号泣しながら演説する丸川珠代議員(写真・時事通信)

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「小選挙区1本です。どうかお助けください」

 参議院議員から鞍替えし、東京7区から自民党公認で立候補した丸川珠代氏が連日、涙ながらに落選危機を訴えている。

「丸川さんは、清和会からバックされたパーティー券の還付分822万円を政治資金報告書に記載していなかったとして、党から戒告処分を受けました。また、今回の選挙では比例名簿への記載を見送られたため、小選挙区で当選しなければ落選が決まります」

 危機的状況を救うべく、“大物婦人”も応援にかけつけている。港区区議が苦笑気味に明かす。

「16日、安倍晋三元首相の妻、昭恵さんが応援のために選挙区入りしました。昭恵さんは、『主人が撒いた種が丸川さんの中で育ってくれたら』と強く訴えていましたが、『撒いた種=裏金事件』だという捉え方をした人もいて、少しざわつきました。丸川さんは選挙というよりも、釈明に追われている状態。かなり厳しい戦いになるでしょうね」

 参議院選挙では当選3回を数え、直近2回は東京選挙区でトップ当選も果たしている。環境相や五輪相も歴任した丸川氏だが、港区と渋谷区で構成される新7区への浸透具合はまだまだ未知数だという。先の区議がこう続けた。

「参議院選挙で各区別の得票数が高かったことで、勝機ありと踏んだんでしょう。しかし、知名度で集票できる東京選挙区と違い、小選挙区はやはり“どぶ板”です。地域の代表として、票の掘り起こしをしなければなりません。釈明ばかりでは埒があきませんよ。しかも、三つ巴とされる立憲民主党の松尾明弘さん、日本維新の会の小野泰輔さんも現職議員で重複立候補です。丸川さんの余裕のなさがマイナスに働いていますね」

 さらに丸川氏の場合、“家族”も窮地に立たされている。

「夫であり、同じく旧安倍派の大塚拓氏も528万円の裏金が発覚し、党から戒告処分を受け比例名簿への記載がありません。2012年から埼玉9区で連続4回当選しているものの、これまで3回連続で戦っている立憲民主党の杉浦慎治氏との票差は、毎回、縮んでいます。

 大塚氏は、もとは狭山市長だった大野松茂元議員の地盤を継いだ落下傘です。頼みだった大野元議員の後援会は高齢化が進んでいる一方、自前の後援会組織が整備できていません。そもそも、裏金問題で党から処分を受けたときに、大塚氏は『強い憤りを覚える』と“逆ギレ”していたんですよ。今更、反省を述べても、なかなか理解は得られないでしょう」(後援会関係者)

 これまでは、夫婦で互いの選挙区に入り、応援演説をすることで文字通り支え合ってきた2人。だが、今回はこの強みを活かすこともできない。

「この2人が並んだら、“裏金夫婦”だと揶揄されるのは間違いないですからね。あらゆる武器を封印されてしまい、打開する手立てがない絶望的な状態です。大塚氏の発言が象徴するように、裏金事件に対して有権者の怒りがこれほどまでに強いということを、わかっていなかったのがそもそもの原因です。2人にもそれぞれ言い分はあるでしょうが、政治資金の不記載があったのは間違いない。同情できないですよ」(前出・後援会関係者)

 民意は10月27日にわかるはずだ。