NASAの太陽観測衛星が捉えた、爆発現象「フレア」が表面に発生した時の太陽(2024年10月3日)=NASA提供

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 【ワシントン=冨山優介】米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気局(NOAA)は、太陽が活発に活動する「極大期」に入っていると明らかにした。

 極大期は今後約1年続く可能性があり、GPS(全地球測位システム)や無線通信に影響が出る恐れがあることから、注意を呼びかけている。

 太陽は約11年の周期で活動が静穏な時期と活発な極大期を繰り返している。極大期には、太陽表面での爆発現象「フレア」が大規模に発生しやすくなり、放出される高エネルギーの粒子やガスが地球に届くことで、通信障害や電子機器の故障を引き起こすことがある。

 一方、太陽フレアで放出された粒子は地球の大気に衝突した際に発光し、オーロラが出現する。極大期には、低緯度の地域でもオーロラが観測されやすくなる。今年5月には、フレアの影響で国内外でオーロラが出現したが、この時点で極大期に入っていたとみられる。

 NOAA宇宙天気予報部門長のエルサイド・タラット氏は「現在が太陽活動のピークとは限らない。ピークがいつかを特定するには数か月から数年かかる」と説明した。

 日本も、警戒を強化する。総務省所管の情報通信研究機構(NICT)は、大規模な太陽フレアの発生情報を宇宙天気予報として配信している。NICTは極大期に備え、人工知能(AI)によるフレアの発生予測のほか、通信障害などの影響を注意報や警報として発信する新システムの開発を進めている。