人生100年時代、第二の人生をガラリと変える人もいます。結婚、子育て、離婚、病気を経て、昨年からスペインへの単身留学を送っている55歳のRitaさんは、日本とスペインの違いについて発信していることで人気です。海外暮らしをしているRitaさんに海外で暮らすときの生活費の節約のコツについて教えてもらいました。

海外暮らしでの生活費節約のコツ

海外で生活を続ける際に、不安が尽きない生活費。安全面を守りながらも現地での生活を充実させ、そしてせっかくだから他の地域へ旅行もしたいし…と、バランスを考えながらの生活が必要です。

【写真】宿泊は安く抑えるドミトリーで

スペインの物価はとくに安くはなく、牛乳は1Lで160円前後、カフェでサンドイッチと飲物を注文すると1500円程度はかかり、日本より少し高く感じる品物もあります。できるだけ節約をしたいと思いつつも、食べない・買わない・行かないといった窮屈すぎる節約方法では、体調にも響きそうですし、なによりもスペインに住んでいる意味合いさえも忘れてしまいそうです。

今回は今ある環境を楽しみながらも、心がけている節約術をまとめてみました。

1:極力、自炊をしています

スペインで外食をすれば、たとえば前菜・パエリア・魚料理・飲物を複数人で注文した場合、1人4000円程はかかることが多いです(店舗により違いがあります)。そのため日常的には自炊を心がけ、現地の食材で炒め物をしたり煮物をする毎日です。

スペインの主食はパンですがパスタや米類も販売され、たとえば500gのスパゲッティは200円程度で購入できます。チェーン展開しているスーパーも地域により値段設定がだいぶ違うため、観光地ではなくローカルエリアで購入すると費用が変わることも覚えました。

アジア食品を扱う店舗は、調味料など日本の1.5〜2倍の金額がしますが、しょうゆやみそはレパートリーが大幅に増えてホッとできる一品にもなるので、臨機応変に活用しています。もちろん料理酒はワインで、みりんは白ワイン+はちみつでなど、現地食材で代用することも習慣化しています。

2:ときには外食を楽しみます

自炊を基本にしているものの、レストランでの食事こそ本場ならではの味わいや雰囲気が感じられ、スペインのよさにひたれる時間なので、大切にしています。

外食をがむしゃらに控えることはせず、メリハリをつけています。たとえば遠距離から友達が訪ねてきたとき、お世話になった知人との食事などは、惜しまず外に出かけ、気になっていたお店や気になっていたメニューを存分に楽しみます。店舗情報は、地元の人たちから聞くとコストパフォーマンスが高い店舗が多く、日々お気に入りメモを増やしているところです。

3:衣服類はリサイクル品を安く買って楽しみます

マドリードの町には洋服のリサイクル店が多く、私も頻繁に利用しています。中古品でも傷みが少なめでサイズや色側も豊富で、手に取りやすい印象です。1着4ユーロ→3ユーロ→2ユーロ→1ユーロ(160円程度)と日々減額されていくときがあり、掘り出し物を探しに行くのも楽しみのひとつです。リサイクル店には古着の回収BOXがあり、極力1枚購入したら1枚提供する心がけでいます。

また、大通りには日本でも見かける衣類メーカーの店舗が並び、サマーセールやブラックフライデーなどに50%以上安くなる時季もあります。新品の購入はセール期を把握しておくことで、だいぶお得に買い物が可能です。

4:美術館は入館料がおトクになるように利用します

マドリードには150もの美術館・博物館があると言われていますが、規模の大きなところでは入館料が15ユーロほど(2400円程)します。芸術に触れることもマドリードならではの醍醐味と思い、私は1年間パスポート(35ユーロ・国立施設限定)を購入しました。自分の興味に加え、訪ねてきた友人と同伴で入ることも多く、元を取るのもあっという間でした。また週に一度ほど、無料の開放時間を設けているところが多いので、控えておくと便利です。

落ち着いた作業場所として公共の図書館も重宝しています。自由に使える勉強机やコンセント・Wi-Fiが設置された所が多く、無料で寛げる絶好の場所です。コーヒー好きな私としては…早めに起きられたとき、早めに帰れそうなとき、自宅ではない場所でコーヒーを飲むこともひそかな楽しみにしています。コーヒー1杯の金額は店舗によりだいぶ変わりますが、1杯300円ほどを理想としています。

5:移動手段を工夫して安く抑えます

マドリード市内の地下鉄は1乗車で190円ほど。地下鉄とバスが1か月乗り放題(限定エリア内)のカードは3400円程で購入可能のため、毎日利用する人には断然乗り放題がおトクです。

また、スペイン国内で他の地域へ行く際の移動は、バス・電車・飛行機を選ぶことになりますが、同じ行き先でも時間帯や運営会社によって価格が大幅に変わります。バスは移動時間がかかりますが、金額は電車の半額以下だったり、時間帯によっては飛行機でもあまり変わらないことがあります。できるだけ費用を考慮して移動日程を考えると、コストがずいぶん変わってきます。

6:ひとり旅の費用は1万円以内がルールです

スペイン国内を周ることが多い私の旅。多くの土地を見てみたい思いがあり、費用もできるだけ抑えたいと思っています。ひとり旅のときは、コストの低い移動手段と移動日を選び、宿泊はできるだけドミトリー(1部屋に複数人の宿泊)。外食は1日1回程度、ほかはスーパーや市場で購入したものを持ち帰ったり公園で食べることが基本です。

旅行時の1日の費用は、極力1万円以内に抑えたいと思っています。理想としては宿泊費5000円+移動費3000円+食費2000円。なにかがはみ出てしまったらなにかを抑え…余裕があったら宿泊を個人部屋にしてくつろぐ日をつくります。私の旅の目的はその街を歩くこと。衣食住以外に大きな出費は抑えています。

7:日々、お金を使わない楽しみ方をしています

ドライヤーが壊れたらネジを回して解体してみたり、壁の穴を見つけたら粘土質のものを埋めてみたり、以前だったら買い直すことや業者を呼ぶことしか思いつかなかった私が、DIYもどきにもトライするようになりました。

今の最大の楽しみは、日常の中でスペインの新たな一面を感じることです。求めるものが変わるとコストをかける場所が変わり、工夫も見出せるようになってきました。

もちろんちょっとしたおしゃれやおいしいものにも興味はありますが、ネイルや白髪染めも自宅でできる範囲で不自由は感じなくなり、限られた範囲で限られたもので十分楽しめるようになってきました。