80歳・死別「2年前に夫を亡くし、都内の賃貸住まいの家賃が家計を圧迫。娘から月2万円の援助を受けても赤字が続き」【シニア世代の家計簿アドバイス】
気分が華やぐ春は、新しいことを始める好機です。このタイミングに、なんとなく続けていた人間関係や生活のルール、家事、お金のことを見直してみませんか?今の自分に本当に必要なものは何なのか。毎日を心地よく過ごすために、自分にとって何が必要で何がいらないと考えているのでしょうか。『婦人公論』の読者アンケートでお聞きしました。(構成◎村瀬素子)
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世代別・読者の家計公開&お金のプロがアドバイス
【C恵さん(80歳・死別)の家計簿】
C恵さん(80歳・死別)
居住地域: 東京都
同居家族:なし
貯蓄額:300万円
家賃が家計を圧迫。娘の援助が頼りです
「2年前に夫と死別したのですが、遺族年金が雀の涙で……。私の年金と合わせて10万円。都内の賃貸住まいだと生活できないので、娘に月2万円ほど援助してもらっています」と話すC恵さん。ただ、59歳の娘さんは60歳で定年退職すると決めているため、「今後も援助してくれるか心配」だという。
家計収支は、月1万8500円の赤字。支出の3分の1強を家賃が占めているが、「都営住宅の抽選に何度か申し込みました。でも、ご縁がなくて。年齢的に引っ越しは大変なので、ずっとここに住むつもりです」とのこと。こうした事情を汲んで、深田さんは改善ポイントを探る。
「家賃も含めてこの支出で抑えているのは立派ですが、節約できる余地はありますね。娘さんからの援助があるうちに、せめて月々の収支をトントンにすることを目標にしましょう」
一見、無駄がないように見える家計。どこなら削れるのか。
「一つは食費。C恵さんは農家の友人から野菜を、娘さんからおかずを分けてもらっているそうなので、月3万円に抑えるのは難しくないはず。たとえば、月5000円で契約している宅配牛乳をやめて、スーパーで必要な分だけ買えば、月3000 円は削れます。週1回、お気に入りの喫茶店でコーヒーを飲む時間を我慢する必要はありませんが、これは娯楽費に計上しましょう。次に交際費。友人への手土産は、毎回だとそれなりの出費になります。低予算で用意できる手作りのお菓子やおかずを持参しても、喜ばれるのでは」
支出の見直しは足し算とかけ算で考える
C恵さんは筆まめで、毎日のように友人と手紙を交換。切手代もバカにならない。
「今年10月から、郵便料金が大幅に値上げされます。ですから、切手付きの封筒兼用便箋を使うというのも一つの手。ミニレター(郵便書簡)と呼ばれるもので、価格ははがきに準ずるため、63円(9月現在)で送れます」
さらに、保険料にも気になるポイントが。
「C恵さんが加入している掛け捨てのケガ保険は、ケガで入院・通院したときにしか給付されません。たしかに高齢になるとリスクは増えますが、前述のように高額療養費制度があるので、解約してもいいでしょう」
支出を見直すときは、足し算とかけ算をして考えるとモチベーションを保ちやすいという。「たとえば、1100円の保険でも1年で1万3200円、10年で13万2000円に。かけ算をすると効果を実感できます。また、月の支出削減も、ミニレターで切手代21円を浮かして月630円、宅配牛乳をやめて3000円の節約……と、一つひとつは少額でも、足せば目標の数字に近づいている。C恵さんの良い点は、友人との交流を絶やさず、喫茶店でコーヒーを飲むなど、生活に楽しみを見つけていること。そこに使うお金は守りつつ、何を削るか自分なりの優先順位を考えてみてください」