住宅型有料老人ホームの仕事内容とは?サ高住との違い、人員基準についてわかりやすく解説
1.住宅型有料老人ホームとは
住宅型有料老人ホームとは、生活支援サービスが付いた高齢者向けの居住施設です。高齢者の心身の健康維持や生活の安定を目的とし、老人福祉法に定められています。
主な提供サービスは、食事の提供や洗濯、掃除、見守りなどの生活支援サービスのほか、外出支援、緊急対応などです。また、ほかの高齢者施設と比べて体操やゲーム、カラオケ大会などのレクリエーションやイベントごとが充実している点が特徴といえます。
住宅型有料老人ホームは、おおむね60歳以上の自立から要介護までの幅広い利用者が対象です。介護サービスの提供を目的としていないため、介護職員の配置は義務付けられていません。もし、入居者に介護が必要になった場合は、住宅型有料老人ホームで生活しながら、外部の訪問介護サービスなどを利用します。
住宅型有料老人ホームのなかには、認知症があっても受け入れている施設や、同じ施設内に訪問介護事業所やデイサービスを併設している施設もあり、介護付き有料老人ホームと実質的に変わらない施設もみられます。
住宅型有料老人ホームの数は、全国に1万1,064ヶ所あり、利用者数は32万8,506人と年々増加しています(2021年時点)。また、その多くは民間企業によって運営されています。
入居者の内訳を見てみると、自立から要介護2までが半数近くを占めているほか、要介護3~5までも同程度おり、要介護度ごとに大きな偏りがないことがわかります。
2.介護付き有料老人ホーム・サ高住との違い
住宅型有料老人ホームに似た特徴を持つ施設として、介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
*1…おおむね60歳以上であり、要介護認定もしくは要支援認定を受けている人
*2…高齢者住まい事業者団体連合会「関係団体ヒアリング資料」より
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームは、どちらも老人福祉法によって定められた施設です。
両者の違いは、提供するサービス内容と人員体制です。住宅型有料老人ホームで介護サービスを利用する場合、外部の介護サービスと別途契約を結ぶのに対し、介護付き有料老人ホームは特定施設*の指定を受けているため、施設内で一体的に介護保険サービスを利用できます。またこれに伴い、要介護者3人につき、1人の介護職員の配置が必要です。
*厚生労働省が定めた運営基準を満たしたうえで、都道府県や市町村に申請をおこない、指定を受けた介護施設のこと
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と住宅型有料老人ホームの違いは、法律と利用方式です。住宅型有料老人ホームが老人福祉法で定められているのに対し、サ高住は「高齢者の居住の安全確保に関する法律(高齢者住まい法)」に定められています。
サ高住の居室は、住宅型有料老人ホームより広く規定されているのが特徴です。また、住宅型有料老人ホームが利用権方式*なのに対し、サ高住は賃貸契約方式が採用されています。
*居住部分の利用料と介護や生活支援サービスの利用料が一体となった契約方式
3.住宅型有料老人ホームで働く職種と仕事内容
住宅型有料老人ホームには、管理者1人の配置が必要ですが、そのほかの職種についての基準は定められていません。施設ごとに入居者数や提供するサービス内容に応じて、以下の職種を必要数配置します。
管理者・施設長の主な業務は、入居者と職員の管理、経営、行政対応です。入居者管理では、入退居時の面談や、入居後の状態把握をおこないます。職員の管理では、採用から教育、配置などをおこないます。加えて、請求業務や収支管理などの経営と、行政機関への各種届出も担当します。
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主な業務内容は、入居者が受ける介護サービスの計画書作成と、サービス実施状況の把握・見直しです。住宅型有料老人ホームに関わるケアマネジャーは、施設ケアマネとして住宅型有料老人ホームに所属し、入居者のみのケアプランを作成するパターンと、併設されている居宅介護支援事業所に勤務して入居者以外の利用者も担当するパターンがあります。また、地域包括支援センターなどに勤務するケアマネジャーが担当する施設もあります。
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入居者に医療的ケアが必要な場合、看護師や准看護師を配置している施設もあります。主な業務内容は、入居者のバイタル測定や健康管理、服薬管理・指導、訪問診療の付き添い、オンコール対応に加え、インスリン注射や喀痰吸引などの処置です。
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生活相談員の主な業務内容は、入居者やご家族の相談対応や、ケアマネジャーなど他職種との連携・調整、介護職員のサポートなどです。生活相談員として働くためには、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかが必要な職場がほとんどです。
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介護職員の主な業務内容は、生活支援として入居者の身の回りの世話やサポート、レクリエーションの企画・実施などです。メインともいえる生活支援では、食事の提供や入浴準備など一日のあらゆる場面で入居者を支える役割を担います。
介護サービスは外部に委託するため、食事・排泄介助などの身体介護が発生しない点が特徴です。また、ほとんどの施設では、シフト制による夜勤が発生します。夜勤業務は主に、夕食の配膳、就寝後の巡回、事務作業などです。
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栄養士の主な業務は、献立の作成や栄養計算、発注です。入居者の要介護度に合わせた食事の提供や誕生日会、敬老の日などの行事食に力を入れている施設もあり、イベントの立案や主導を任されることもあります。
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調理師の主な業務は、栄養士が作成した献立をもとにした調理、盛り付け、配膳、食器洗浄、清掃です。無資格・未経験可としている施設もあります。
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住宅型有料老人ホームで働く介護職員の一日の流れとして、以下の例が挙げられます。
4.住宅型有料老人ホームの給料
住宅型有料老人ホームでは、正職員や契約職員、パート・アルバイトの求人があります。ジョブメドレーに掲載されている住宅型有料老人ホームの求人情報から、管理職、介護職、看護師(准看護師)の給料を算出しました。
なお、残業手当など月によって支給額が変動する金額は集計対象外のため、実際に支払われる賃金はこれより多くなる可能性があります。
*年収は「月収の総平均 × 14ヶ月(ボーナスは月収の2ヶ月分)」で試算
5.施設数が多く特色もさまざま
住宅型有料老人ホームは、自立から要介護まで幅広い人を対象とした、生活支援サービス付きの高齢者向け居住施設です。介護が必要になった場合は、外部サービスを利用する点が特徴で、その施設数と利用者数は年々増加しています。
施設によって提供するサービスや特色が異なり、それらに応じて仕事内容も異なります。入居者数が少ない施設では、アットホームな環境となるよう一人ひとりとじっくり関わることが重要視されることがあります。また、要介護度の高い人や認知症のある人を受け入れている施設では、介護の実務経験が求められることが多いでしょう。
住宅型有料老人ホームでの仕事に興味が湧いたら、経験やスキル、希望に合う職場を見つけてみてください。
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参考
・厚生労働省|高齢者向け住まいの今後の方向性と紹介事業者の役割