森保ジャパン、中国戦で4−2−3−1ならトップ下は南野拓実か。鎌田大地というチョイスもないとは言い切れない
9月5日に行なわれる2026年北中米ワールドカップのアジア最終予選初戦・中国戦が迫ってきた。
2日の始動日は16人のみの参加だった日本代表だが、今回はできるだけ早く全員が揃うように日本サッカー協会がベルギーのリエージュからチャーター便を手配。天候不良で同便に乗れなかった堂安律も3日朝には別便で到着し、3日の練習には27人全員が揃った。
今年1〜2月のアジアカップ期間中の週刊誌報道で代表を離れていた伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)も7か月ぶりに復帰。前回の2022年カタール・ワールドカップ最終予選でチームの全12得点中半分以上に絡んだ救世主が戻ってきたことで、攻撃はより一層、活性化しそうだ。
前回予選の初戦オマーン戦で手痛い敗戦を喫している日本の森保一監督は、中国戦に手堅いメンバーを送り出すと見られる。2024年の9試合で4−1−4−1(4−3−3)、3−4−2−1、守り固めの5バックと様々な布陣にトライしている指揮官だが、やはり最終予選の一発目はベースの4−2−3−1に原点回帰するのではないか。
ただ、試合中の可変は織り込み済み。今のメンバーは森保体制で長くやってきた面々が多いため、試合展開や相手の出方を見ながら臨機応変に対応できるはず。そこは心強い材料と言っていい。
4−2−3−1でスタートする場合、気になるのはトップ下のチョイス。今のところ三笘薫(ブライトン)と伊東の“左右の槍”が揃って先発すると見られるため、彼らとスムーズに連係し、2人の力を引き出せる人材がベストということになるだろう。
ここまでの9試合を見てみると、トップ下に入った回数が最も多いのは南野拓実(モナコ)。久保建英(レアル・ソシエダ)と堂安律(フライブルク)もその位置でプレー経験がある。ただ、久保の先発時は4−3−3のインサイドハーフがメイン。堂安にしても右FWや右ウイングバック中心で、トップ下はイレギュラーだ。
カタールW杯までのファーストチョイスだった鎌田大地(クリスタル・パレス)も6月シリーズで3−4−2−1の2シャドーの一角に入っていて、最近はトップ下でプレーしていない。その状況を踏まえると、純粋なトップ下という意味では南野が最有力と言えそうだ。
実際、南野は他の3人に比べて最もFWに近いプレーヤー。モナコでもセカンドトップで異彩を放ち、得点という結果も残している。中国相手に両翼が敵陣を切り裂いてクロスを入れ、上田綺世(フェイエノールト)と南野がゴールに飛び込んでいくような決定機を数多く作れると考えるなら、この組み合わせが最適解と見ていい。
【画像】ついにW杯アジア最終予選スタート!中国、バーレーンとの闘いに挑む日本代表招集メンバーを一挙紹介!
ただ、中国がそこまでフリーでスペースを与えてくれるかどうかは未知数。となれば、中盤で少し工夫をつけながら、相手と駆け引きして、自らもフィニッシュに持ち込める久保の方がいいかもしれない。アジアカップ最大のビッグマッチだったイラン戦でスタメンだった通り、最近の森保監督は久保への信頼を強めている様子だ。
確かに彼はリスタートのキッカーとしても計算できるし、サイドに流れてチャンスメイクもできる。多彩な能力は疑いの余地はないが、気がかりな点があるとすれば、伊東との共存経験が極端に少ない点ではないか。そのリスクを指揮官がどう考えるのか。そこをしっかりと見極めたい。
一方の鎌田だが、新天地では目下、シャドーを主戦場にしている。「僕自身はもう少しボランチ気味でプレーするのかなと思っていたし、(オリバー・グラスナー)監督とも話していたんで、多少ビックリしています」と本人も言う。それでも、複数ポジションをハイレベルでこなせるのが彼の良さでもある。
「タケならドリブルだったり、拓実君ならゴールを決めるとか、自分の持ち味を出さないといけない。僕の場合はわりといろんなチームでそこ(トップ下)でプレーしていて、ゴールやアシストも取れたりしているんで、目に見える結果とかいろいろできたらいいと思ってます」と、鎌田はどんなタスクを与えられても自分らしさを出せる自信があるようだ。
そこは森保監督にとっても心強い点。ボールを収めて試合の流れを変化させたり、周りを活かすという部分は、やはりこの男が頭抜けている。その力を重視するなら、鎌田というチョイスもないとは言い切れない。
いずれにせよ、誰が先発だったとしても、序盤から攻撃のギアを上げ、守備面でもハードワークして、相手に隙を与えないような仕事が必要不可欠だ。3年前のオマーン戦で先発した鎌田は、特にその重要性を強く脳裏に焼き付けて、ピッチに立たなければいけない。
「前回はもちろん先輩たちが『難しい』と伝えてくれていましたけど、多くの選手が初めての最終予選ということもあって、その難しさを本当に分かっていなかったところもあると思う。今は前回戦っている選手もたくさんいるし、抜け目なくやれるのかなと思います」と彼は力を込めていた。
堂安を含め、欧州5大リーグの上位クラブでプレーする攻撃的MFがズラリと揃っている今の日本代表。彼らをうまく使いこなせてこそ、2026年W杯でベスト8以上が見えてくる。森保監督には卓越した采配力を示してほしいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
2日の始動日は16人のみの参加だった日本代表だが、今回はできるだけ早く全員が揃うように日本サッカー協会がベルギーのリエージュからチャーター便を手配。天候不良で同便に乗れなかった堂安律も3日朝には別便で到着し、3日の練習には27人全員が揃った。
今年1〜2月のアジアカップ期間中の週刊誌報道で代表を離れていた伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)も7か月ぶりに復帰。前回の2022年カタール・ワールドカップ最終予選でチームの全12得点中半分以上に絡んだ救世主が戻ってきたことで、攻撃はより一層、活性化しそうだ。
ただ、試合中の可変は織り込み済み。今のメンバーは森保体制で長くやってきた面々が多いため、試合展開や相手の出方を見ながら臨機応変に対応できるはず。そこは心強い材料と言っていい。
4−2−3−1でスタートする場合、気になるのはトップ下のチョイス。今のところ三笘薫(ブライトン)と伊東の“左右の槍”が揃って先発すると見られるため、彼らとスムーズに連係し、2人の力を引き出せる人材がベストということになるだろう。
ここまでの9試合を見てみると、トップ下に入った回数が最も多いのは南野拓実(モナコ)。久保建英(レアル・ソシエダ)と堂安律(フライブルク)もその位置でプレー経験がある。ただ、久保の先発時は4−3−3のインサイドハーフがメイン。堂安にしても右FWや右ウイングバック中心で、トップ下はイレギュラーだ。
カタールW杯までのファーストチョイスだった鎌田大地(クリスタル・パレス)も6月シリーズで3−4−2−1の2シャドーの一角に入っていて、最近はトップ下でプレーしていない。その状況を踏まえると、純粋なトップ下という意味では南野が最有力と言えそうだ。
実際、南野は他の3人に比べて最もFWに近いプレーヤー。モナコでもセカンドトップで異彩を放ち、得点という結果も残している。中国相手に両翼が敵陣を切り裂いてクロスを入れ、上田綺世(フェイエノールト)と南野がゴールに飛び込んでいくような決定機を数多く作れると考えるなら、この組み合わせが最適解と見ていい。
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ただ、中国がそこまでフリーでスペースを与えてくれるかどうかは未知数。となれば、中盤で少し工夫をつけながら、相手と駆け引きして、自らもフィニッシュに持ち込める久保の方がいいかもしれない。アジアカップ最大のビッグマッチだったイラン戦でスタメンだった通り、最近の森保監督は久保への信頼を強めている様子だ。
確かに彼はリスタートのキッカーとしても計算できるし、サイドに流れてチャンスメイクもできる。多彩な能力は疑いの余地はないが、気がかりな点があるとすれば、伊東との共存経験が極端に少ない点ではないか。そのリスクを指揮官がどう考えるのか。そこをしっかりと見極めたい。
一方の鎌田だが、新天地では目下、シャドーを主戦場にしている。「僕自身はもう少しボランチ気味でプレーするのかなと思っていたし、(オリバー・グラスナー)監督とも話していたんで、多少ビックリしています」と本人も言う。それでも、複数ポジションをハイレベルでこなせるのが彼の良さでもある。
「タケならドリブルだったり、拓実君ならゴールを決めるとか、自分の持ち味を出さないといけない。僕の場合はわりといろんなチームでそこ(トップ下)でプレーしていて、ゴールやアシストも取れたりしているんで、目に見える結果とかいろいろできたらいいと思ってます」と、鎌田はどんなタスクを与えられても自分らしさを出せる自信があるようだ。
そこは森保監督にとっても心強い点。ボールを収めて試合の流れを変化させたり、周りを活かすという部分は、やはりこの男が頭抜けている。その力を重視するなら、鎌田というチョイスもないとは言い切れない。
いずれにせよ、誰が先発だったとしても、序盤から攻撃のギアを上げ、守備面でもハードワークして、相手に隙を与えないような仕事が必要不可欠だ。3年前のオマーン戦で先発した鎌田は、特にその重要性を強く脳裏に焼き付けて、ピッチに立たなければいけない。
「前回はもちろん先輩たちが『難しい』と伝えてくれていましたけど、多くの選手が初めての最終予選ということもあって、その難しさを本当に分かっていなかったところもあると思う。今は前回戦っている選手もたくさんいるし、抜け目なくやれるのかなと思います」と彼は力を込めていた。
堂安を含め、欧州5大リーグの上位クラブでプレーする攻撃的MFがズラリと揃っている今の日本代表。彼らをうまく使いこなせてこそ、2026年W杯でベスト8以上が見えてくる。森保監督には卓越した采配力を示してほしいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)