インドルピー対ドルで最安値、初の84ルピー台 原油高など重し

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Nimesh Vora Jaspreet Kalra

[ムンバイ 11日 ロイター] - インドルピーは11日、重要な節目とみられていた1ドル=84ルピーを初めて突破し、過去最安値を更新した。株式市場からの海外資金流出や中東情勢の緊迫を受けた原油高を巡る懸念が圧迫している。

ルピーは一時1ドル=84.07ルピーまで下落。前日比0.1%安の84.06ルピーで取引を終えた。インド準備銀行(中央銀行)は2か月以上にわたり84ルピーの水準を守ってきた。

ルピーは2週間余り前に83.50ルピー付近まで回復していたが、原油高や海外資金の流出、米大幅利下げ観測の後退で短期的な見通しは悪化している。海外投資家は過去9営業日、インド株を売り越している。

インド中銀は11日も市場介入を行った。トレーダーらによると、大手国営銀行はルピーの急落を防ぐためドルを売却したもよう。

カルール・ビシャ銀行のVRCレディー氏は、ルピーが一段と圧迫される可能性があるが、中銀はルピーが安定した通貨として機能するよう若干の下落しか容認しないとの見方を示した。

インドの貿易赤字が拡大し、国際収支の黒字が減少していることもルピーに対する圧力となっている。

コタック証券は「外貨準備高が潤沢なことから、中銀は引き続き過度の変動を慎重に抑制する」との見方を示した。今後3─4四半期にわたり、1ドル=83.5─84.5ルピーの範囲にとどめようとすると予想した。