サントリー・高橋藍(C)SV.LEAGUE

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 バレーボールの新リーグ「大同生命SVリーグ」が開幕する。男子は女子に先駆け11日に“聖地”東京体育館で、昨季決勝を争ったサントリー―大阪ブルテオン(B)のオープニングマッチで開幕する。サントリーは高橋藍(らん、23)、大阪Bは西田有志(24)ら今夏のパリ五輪で共闘した日本代表メンバーがネットを挟んで激突する。(取材・構成=宮下京香)

 新リーグの幕開けを飾るにふさわしい対決だ。昨季Vリーグ決勝で優勝を争った王者サントリーと大阪B(旧パナソニック)が“聖地”東京体育館で激突する。

 昨季の対戦成績はプレーオフ決勝を含め3勝2敗でサントリー。2季ぶり10度目のVメンバーに加え、パリ五輪で日本代表の主力として活躍した高橋藍、ポーランド代表で銀メダルを獲得したシリフカらが加わった。2人の新戦力はレシーブにも定評があり、攻撃の軸となる身長218センチのムセルスキーも健在で攻守で隙のない布陣となる。プレシーズンマッチの広島TH戦では4―1で勝ち準備を整えた。イタリア1部を経て新装リーグに加わった藍も「開幕にふさわしい試合を見せる」と意気込む。

 昨季決勝でサントリーに0―3で敗れ、5季ぶり制覇を逃した大阪Bは今季も選手層が厚い。代表の得点源・西田を筆頭に主将の山内、富田、米国代表のジェスキー、キューバ出身のロペスら強力な攻撃陣を誇る。WD名古屋から移籍のセッター永露とのコンビネーションが鍵。五輪で日本代表に貢献した伊藤健士コーチ(43)も加入した新体制で昨季決勝の雪辱を期す。

 この開幕カードで最大の見どころは、やはりパリ五輪を共闘した藍と西田のマッチアップだろう。パリ五輪の競技別のテレビ中継の視聴率でもNO1に輝いた男子日本代表同士の対決は、バレーファンならずとも見たい。藍は「代表で一緒にやっていたのでお互い知っている中、駆け引きも面白いかな」と胸を躍らせる。西田も「五輪の熱狂をSVリーグでも体現しレベルの高いバレーを繰り広げたい」と熱闘を誓う。

 日本バレー界の新時代の幕開け。歴史の証人になるのはファンだ。

 ◆藍と対角構想「一緒嬉しい」 サントリーサンバーズ大阪・アレクサンデル・シリフカ

 パリ五輪で48年ぶりのメダルとなる銀を獲得したポーランド代表が、日本のリーグに初参戦。日本代表の高橋藍と対角を組む構想もあり「守備やパスが上手。一緒にやれるのがうれしい」と胸を弾ませた。リーグの規定では前身Vリーグから同時にコートに立てる外国人選手が2枠に増え、出場機会が得られる。「強いチームでプレーできて光栄。優勝に貢献」と掲げた。

 ◆「僕のモチベ」兄に負けん 日本製鉄堺ブレイザーズ・渡辺晃瑠

 昨季プレーオフ6位の雪辱に燃える。SVリーグ初戦は12日にヴォレアスとホームの大阪で激突。米ハワイ州出身のミドルブロッカーは「楽しいバレーを展開し、昨季以上の結果を残す」と決意。兄・飛勇(ひゅう、25)はバスケットボール日本代表でBリーグの信州に在籍。「兄は常に僕のモチベーション」と偉大な兄からの刺激を力に変え、世界最高峰を目指す。

 ◆来場10万人へ「大きな挑戦」 東京グレートベアーズ・柳田将洋

 SVリーグ初年度のホーム来場者総数「10万人」を目標に掲げた。昨季の6万2859人を上回る数字に「大きなチャレンジ。ファンの方と一体となって頑張りたい」と意気込む。昨季はプレーオフに一歩届かず7位に終わり、雪辱の思いがある。「優勝を目指している。その中で昨季の悔しさがあるので、まずはそこを乗り越えられるようにやる」

 ◆3季ぶり復帰で「熱い試合を」 ジェイテクトSTINGS愛知・宮浦健人

 パリ五輪日本代表オポジットがポーランド、フランスでのプレーを経て3季ぶりにチームに戻った。「海外からトップ選手が参戦し、レベルは上がっていて楽しみなリーグ。熱い試合を届ける」と決意。パリ五輪銅メダルの米国代表アウトサイドヒッター、トリー・デファルコらスターも加入。12日にホームの愛知・岡崎市でVC長野との初戦を迎え、日本一に挑む。

 ◆大同生命SVリーグ 2027年シーズンまでに完全プロリーグ化、30年に世界最高峰リーグを目指しスタートするバレーボールの新リーグ。「S」には「Strong(強く)」「Spread(広く)」「Society(社会)」などの意味がある。前身のVリーグがSVと2部のVに分かれ、SVは5項目のSVライセンスを保有するクラブが参戦(2024―25シーズンは男子10、女子14)。11〜12日の開幕から4月までのレギュラーシーズン(RS)を行い、4〜5月にRS上位チーム(男子6、女子8)が進むチャンピオンシップで王者を決める。