スピードが持ち味の名種牡馬「エンドスウィープ」を紹介 イメージを覆し芝向きの大物を多数出した傑物
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【エンドスウィープ】
1998年に初年度産駒が2歳戦で33頭勝ち上がり、新種牡馬の北米新記録を樹立しました。自身は米G3を勝った程度の競走馬でしたが、父が米2歳牡馬チャンピオンのフォーティナイナー、母が米G1を勝ったブルームダンスという良血がモノをいい、種牡馬として成功しました。
5年目の種付けシーズン終了後に日本にやってくると、ダート向きの評価を覆してアドマイヤムーン(ジャパンC、宝塚記念、ドバイデューティフリー)、ラインクラフト(桜花賞、NHKマイルC)、スイープトウショウ(宝塚記念、秋華賞、エリザベス女王杯)といった芝向きの大物を出し、なおかつ距離の融通性も見せました。サンデーサイレンス牝馬との相性が抜群で、このパターンは芝を苦にせず距離的な融通性のある産駒を出す原動力となりました。
アメリカで誕生したサウスヴィグラス(JBCスプリント/父の初年度産駒)、プリサイスエンド、スウェプトオーヴァーボードといった後継種牡馬は、フォーティナイナー系らしいダート向きの特長を備えています。ダート向きのこれらのラインと、芝向きのアドマイヤムーンとで、父系のタイプは二分されています。いずれにしてもスピードが持ち味です。
◆血統に関する疑問にズバリ回答!
「アメリカで種付け料が一番高い種牡馬はどの馬ですか?」
2024年の種付け料は、イントゥミスチーフとカーリンが25万ドル(約3600万円)で並んでいます。もう1頭、プライベート扱いですが、ガンランナーも25万ドルといわれています。つまり、イントゥミスチーフ、カーリン、ガンランナーの3頭が横並びで25万ドルの最高価格となります。
イントゥミスチーフは2019年以降、5年連続で北米チャンピオンサイアーの座にあり、今年も2位以下を大きく引き離して首位を独走しています。それを考えると、最高額とはいえ横並びに甘んじているのは不思議な気もします。
ちなみに日本では、メタマックス、ソニックスターなどJRAで出走した32頭の産駒のうち25頭が勝ち上がっています。勝ち上がり率はじつに78%。これは驚異的な数字です。しかし、重賞勝ち馬はまだ出ていません。