【天皇賞秋/全頭診断】人気一角に「勝率80%」で鉄板級か 武豊騎乗ドウデュースは「0.0.0.4」で“消し”も

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今週は東京競馬場で、第170回天皇賞・秋(GI、芝2000m)が行われる。近2年はイクイノックスが圧巻の連覇。今年はどの馬が秋の盾を手にするのだろうか。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬15頭の全頭診断を行う。

■天皇賞秋2024 出走予定馬全頭診断

・1枠1番 べラジオオペラ

過去10年の天皇賞・秋において、大阪杯勝ち馬かつ大阪杯以外のGI未勝利馬は【0-0-0-4】。小回りコースの阪神芝2000m適性を示しすぎたがゆえのマイナスデータで、この中にはスワーヴリチャードやジャックドールも含まれている。「春と比べると活気が足りない」とのコメントもあり、次走以降の香港or国内GIが狙い目になりそうだ。

・2枠2番 マテンロウスカイ

前走毎日王冠は、直線でまったく前があかず不完全燃焼の8着。とりあえず使うことが目的だったかのようなレースだった。新馬戦後を含めた叩き2戦目の成績は【1-1-2-1】掲示板外なし。ダメージを最小限に抑えたと思えば理想的な前哨戦と言えるし、1600-1800mに良績が集中している点も今年の天皇賞・秋を戦ううえで大きなアドバンテージだ。

・2枠3番 ステラヴェローチェ

2-3歳時より好位で運べるようになった反面、若かりし頃の破壊力が失われてしまった近走。このメンバー相手では厳しいだろう。

・3枠4番 タスティエーラ

この馬を見ているとスクリーンヒーローを思い出す。関西圏を使われた春競馬は凡走が続いたものの、実績のある東京替わりで一変……環境の変化でカイ食いが悪くなる馬で、関西圏の近2走は参考外だ。走り慣れた環境に戻る今回は【1-1-0-0】の芝2000m替わり。見限れない。

・3枠5番 ノースブリッジ

過去に2度参戦した天皇賞・秋はいずれもフタ桁着順。時計のかかる洋芝や冬の中山が合うタイプで、少々馬場が渋ったとしても上がり3F33秒台が出る秋の東京芝がマッチするとは思えない。

・4枠6番 ソールオリエンス

昨年秋以降は好走こそあれ、勝ち馬と差をつけられるレースが目立っていた馬。ピークアウトの声も囁かれたが、前走宝塚記念は皐月賞と似たような馬場コンディションで一変をはたした。ピークアウト云々ではなく、適性にマッチした馬場が巡ってこなかっただけ。極悪馬場にでもならない限り上がり3F33秒台がデフォルトの天皇賞・秋を考えたとき、連続好走は至難の業と言える。

・4枠7番 ドウデュース

朝日杯FS、日本ダービー、有馬記念と異なる条件のGIを制したオールラウンダー。そのうえで記したいのが、2023年以降における直線の長いコースの成績が【0-0-0-4】である事実だ。キャリアを重ねて適性が上書きされており、今もっとも合う舞台は有馬記念一択。狙うなら暮れの大一番だろう。

・5枠8番 キングズパレス

目下8戦連続馬券内と抜群の安定感を誇る馬だが、その間の勝ち星はゼロ。要は勝ち切るための決め手に欠けるジリ脚タイプで、メンバー強化のここは厳しい戦いが予想される。

・5枠9番 ホウオウビスケッツ

今年に入って馬券外なしと安定した成績を残す馬。1600-2000mまで幅広い距離適性を誇る点は魅力も、夏競馬を連戦したように使いすぎのローテーションが気になってしまう。多くの有力馬は休み明けもしくは今夏未出走の叩き2戦目。この馬自身、折り合い面が完全に解消されたとは言い切れず、東京芝2000mを先行押し切りは難しい注文と言えそうだ。

・6枠10番 ダノンベルーガ

過去に参戦した天皇賞・秋は3、4着。パンサラッサ、ジャックドールがいたことで淀みない流れとなり、持続力型レースになったことがこの馬にとって不運だった。東京芝2000mの新馬戦は次位に0秒8差をつける上がり3F33秒1の鬼脚を披露。スローの切れ味勝負なら出番はやってくる。

・6枠11番 ジャスティンパレス

昨年の本レース2着馬。当時は終始後方待機だったが、1000m通過57秒7のハイペースも味方し直線一気の脚で連対圏に突入した。翻って、ジャックドールもパンサラッサも不在の今年はスローの上がり勝負が濃厚。本質的にステイヤータイプのこの馬にとって適したシチュエーションとは言い難く、強調材料は乏しい。

・7枠12番 リバティアイランド

上がり3F31秒4の新馬戦、上がり3F32秒9の桜花賞、横綱相撲で完勝の秋華賞。新馬戦を含めて鮮烈なパフォーマンスを示したレースは決まって休み明けだ。とりわけ評価したいのは31秒4、32秒9と次位に0秒7差をつける上がり3Fの脚を使っていたこと。休養で満タンになったエネルギーは実戦で末脚という形で爆発する。芝2000m以下では【4-1-0-0】。陣営のプランは未定だが、もしこの馬を嫌うタイミングがあるとすれば叩き2戦目の次走だろう。

・7枠13番 シルトホルン

リステッド競走・オープン特別・GIIIの成績は【0-2-2-5】、GIIが【0-0-0-4】と、クラスが上がることでパフォーマンスが下がる傾向あり。GIの舞台での一変は難しいだろう。

・8枠14番 レーベンスティール

率直に言うと、バッサリ消せるものなら消したい馬。まず実績が足りないし、クラスが上がった前走は2着との差もわずかだった。それでも消せない理由は、C.ルメールが騎乗するから。共同記者会見を見るよりリバティアイランドに白旗をあげているようにも映るが、なんだかんだいって馬券内に持ってくる可能性は高そう。

・8枠15番 ニシノレヴナント

オープンクラスでは【0-0-0-4】掲示板内ゼロ。厳しい。
UMAJIN.netより一部編集・転載()

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。