武道館ライブ即日完売に、特番放送…いま「とんねるず」がふたたび注目を集めるワケ

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ドキュメントと2億4千万の2本立て

19日夜、2時間超のゴールデン・プライムタイム特番『とんねるずの2億4千万の大陸スペシャル ライブ裏側初公開&密着』(フジテレビ系)が放送される。

その内容は、11月8・9日に開催される日本武道館ライブに向けたドキュメンタリー風の『笑熱大陸』と、郷ひろみの「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」に複数のものまねを盛り込む『2億4千万のものまねメドレー選手権』の2本立て。

どちらも2018年まで放送されていた『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の人気企画であり、ひさびさの復活に反響の声があがっている。

そもそもフジテレビの番組にとんねるずが出演するのは、『みなさん』の最終回が放送された2018年3月22日以来、約6年半ぶり。時代は平成から令和に移り、コロナ禍を経て、民放各局の評価指標が変わった今、なぜとんねるずの特番なのか。期待されていること、注目を集めるところ、影響を与えそうな意外な人々などを掘り下げていく。

「武道館ライブ即日完売」の必然

武道館ライブのチケットは即日完売。高値での転売が問題になるなど、人気が健在であることを印象付けている。ただ、とんねるずにとって29年ぶりのライブであり、そもそもヒット曲が多いだけに当然かもしれない。

「一気!」「雨の西麻布」「歌謡曲」「やぶさかでない」「嵐のマッチョマン」「迷惑でしょうが…」「情けねえ」「ガラガラヘビがやってくる」「一番偉い人へ」「がじゃいも」。さらに野猿の「Be cool!」「First impression」、矢島美容室の「二ホンノミカタ -ネバダカラキマシタ-」なども含め、ひさびさに聴きたいという人は多いのではないか。

石橋は自身のラジオで「テーマは“泣かせる”です」と話していたが、これらから何が歌われるかは未知数。しかし、過去の実績とファン層の多さに加えて、石橋貴明のYouTubeチャンネル登録者数や再生回数を見ても、「日本武道館と言わず東京ドームでも満員にできた」という声もあがっている。

また、ライブの復活という流れに乗って、各局が放送する「年末の大型歌番組に出てほしい」という声もあがるのではないか。関係の深いフジテレビの番組で言えば『FNS歌謡祭』が現実的であり、実現すれば目玉になり得るだろう。

とんねるずとフジテレビの港浩一社長は『オールナイトフジ』『みなさんのおかげです』などで40年以上にわたって仕事を続けてきた盟友だけに、今回の特番からどんな展開につなげていくのか。音楽特番に限らず、次回の特番など、さまざまな可能性が期待されている。

2人がそろった際のパワーとオーラ

しかし、そんなレジェンドとは言え、6年半も前に低視聴率を理由に冠番組が終了し、他局も含めて「地上波のレギュラー出演がない」という状態が続いている。

2人はその代わりに個人で自由度の高い活動をしているが、だからこそ今回の特番で注目をされているのは、“とんねるず”として石橋貴明と木梨憲武がそろって出演することの効果。「同じ番組にとんねるずとして出演した際のパワーやオーラ、特別感やテンションがどうなのか」を業界関係者は注目している。

2000年のスタートから毎年ほぼ1月2日に放送されている『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』(テレビ朝日系)は25年目を迎えた今年も高視聴率をキープ。2人がそろうことによるパワーやオーラ、特別感やテンションを見せている。ただ、同特番は国民的アスリートの出演が多いだけに、純粋にとんねるずの現在地点をはかることは難しい。

しかし、石橋は事前コメントでドキュメンタリーの『笑熱大陸』について「木梨と別々で撮った」ことを明かしていた。石橋は「木梨が何をやっているのかわからず不安」と話して笑いを誘ったが、ファンたちは「2人一緒の映像はないのか……」などと不安視している。

ファンを楽しませることを第一に考え続けてきた2人が悲しませるようなことをするのか。さらにネット上で批判が集まりやすい今、制作サイドが“共演詐欺”のようなことをするのか。どちらも考えづらいが、実質的な共演の有無が注目のポイントとなっている。

民放主要4局がターゲット層を拡大

もう1つ、業界内で注目されているのが、どのような結果が得られるのか。

今秋、日本テレビは「コア層(13〜49歳)に振り切る」と断言していた戦略を「コア層+個人全体(全年齢層)」に変更。TBSもターゲット層を4〜49歳から、上限を10歳上げた59歳に変えた。テレビ朝日はもともと中高年層を含むオールターゲット戦略を掲げている。また、フジテレビは家族などで一緒に見る「共視聴」を目指す戦略であり、そのターゲットに50代の団塊ジュニア世代も入っているのは間違いないだろう。

