「本部はフランチャイズ(以下、FC)店舗を金稼ぎの道具と見ているとしか思えません。年末に行われるキャンペーンに参加しない店舗は、事実上の営業停止に追い込まれてしまうのです」

【写真】「グッズ、チラシを買わないと本部からペナルティが…」FC店舗オーナーからの告発を受ける見澤直人社長(47)

 そう嘆くのはハウスクリーニング業界の大手「おそうじ本舗」のFCに加盟し、首都圏で店舗を構えるオーナーのAさんだ。


全国1765店舗を構えるまでに成長した(おそうじ本舗のHPより)

「グッズ最低50個」「チラシ1万枚」の購入を求められた

 そもそもおそうじ本舗とはどのような会社なのか。同社を運営するHITOWAライフパートナー株式会社について、経済部記者が解説する。

「HITOWAグループは、生活支援サービスを始め、福祉や介護、保育など社会や人々の暮らしをサポートする事業を展開していることが特徴。右肩上がりで成長を続けており、23年度のグループ連結売上高は640億円になります」

 おそうじ本舗のオーナーのAさんが語る。

「毎年行ってきた利用客に掃除グッズを配布する年末キャンペーンが、今年も11月と12月に行われることになりました。そこで配布するためのグッズを最低でも50個と宣伝用のチラシ1万枚を購入するようにと、8月下旬、本部からのメールにあったのです」

 年末キャンペーンとは、期間内にクリーニングを頼んだ利用客に洗剤やクロス、コーティング剤といった掃除道具のセットを配布するというものだ。

 問題はペナルティにあるとAさんは嘆く。

Aさんが証言する「ペナルティの実態」

「グッズやチラシを購入しなかったFCには事実上のペナルティが料されます。本部から送客を停止されたり、キャンペーンの未実施店舗としてHPに店名が記載されることになっています。なかでも、本部からの送客は新規顧客を獲得する上で重要な役割を果たしているので、送客停止は売り上げ減に直結します」

 これらのやり方に法的な問題はないのか。FC契約や企業法務に詳しい杉本拓也弁護士が解説する。

キャンペーンに未参加の場合、本部からの送客停止や本部がコンシューマ非対応の旨の誓約書を提出させるという対応は、加盟店にとってペナルティが極めて大きい。このことから事実上の仕入れの強制となり、独占禁止法の優越的地位の濫用に該当すると考えられます。また、FC契約時事前に説明された売上が実態とかけ離れている場合、ぎまん的顧客誘引に該当し、これも独占禁止法違反となる可能性が高いです」

 おそうじ本舗を運営するHITOWAライフパートナーは、オーナーの悲鳴をどのように受け止めているのか。質問状を送付すると回答があった。

──年末キャンペーンで使用する掃除グッズ50個とチラシ1万枚を購入するようFC店舗に要求している?

「プレゼントグッズの購入等については、チェーンを挙げての全国キャンペーン実施、コンシューマー市場に対するキャンペーン告知を目的とし、加盟店様にご協力をお願いしているところです」

──未参加店舗への送客停止は事実か?

「(グッズを)ご購入されない加盟店舗様においては、キャンペーン内容を履行できず、お客様の期待するサービス提供が不可能なため、加盟店舗様に対する本部からのお客様送客は停止せざるをえない状況であります」

「週刊文春電子版」では、複数のおそうじ本舗のオーナーが、本部から事実上強制されるグッズ購入の実態やその他の独占禁止法違反の疑いを告発。それに対する、HITOWAライフパートナーからの驚きの回答も含めて詳報する。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル)