が長くないラグでもモップが少し触れてしまってました。ラグはほんの少し湿った程度でしたが、でもたとえば汚い部分を水拭きした後に薄い色のラグの上を吸引、といった状況では問題だし、毛足の長いカーペットだったらもっと濡れたと思います。ちなみにそういった心配がある人には、Dreame L40 Ultraは吸引動作のときはモップは外していくのでお勧めです。

段差越えの感動

厚めのラグの段差も乗り越える。
Vac&Mopモード

一方ですごかったのは、敷居を乗り越えるためのAdaptLiftという仕組みです。僕の家のリビングではラグの下に厚いパッドを敷いてるので、ラグの部分は高さが2cmあるし、ラグの上下の端には飾りのタッセルもあります。それでたいていのロボット掃除機は、本体をラグの上に乗せてあげないとラグの掃除ができませんでした。

でもQrevo Curvはそこに段差があることを検知して、段差かどうかをアプリで確認してきたので、僕はそうだと答えてマークしました。するとQrevo Curvは本体前方を持ち上げてラグに乗り上げ、次に本体後方も持ち上げて段差を越えることができたんです。この仕組みによって、タッセルの吸い込みも防いでいます(それでもたまに吸い込んでましたが)。

メンテナンスも極限までミニマルです。僕はわざとスナックや砂をQrevo Curvの通り道に落としてきましたが、ドックのゴミ袋を交換するタイミングはまだ来ていません。モップの水は2回補充しましたが、それもタンクを外して水を入れただけだし、汚れた水を捨てるのもトイレに流すだけで、すごく簡単です。

Image: Brent Rose - Gizmodo US

あとはQrevo Curvは外出中のセキュリティカメラ兼ペットモニターにもなります。掃除中にペットに遭遇したら、自動で写真を撮ってくれます。

高いけどその価値あり

Qrevo Curvは今まで使ったロボット掃除機の中で最高の1台です。ルンバシリーズのどれよりもきれいに掃除できるし、柔軟性もこの上なく、アプリの出来も頭ひとつ抜けてます。吸引力も最強、独自デザインのブラシでからまないし、モップはディープクリーンができるし、敷居も乗り越えられます。

いいことづくめですが、その分お値段は安くありません。Qrevo CurvはRoborockの新たなフラッグシップモデルで、価格は1,600ドル(約24万4000円)です。他のメーカーでもフラッグシップはそれくらいですが、高いことには変わりありません。

そしてまた、欠点もあります。障害物検知・回避能力にはかなりの改善の余地があります。SmartPathモードも、もっと賢くなってより効率よいルートを選べるはずだと思いますし、濡れたモップの持ち上げ方ももっとどうにかできるはずです。

でも結局、僕は掃除機がけも水拭きも嫌いで、頻繁にできていませんでした。それが今、僕の家の床もラグも、僕自身は何もしてないのに、いつでもピカピカです。Qrevo Curvは僕が(ほぼ)何もせずに家の隅々まできれいに保ってくれる、初めてのロボット掃除機です。たしかに安くはないけれど、それだけの価値はあると思います。

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