「その色気に思わず吐息がもれてくる」…ストリップ界の「看板」一条さゆりがはまった「ロウソクの恍惚」

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1960年代ストリップの世界で頂点に君臨した女性がいた。やさしさと厳しさを兼ねそろえ、どこか不幸さを感じさせながらも昭和の男社会を狂気的に魅了した伝説のストリッパー、“一条さゆり”。しかし栄華を極めたあと、生活保護を受けるに至る。そんな人生を歩んだ彼女を人気漫才師中田カウス・ボタンのカウスが「今あるのは彼女のおかげ」とまで慕うのはいったいなぜか。

「一条さゆり」という昭和が生んだ伝説の踊り子の生き様を記録した『踊る菩薩』(小倉孝保著)から、彼女の生涯と昭和の日本社会の“変化”を紐解いていく。

『踊る菩薩』連載第18回

『「裸になるときの度胸がいい」…「性転換した」ストリッパ―が大絶賛!ストリップ界の頂点が放つ「心を掴む」魅力』より続く

人気の火付け役はロウソクショーだった

一条といえども最初から、度胸よく衣装を脱いだわけではない。デビュー当初は舞台で足が震えた。3年ほどしたころから、本格的に踊りに打ち込めるようになり、さらに2、3年して、「看板」を務めるようになっていく。

彼女の名を高めたのはロウソクショーだった。舞台に敷いた布団の上で、束ねたロウソクのロウを我が身に垂らしながら悶える芸だ。

あるとき浜松の劇場が停電となり、ロウソクを持って踊った。それが、この芸を始めるきっかけになったと彼女は語っている。

ロウと吐息が「快感」に代わる

私とのインタビューで彼女はこの芸について、こう説明した。「ロウは熱いけど、その熱さに色気がある。一生懸命やっていると、熱いと感じない。恍惚となってくる。そのうち自分が本気になって、見ている客もその気になってくる。やっぱりお客にため息をつかさなあかん。あたしが本気になると、お客は流れ落ちるロウの一滴一滴にため息をついていました。それを感じて、自分もため息をつく。熱さで汗がしたたり落ちて、ますますええ気持ちになってくる。だから、やっているときは熱さを感じないんです」

一条の言う「ため息」は、感動したときに出る吐息である。

この芸を演じる彼女の写真が残っている。直径2センチほどもある太いロウソクを3本束ね、凝固したロウが両乳房周辺に分厚く張り付いている。

「最初は2本でやっていたんです。それでは物足りなくなって、多いときは15本の束でやったね。火を付けたらロウがへっこんで、そこにロウが溜まる。それを垂らす。ひとつ間違えば、目のなかに入るしね。でも、それが刺激になって、あたしはもう旦那さんなんていらないほどの快感を覚えちゃった。あれは自分で考えたオリジナルの芸です」

『ごく普通の女性が服を脱ぐ…「他者の喜びが自分の興奮」ストリッパーの女性に隠された「刺激的な」素顔』へ続く

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