ATMから出てきたお札に「落書き」が! 警察に通報すべき? 交換は可能なの? 元銀行員の筆者が解説

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手元のお金を見たら「文字や絵などの落書きがあった!」と驚くこともあるでしょう。偽札を作ることは当然違法ですが、お札に落書きをすることは違法にはならないのでしょうか。また落書きがあることを知りながら使用するのは法律上問題ないのでしょうか。 本記事ではお札の落書きに関する法律的解釈と、そのようなお札を見つけたときにどうしたらいいのかについて元銀行員の筆者が解説します。

お札に文字が書いてあるのは意外とよくある?

文字が書いてある状態の紙幣は、実は銀行員にとっては「あるある」です。いわゆる「落書き」として絵が描いてあるものはあまり見かけませんでしたが、文字が書いてあるものは何枚も取り扱ったことがあります。
たまたまボールペンが紙幣に触れて線が入ってしまったと思われるものや、鉛筆で紙幣に数字や「〇」が書いてあるものなどさまざまです。推測ではありますが、現金を管理するときに10万円ずつまとめて、その10万円の束の数がわかりやすいように数字を書いているのではないかと思われます。
 

お札に落書きをするのは罪になる?

国立印刷局によると、お札への落書きや書き込みは「法令上、直ちに違法な行為とは言い切れません」とのことです。紙幣への落書きを禁ずる明確な法律がないため、落書きのある紙幣を見つけても警察に届け出る必要もありません。
しかし落書きにより、本物にない書き込みや印字があったり偽造防止の絵柄が隠れてしまったりすることによって、本物か偽札かの区別がつきにくくなることが考えられます。
またATMや自動販売機で使えないなどのトラブルにもつながりかねません。 紙幣を切り刻んだり、燃やしたりする行為はもちろんいけませんが、ちょっとした落書きやメモも、場合によってはその紙幣を使う人たちや取り扱うレジの人たちが困惑することがあるのでやめましょう。
 

落書きのあるお札はそのまま使える?

結論から言うと落書きのある紙幣でもそのまま使うことができます。ただし書き込みのある紙幣や折り目が多い紙幣はATMや自動販売機でうまく認識されないことも考えられます。不安な場合は銀行で交換してもらいましょう。紙幣の損傷具合によっては日本銀行による鑑定後の交換になることもあるので注意してください。
 

貨幣を損傷させた場合は罪になることも

解説した通り、紙幣は落書きをしたり傷つけたりしても直ちに法律で罰せられることはありません。しかし貨幣の場合は「貨幣損傷等取締法」という法律があり、硬貨を損傷させたり、溶解させたりするような行為は禁止されています。
硬貨に穴を開けたり、文字や絵柄が見えなくなるほど磨いたりしてはいけません。ただし火災など事故によって、意図せず硬貨を破損してしまった場合は罪に問われることはなく、通常通り銀行で交換を依頼することができます。
 

お金は大切に扱おう

「財布に入っているお金は自分のもの。お札に落書きをするのも自由」そう思う人もいるかもしれません。しかし「お金は使うもの」であり、いずれ他の人の手に渡って使われていくものです。次に使う人のことも考え、故意に汚したり破いたりしないように丁寧に扱いましょう。
 

出典

国立印刷局 お札に関するよくあるご質問
e-Gov法令検索 貨幣損傷等取締法
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級