1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」再審で、静岡地方裁判所は9月26日、袴田巖さん(88)に無罪判決を言い渡しました。長年、袴田さんを支えてきた弁護団、そして姉の秀子さん(91)は今回の再審判決、そして、これまでの公判をどう総括したのでしょうか。

【写真を見る】「神々しく聞こえた」袴田巖さん無罪判決に姉ひで子さん涙止まらず 弁護団が総括【「袴田事件」再審判決】

<袴田さんの姉 ひで子さん>

「本当にみなさま、長い裁判でありがとうございました。無罪を勝ち取りました。裁判長が『主文、被告人は無罪』と言ったのが神々しく聞こえました。私はそれを聞いて感激するやら、うれしいやらで涙が止まらなかった。1時間、また涙があふれ出てきておりました。それで後のことは、本当に聞き取りませんでした。そういうわけでございますので、あとのことの説明は弁護士さんにお願いいたします。本当にみなさま、長い間ありがとうございました。まぁ、きょう(巖さんが)起きていればね。きょう話をするつもりなんですが、巖の状況は安定しませんのでね。やたら話すというわけにはいきませんのちょっと顔色を見まして、きょう、あすのうちに『無罪になったよ』ということを言いたいと思っております」

<袴田弁護団 小川秀世主任弁護人>

「はっきりと捏造を認定され、しかも検察官と警察官がタッグして一緒になって捏造をしてきたんだというような、そういうところも強くはっきりと認定をしたというところが、いままでの再審請求審の中の決定にはなかった大きな重要なポイントだったというふうに思っています」

<LIVEしずおか 井手春希キャスター>

「弁護団会見は午後5時半から行われています。静岡市民文化会館で弁護団の記者会見が行われていますが、会場には250人を超える人たちで埋め尽くされています。会見の内容としては、今回の判決で5点の衣類や供述調書などのねつ造について、しっかり踏み込んで指摘をしていて、捏造だと裁判所が認定してくれたことは評価している。一方で、取り調べの仕方、調書のあり方、そして再審法改正に向けては、まだまだ課題が残っているという厳しい指摘もありました。一緒に会見を聞いていました安田さんは特に印象に残ったことは何でしたか」

<フォトジャーナリスト 安田菜津紀さん>

「巖さんの姉のひで子さんが、普段自分はこう涙を流さない方だけれども、きょうは判決を聞いていて、自然と涙が出てきたんだということをおっしゃっていたのが印象に残っているんですが、ただ、やはりひで子さんの喜びだったり、心が震えるほどに、なぜここに巖さんが来れなかったのか。ここに巖さんが来れない意味とは何なのかということを突きつけられます。長期ににわたる不条理な拘禁の間、心身に与えた影響というのは非常に深刻なわけですし、しかもその不条理な拘禁というのが証拠の捏造からつながってしまったものなんだとすれば、やはりなぜこれが起きてしまったのかということをしっかり検証した上で、せめて繰り返されないための仕組みに落とし込んでいくということが私たちに求められます」

<LIVEしずおか 井手春希キャスター>

「司法に翻弄されたこの58年という月日を無駄にしないように、さらにこう改正を進めていってほしいと感じます」