【独自】施設閉鎖の最中に69歳入居者「老衰」で死亡…“見捨てられた老人ホーム”問題「寝耳に水」放送見て閉鎖知る事態も

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老人ホームで職員が一斉退職した問題は、施設の閉鎖にも発展している。千葉県の施設では、入所者が退所することになったが、その前は職員がいなくて本当に悲惨な状況で、全くケアが行き届いていなかった。そうした混乱の中、入居者が亡くなっていたことが新たに分かった。

施設閉鎖の最中に69歳入居者死亡…死因は「老衰」

10月11日、全ての入居者の転居が完了した千葉市の住宅型有料老人ホーム「ドクターハウスジャルダン寒川」。

14日午後3時頃に現地を訪れると、電気はついているものの人や車が行き来する様子はなく、入居者の姿は消え、施設周辺はひっそりとしていた。

職員の情報提供をきっかけに、イット!が追跡取材を続けている“見捨てられた老人ホーム”問題では、同じ会社が東京・足立区や千葉市などで運営していた老人ホームで、給料未払いをきっかけに職員が一斉退職し、さらに9月末に突然、施設の閉鎖が告げられ、残された入居者たちが退去を強いられた。

そして14日新たに、この混乱の最中、千葉市の施設で入居する高齢者が亡くなっていたことが分かった。

「私、亡くなった方の成年後見人です。2023年の12月、オープンしてすぐにその方がそちらの施設に入所されて…」

話を聞いたのは、亡くなった入居者の後見人を委託されていた社会福祉士の女性だ。亡くなったのは身寄りがない69歳の男性で、寝たきりの状態で、意思疎通は取れるものの言葉を発することは出来なかったという。

「ご本人、胃ろうとかで医療ケアがすごく必要な方で、私も月1回とか面会に行っていた」

男性が入居していたジャルダン寒川は、2023年12月にオープンしたばかりだ。パンフレットには、「『安心した生活を送ることができる』をつくる。どんなに老いても、自分らしさを忘れない、笑顔がたえない毎日を、それがオンジュアールが目指す光景です」という謳い文句があった。月額の基本利用料は10万6000円で、入居者は8畳前後の個室で暮らすという。

亡くなった入居者の後見人が最後に男性に会ったのは、9月14日に面会に行った時で、その時はいつもと変わらない様子だったという。ところが、10月4日の明け方、施設から「容体が急変した」との連絡が入った。

「内容が、『呼吸が停止しました』ということで、折り返しお電話くださいとのことだった。ずっと電話をかけ続けて、やっと朝7時過ぎになって看護師さんが出られて、『呼吸が停止してお亡くなりになっている』と」

診断書に書かれた男性の死因は「老衰」だった。

荒れ果てた室内…最後まで働き続けたスタッフの姿も

突然の事態に部屋に駆けつけた後見人の女性は、室内の荒れ果てた様子に驚いたという。

「遺体を運び出したんですけど、ベッドの下はホコリとかで汚れてたし、洗面所の方にはそのまま外した使用済みのオムツが床に置いてあったりとか……」

男性が亡くなったのは、イット!がこの問題を報じた直後。当時の施設内は、残されたわずかなスタッフが入居者の対応に当たる大混乱の真っ只中だった。危機的状況の中で強く印象に残ったのは、最後まで残って働き続けたスタッフの姿だったと後見人の女性は話す。

「コップにもお水が入ったまま、そのまま放置というか、片付けも出来なかったんでしょうね。シーツの汚れを見た時に衝撃もありましたけど……。
看護師さんは『この年齢で自分たちも行くところないんです。明日からは職が無いんです』なんて言っていたんですね。本当にこういうことがもう二度とあってはいけないな。自分自身がもっと何かできたのかなって、そういう悔しさはあります」

イット!の放送を見て「施設閉鎖」を知る

この問題をめぐっては、新たに九州からも驚きの情報が寄せられた。

「(閉鎖を知ったのは)10月に入ってからです。テレビ放送で知りました」

自らの職場の閉鎖をイット!の放送を見て知ったと話したのは、同じ運営会社が福岡・北九州市で展開していた「ジャルダン若戸」の元職員だ。ジャルダン若戸は、海に面した絶好のロケーションに2024年2月にオープンしたばかりだった。

「(給料は)8月分から出ていませんね、2カ月分」

他の施設と同様に、給料未払いによる職員の退職が相次いでいたというが、「施設閉鎖」を告げる貼り紙が届かず、職員も入居者も“寝耳に水”の事態だった。行政の協力もあり、退去期限の10月10日までになんとか入居者全ての転居を終えたという。

「放送を見て、同じ系列(の運営)ってだいたい見たら分かりますので、まさか自分の所もとは思ってなかった。ご家族さんも寝耳に水の形だったように思います。
親しくされていた入居者の方には、やっぱり泣かれる場面もありまして、ちょっとこちらも辛いな、申し訳ないなって思います」
(「イット!」10月14日放送より)