スウェーデン南部・プリスガルデン自治区で発見された紀元前500年から紀元後400年にわたる鉄器時代の埋葬地で、ナイフや針が刺さった女性の墓が見つかりました。スウェーデン国立歴史博物館の考古学者であるモア・ギルバーグ氏によると、その用途は不明とのことです。

Ovanlig kvinnograv funnen på järnåldersgravfält i Pryssgården | Arkeologerna

https://arkeologerna.com/bloggar/pryssgarden-en-6000-arig-historia/ovanlig-kvinnograv-funnen-pa-jarnaldersgravfalt-i-pryssgarden/



Iron Age woman was buried with a knife stuck into her grave. Archaeologists aren't sure why. | Live Science

https://www.livescience.com/archaeology/iron-age-woman-was-buried-with-a-knife-stuck-into-her-grave-archaeologists-arent-sure-why

ストックホルムの南西約169kmにあるプリスガルデン自治区で見つかった鉄器時代の埋葬地は、17世紀後半のスウェーデンの神父、エリクス・ヘメンギウスによってその存在が示唆されていましたが、これまで発掘調査が行われたことはありませんでした。しかし、2024年初旬に予備調査を実施したところ、墓地や住居、倉庫、井戸などが発見されました。また、金属探知機を用いた調査の結果、埋葬された装飾品も発見されています。



その後の発掘調査では、穴を掘って火葬した遺骨を埋葬するという鉄器時代では主流の墓地が見つかったほか、遺骨の周りに小さな石を対称的に配置するという墓も一部見つかっています。また、ある墓からは灰と骨片を含む厚い焼けた層が見つかっており、ギルバーグ氏は「この墓を掘り下げると、鉄製の折りたたみナイフがまっすぐ地面に刺さっていたことが分かりました」と報告しました。

さらに、同じ墓からは小さな針も見つかっています。しかし、ギルバーグ氏は「これらのナイフや針は衣服作りに使用された可能性があり、この墓が女性のものであることを示唆しています。しかし、墓にナイフが突き刺されていた理由は分かりません」と述べています。海外メディアのLiveScienceによると、鉄器時代においてナイフは食事の準備や衣服作りに役立てられたほか、護身用としても用いられた可能性があるとのこと。



ギルバーグ氏は「この墓で発見された足の指の骨の一部は、埋葬された女性がおそらく足の親指に変形性関節症を患っていることを示しています。同様の女性の墓はフィスケビーの埋葬地でも見つかっており、その被葬者も針とナイフが埋葬されていました」と伝えています。

ギルバーグ氏によると、この地域には合計で約50の墓が存在すると推測されているそうで、今後さらなる発掘調査が行われる予定です。また、墓の周辺では何らかの木造建造物が建てられていたとみられる柱穴も発見されており、ギルバーグ氏は「私たちはこのような遺構をもっと見つけたいと考えています。火葬場の近くには慰霊碑などのモニュメントが建てられることもあるので、この遺構もその1つだったのかもしれません」と語りました。