【これからの見通し】株式市場に警戒の動きも、為替は根強くドル高続く

 為替市場では根強いドル高圧力が続いている。株式市場では半導体株主導で軟調な動きがみられている。トランプリスクも意識されており、高率の関税賦課がインフレを通じてドル高につながる面も加わっているようだ。また、原油先物はイスラエルがイランの石油関連施設を攻撃せずとしたことや世界需要見通しの下方修正などで軟調。市場の調整圧力がドル高につながる面が指摘される。

 また、金利面からもECBや英中銀の利下げ観測が強まっている。先ほど発表された最新の英インフレデータが予想以上の鈍化を示したことが、一段と英中銀の利下げ観測を強めている。一方で、米国では強い米労働市場を背景に利下げペース鈍化の見通しが増えてきているようだ。

 日銀の安達委員が「金融政策が正常化プロセスに入る条件は既に満たしていると考えている」と述べたことで一時ドル円が下落したが、その後は値を戻している。政府と日銀の緊密な連携が合意されているなかで、早期利上げは困難であるとみられる。

 この後の海外市場で発表される経済指標は、南アフリカ小売売上高(8月)、米MBA住宅ローン申請指数(10/05 - 10/11)、米輸入・輸出物価指数(9月)、カナダ住宅着工件数(9月)、カナダ製造業売上高などが予定されている。米国からはそれほど注目度の高い指標は予定されていない。

 ロンドン市場では弱い英インフレ統計を受けた、ポンド安の動きを中心とした相場展開が想定されよう。

 発言イベント関連では、ロンドン夕刻にラガルドECB総裁がスロベニア銀行主催イベントで講演を行う。直近ECB理事会後の会見では、10月よりも12月の方がデータが出揃うと述べており、10月利下げには後ろ向きの内容と市場に捉えられていた。しかし、足元のマーケットでは10月25%利下げをほぼ完全に織り込んできている。総裁の見解に変化がみられるのかどうかがポイントとなりそうだ。

 また、米国では決算発表がたけなわとなるなかで、きょうはアルコア、モルガンスタンレー、USバンコープなどが注目される。  

minkabu PRESS編集部 松木秀明