つまり民放主要4局すべてが50代以上の視聴者層をターゲットに組み込んだことになり、「この先はそれに合わせたキャストの起用が進んでいく」と見られている。

実際、今秋TBSは中居正広(52歳)、東野幸治(57歳)、ヒロミ(59歳)がMCの『THE MC3』、生瀬勝久(64歳)がMCの『それって実際どうなの会』をレギュラー放送化。フジテレビも『この世界は1ダフル』のMCに東野幸治、『ザ・共通テン!』のMCにヒロミ、テレビ朝日も『有働Times』のメインキャスターに有働由美子(55歳)を起用している。

現在とんねるずの2人は62歳。彼らのメイン支持層は50代で昭和時代から爆発的な人気を誇っていただけに、今秋の傾向は追い風に違いない。特番が良い結果を得られたら局を越えて次のオファーにつながっていくだろう。

そして、実は注目されているのが、若年層の反応と配信再生数。『みなさん』の終了から6年半の時が過ぎたことで、「一周回って新鮮な存在として映るのではないか」「『スポーツ王』だけでなく『こんなに面白いのか』と気づかれるかもしれない」などの期待感もあるという。同世代のダウンタウンが開店休業状態の中、とんねるずは復活の年になっても驚きはない。

「みなさん」名物コーナーが復活か

あらためて今回の特番に注目すると、とんねるずのコアなファンだけでなく、『みなさん』を見ていた人々が期待の声をあげている。

それはひとえに『2億4千万のものまねメドレー選手権』の復活によるところが大きい。『みなさん』の終了後、『博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜』が特番として復活して以降、現在まで『2億4千万』がそれに続くことを願う声があがっていた。それだけに今回の発表には喜びの声が多く、これが一定の成果を収めれば「さらにあの企画も復活するのでは」という期待につながっていく。

すでに『新・食わず嫌い王決定戦』『モジモジくん』『全落・水落オープン』『男気ジャンケン』『とんねるずを泊めよう!』などを見たいという声があがっており、さらに『みなさん』に限らず『ねるとん紅鯨団』の芸能人版を期待するコメントも散見される。

そんな期待感を後押しするのが、局を越えた名物コーナーの復活。9月28日に『内村プロデュース』(テレビ朝日系)が16年ぶりに放送されたほか、2日にも『日テレ系クイズフェスティバル2024秋』(日本テレビ系)で『マジカル頭脳パワー』『宝探しアドベンチャー 謎解きバトルTORE!』のクイズが放送された。名物コーナーの復活はもはや業界全体の傾向であり、若年層の受けも悪くない中、港社長の後押しを受けられるとんねるずに関しては期待していいのではないか。

思い起こされるのは『みなさん』最終回のエンディングで、とんねるずが歌った『情けねえ』の歌詞。「この国を滅ぼすなよ」を「バラエティを滅ぼすなよ」に、「この国をおちょくるなよ」を「フジテレビをおちょくるなよ」に変えて歌ったことが反響を呼んだ。

6年半の時を経て放送される今回の特番、さらにライブ以降、とんねるずはどんなアクションを起こしていくのか。2人はバラエティとフジテレビへの思い入れが深いだけに、両者のためにまだまだ大暴れするかもしれない。

「テレビ特番で集結」の流れを作るか

最後にふれておきたいのは、とんねるずがアクションを起こしたときに影響を与えそうな人々について。

解散や活動休止をしたかどうかを問わず、「大物の再集結」は視聴者にとっても、業界にとってもインパクトがある。芸人、アイドル、アーティスト、アスリートなどのジャンルを問わずカリスマ性のあるユニットやチームが再集結することの効果は大きい。ファンのみならず世間の人々に前述したパワーやオーラ、特別感やテンションの高さを感じさせられるだろう。

実際、『とんねるずのスポーツ王』は年に一度、2人がそろう特番として一定のそれらを感じさせてきた。たとえば、今回の特番以降フジテレビでも“年に一度のとんねるず特番”が定番化できたら、他の大物芸能人たちにも影響を与えるのではないか。

「年に1回。それが難しければ数年に1回のテレビ特番のみメンバーが顔を合わせる」ことが新たな活動タームになったら、視聴者にもテレビ局にもメリットは大きい。アイドルならSMAPや嵐が真っ先に浮かぶが、個人活動が多いその他の芸人やアーティストなども含めて、メンバーの再集結やテレビ出演のハードルが下がるのではないか。

「テレビではなくYouTubeチャンネルや動画配信サービスなどで自由にやればいい」と思う人がいるかもしれないが、「不特定多数が同時視聴できる」という点でまだまだテレビの影響力は大きい。また、ジャンルを問わず大物であるほど自分を大きくしてくれたテレビへの感謝を忘れていないだろう。

もちろんテレビ側も「視聴率のプレッシャーを軽減させる」「内容はできるだけ尊重し、制約は取り払う」などの配慮が必要になる。それでもテレビ業界としては、放送収入の低下が続く中、とんねるずのような大物が再集結する場所として存在感を発揮していきたいのではないか。

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