免疫力を強化して身体の炎症を抑える食べ物9選
根気強くひとつのことを考えられない、寝ても疲れが取れない、よく目が霞む、歩くのが遅くなった……。「老い」は気付かぬうちに少しずつあなたを蝕んでいく。老いを少しでも遅くしたいと願わない人などいないだろう。そこで、食事術や生活習慣といった「不老術」をアメリカの名医がまとめた本が誕生、NYタイムズベストセラーに選ばれ、エリック・シュミットといった数多くの著名人から絶賛を受けている。世界9カ国以上で刊行の話題作『医者が教える最強の不老術』より、内容の一部を特別公開する。
最高の免疫食は「ビタミンC」「亜鉛」
「セレン」「ビタミンD」を含んだディナー
私たちの免疫システムは完璧なバランスを保とうとする。少々の免疫活性化は有益だが、多すぎるとマイナスに働く。炎症の原因には、有害物質、アレルゲン、感染症、ストレスなどもあるが、大部分の人にとっては、食べ物が原因であることが最も多い。
ここで簡単なおさらいをしよう。糖とデンプンは血糖値を急上昇させ、それによりインスリンが急上昇する。インスリンは、糖やデンプンを腹部や内臓の周囲にある脂肪細胞と呼ばれる細胞に蓄積させる。この脂肪が過剰に蓄積した細胞は、代謝やホルモンを混乱させ、大々的に炎症を引き起こす。
アルコール依存症の人が酔うためにどんどん多くのアルコールを必要とするように、糖やデンプンを摂取すればするほど、インスリンの作用に抵抗する力を克服するために、さらに多くのインスリンが必要になる。インスリンがさらに増えると、脂肪もさらに蓄積され、炎症もさらに増える。
そして糖は、炎症を促進する一方で、感染に対する免疫反応も抑制し、マイクロバイオーム内の悪玉菌を増殖させる。その結果は、リーキーガットとさらなる炎症だ。
脂肪も、もう1つの炎症の引き金である可能性がある。科学的にはまだ議論のあるところだが、加工食品の量が大幅に増えたことで、オメガ6脂肪酸を多量に含む精製油の摂取量も増えてきた。
オメガ6脂肪酸は必要だが、摂り過ぎはよくない。かつて狩猟採集民だった頃、私たちはオメガ6脂肪酸をナッツや種子などの植物から摂取していた。工業的に生産され、溶剤で抽出され、熱処理された大量の酸化油から摂取していたわけではなかったのだ。
さらに私たちは、魚介類を除き、オメガ3脂肪酸を含む大部分の食品を排除してきた。鍵となるのはバランスだ。オメガ6脂肪酸を摂り過ぎると、オメガ3脂肪酸の抗炎症作用が阻害されて、炎症が引き起こされる可能性がある(*1)。
オメガ6脂肪酸は、ナッツや種子などの自然食品から、または精製されていない植物油から摂るのが最適だ。そして、天然の小魚からオメガ3脂肪酸を摂ることも忘れないようにしよう。
集団研究では、オメガ6脂肪酸を自然食品から摂っている人々は、総合的に健康状態が良好であることが示されている。豆類、ナッツ類、種子類は食べるものの、食物油にはエキストラ・バージン・オリーブオイルしか使わず、他の精製油は口にしないサルデーニャやイカリアの人々は、その例だ。
食物過敏症や食物反応は、炎症のもう1つの主要な引き金となる。それらは、ピーナッツアレルギーのような本当のアレルギーに比べて、より微妙で全身的な炎症を引き起こし、症状の診断も難しい。反応を引き起こす最も一般的な食品は、グルテン、乳製品、穀物、豆類、大豆、卵、ナッツ類、種子類、ナス科の植物だ。
グッドニュースは、自然界に存在する、最も優れた抗炎症化合物の1つは、植物性食品に含まれるポリフェノールであるということだ。それらの化合物を見つける最良の方法は、虹のへりの色、つまり赤、橙、黄、緑、紫色の色鮮やかな植物性食品を探すことだ。
エキストラ・バージン・オリーブオイルは、きれいな緑色をしており、オレオカンタールを含んでいる。オレオカンタールは、イブプロフェンに似た抗炎症作用を持つが、副作用は一切ない。
ターメリック、ジンジャー、ローズマリーなどのスパイスは、抗炎症作用の発電所だ。肉をこれらのスパイスと一緒に調理すれば、潜在的な炎症がすべて中和される(*2)。キノコ類は免疫システムを調整するだけでなく、抗がん化合物を含んでいる。また、ビタミンC、亜鉛、セレン、ビタミンDが豊富な食品は、免疫力を強化し、炎症速度を低下させる。
というわけで、エビと亜麻仁(亜鉛)、ライム汁とコリアンダー(ビタミンC)、卵(セレンとビタミンD)とポルチーニ茸(ビタミンD)からなるディナーは、最高の免疫食ということになる。これらすべての食材を一緒に摂ることはないかもしれないが、コツはおわかりいただけただろう!
*1 Innes JK, Calder PC. “Omega-6 Fatty Acids and Inflammation.” Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 2018;132:41-48.
*2 Li Z, Henning SM, Zhang Y, et al. “Antioxidant-Rich Spice Added to Hamburger Meat during Cooking Results in Reduced Meat, Plasma, and Urine Malondialdehyde Concentrations.” Am J Clin Nutr. 2010 May;91(5):1180-84.
(本原稿は、『医者が教える最強の不老術』からの抜粋です)