「ドカ食い」の欲求はどうすれば抑えられるのか?
人間の脳は食べ物、特に脂肪や塩分、糖分の多い食べ物を見たり匂いを嗅いだりすると「食べたい!」と強く思うようにできています。この食べ物への渇望は、単に「食べたい」という思いにとどまらず、胃酸の生成や胃の活動の活発化といった身体的反応を伴うため、抗うのは困難です。どうすればこの渇望に抵抗できるのか、心理学者がいくつかのヒントを示しています。
What causes food cravings? And what can we do about them?
オーストラリア・西シドニー大学のガブリエル・ワイデマン心理学准教授とモナッシュ大学のジャスティン・マールバーグ心理学研究員によると、私たちが食べ物の広告を見て「食べてみたい」と思うのは脳の設計通りの反応だとのこと。特に、脂肪や砂糖、塩分の多い食べ物については「どうすれば再び入手できるか」を学習するようにプログラムされているそうです。
実際に「食べたい」と思ったものを食べるか食べないかは、入手難度や価格、自分の健康目標などに左右されますが、ワイデマン准教授らによると、人間は「長期的にみればいい気分になれる」といった抽象的な目標よりも「食べる喜び」のように即物的な報酬を優先してしまうそうです。
また、ストレスを受ける環境にあるときも、食べることに大きな喜びを感じるようになるため、「ドカ食い」してしまう傾向があるとのこと。
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by Anete Lusina
食べ物の誘惑は非常に強力なもので、別に「食べたい」という気持ちがないときでも、特定の食べ物を求めてしまうことがあります。「だんだんおいしいとも思わなくなっていくけれど、それでもポテトチップスの大袋を全部食べてしまう」というのは、これが理由で、意志の力だけで踏みとどまるのは多くの人にとって難しいことだと、ワイデマン准教授らは述べています。
誘惑に抗うことや欲求をコントロールすることは難しいものの、「食べ物を選べるように状況をコントロールすることはできる」ということで、ワイデマン准教授らは「ドカ食い」欲求への対抗策として以下の5つを挙げています。
1:欲求を認めた上で、欲求を満たせるより健康的な方法を考える。たとえばポテトチップスの代わりにナッツ類を食べたり、甘いものならフルーツを食べたりと、選べる選択肢に健康的なものを作っておくという手があります。
2:空腹時の買い物を避け、あらかじめ買い物リストを作っておく。配達なども駆使することで「目についたので思わず買ってしまった」という衝動買いを避けることができます。
3:家では果物や野菜を目につくところに置いておく。また、ナッツ類やプレーンヨーグルトなど、栄養価が高く、繊維質が豊富な無加工食品を常備しておくのも手です。できれば、脂肪分・糖分・塩分の多い食品は近くに置かないことです。
4:食事目標はSMART、つまり具体的(Specific)・測定可能(Measurable)・達成可能(Achievable)・目的に合致していている(Relevant)・期限付き(Time-bound)がいいとのことです。
5:自分に優しくすること。健康目標に合致しないものを食べてしまっても、自分を責めず、できるだけ続けるように努力するのがポイントだとのことです。