手取り30万円です。生活水準を崩したくないので年金は「月30万円」は欲しいです。そもそも「月30万円」もらえる人はどれくらいいますか?将来の年金受給額を増やすことは可能ですか?
老齢年金の平均年金月額
老齢年金のうち老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給額は以下のとおりです。
・老齢基礎年金:月額6万8000円(令和6年度の金額、満額の場合)
・老齢厚生年金:月額23万483円(夫婦2人分の金額、老齢基礎年金を含む標準的な額)
老齢基礎年金の給付額は毎年見直されます。なお、満額とは20歳から60歳まで40年間(480ヶ月)国民年金保険料を漏れなく払い続けた場合の金額です。何らかの理由があって国民年金保険料を納付していない期間がある場合、その分だけ年金額が少なくなります。
老齢厚生年金は、厚生年金の被保険者期間や給与の平均額などによって受給額が異なります。そのため、受給開始になるまで年金額がどのくらいになるのかが確定しません。
30万円以上もらえる人は少数だが一定数いる
年金受給額が30万円以上になる人は一定数存在します。老齢基礎年金の受給額は満額で月額6万8000円なので、老齢厚生年金と合わせて30万円以上(老齢厚生年金の受給額が毎月23万円以上)もらえる人はどのくらいいるのかを図表1でまとめたので参考にしてみてください。
【図表1】
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
平均年金月額は14万3973円(男性:16万3875円、女性10万4878円)となり、もっとも受給権者数が多かったのは10~11万円の112万7493人、次に9~10万円の112万3972人でした。
平均年金月額や老齢厚生年金月額別の受給権者数の割合を見てみると、毎月30万円または30万円を超える年金をもらえる人は限られることが分かるのではないでしょうか。
年金を月に30万円もらうために必要な年収の目安
年金を毎月30万円もらうためには、厚生年金被保険者期間と収入がどのくらいだったかによって異なります。老齢厚生年金の受給額を知るためには、以下の計算式を用いて算出が可能です。
・平成15年3月以前に厚生年金へ加入:平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月以前の加入月数
・平成15年4月以降に厚生年金へ加入:平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入月数
国民年金を満額納付した人の受給額は毎月6万8000円と定められています。そのため、毎月30万円の年金をもらうためには厚生年金の受給月額を23万2000円にしなければなりません。(厚生年金に平成15年4月以後に40年間加入し、40年間の年収は一定)
・平均標準報酬額×5.769/1000×480ヶ月=278万4000円(老齢厚生年金の年間受給額 23万2000円×12ヶ月)
・平均標準報酬額=278万4000円/{(5.769/1000)×480)}≒100万5374円
・年収に換算した金額:100万5374円×12ヶ月≒1206万円
年収の目安は約1206万円です。
将来の年金受給額を増やす方法
生活水準を崩さないために、毎月30万円の年金をもらいたいと思ってもそのとおりになるとは限りません。ねんきんネットやねんきん定期便などで自分の年金見込み額の目安を確認し、不足があるようなら年金受給額を増やす方法を検討してみてください。
将来の年金額を増やす方法はいくつかありますが、定年退職を迎える60歳までに検討できる方法は以下のとおりです。
・60歳以降も働いて厚生年金に加入する
・iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用し、節税しながら60歳以降に年金または一時金を受け取る
将来の年金受給額を理解して増やすための対策を検討しよう
定年退職し、年金生活に入っても現役時代の頃の生活水準を崩したくない、年金受給額は毎月30万円くらいならば安心という場合、国民年金だけでなく厚生年金の被保険者期間やどのくらいの収入を得ていたかが重要になります。
将来の年金額を増やしたい場合、早めに対策を検討したほうがよいに越したことはありません。定年退職後も働いて厚生年金に加入する、iDeCoの活用といった方法で年金額を増やすなどしてみてください。
出典
厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー