ネットサーフィンをすると不快な広告や興味のない広告が何度も表示され、通信量が大幅に引き上げられてしまうほか、一部の広告は有害な違法薬物を宣伝しているとの指摘もあります。近年では、テクノロジーの進歩がユーザーのオンライン体験を向上させるという一般的な予想に反して、オンライン広告は年々増加傾向にあると、専門家が指摘しました。

Why is the internet overflowing with rubbish ads - and what can we do about it?

https://theconversation.com/why-is-the-internet-overflowing-with-rubbish-ads-and-what-can-we-do-about-it-237980



オンライン広告が自分に合致し、関連性が高い場合、ユーザーはその広告に関心を持つ可能性が高くなるという研究結果があり、対照的に不特定多数に向けた広告や、不適切なポップアップ広告に対してユーザーは煩わしいと思う傾向があるという研究結果も報告されています。

「こうした不適切な広告を目にした場合、迷惑に感じたユーザーは大抵の場合該当のサイトを離れることになります」とエディス・コーワン大学のスティーブ・ダレッサンドロ教授は指摘しました。不適切な広告は人々のオンライン体験に悪影響を与えるだけでなく、ビジネスにも悪影響が及びます。

しかし、インターネット上には無関係な広告がはびこっており、2022年の調査では、Facebook上で表示される約3分の1の広告がユーザーにパーソナライズされていない、無関係な広告でした。

一方で、あまりに広告がパーソナライズされている場合、プライバシーの侵害が疑われます。ユーザーはパーソナライズされた広告に対して嫌悪感を抱きがちで、パーソナライズされた広告は侵襲的であり、バナー広告を邪魔だと感じる傾向があることが指摘されています。



そこで、広告の表示をオプトインまたはオプトアウトするための研究も進められており、これまでの研究でオプトイン・オプトアウトできる機能がある場合、パーソナライズされた広告は効果的であることが明らかになっています。しかし、多くのソーシャルメディアサイトではオプトアウト条項を設定していません。

こうした迷惑な広告が氾濫する主な理由についてダレッサンドロ教授は「ほぼ全てのオンライン広告が自動化されていること」と指摘しています。実際にアメリカではバナー広告やポップアップ広告、その他のデジタルディスプレイ広告の約90%が自動化されていることが明らかとなっています。

こうした広告は「プログラマティック広告」と呼ばれ、人間の介入なしにウェブサイトやソーシャルメディアのフィードに自動的に配置されます。これらの広告への総支出額は年々増加しており、2013年には49億9000万ドル(約7140億円)でしたが、2023年には1568億ドル(約22兆4300億円)にまで増加していることが報告されました。

さらに、オーストラリア国内では2024年だけでオンライン広告の量は9.3%増加しているほか、オンライン広告市場は37億オーストラリアドル(約359億円)規模にまで成長しているとのこと。



ダレッサンドロ教授によると、ユーザーが目にする広告の数には法的な制限がないため、こうしたプログラマティック広告が氾濫しているそうです。

ダレッサンドロ教授はGoogleなどの企業に対し、カルーセル広告のようなユーザーが広告に対してより大きなインタラクティブ性を持てる広告を掲出すべきだと提唱しました。インタラクティブ性が高い広告は、ユーザーからのエンゲージメントが向上することがこれまでの研究で明らかとなっています。

ダレッサンドロ教授は「魅力的でユーザーへの関連性の高いオンライン広告を作成するにはコストや時間を要します。しかし、ユーザーへの宣伝効果は高く、ユーザーが抱く嫌悪感ははるかに小さくなるはずです」と語りました。