パク・イェニ「ニューヨーク大学&ハーバード大学院で勉強…ソン・ソック先輩と共演したい」
映画「彼女が死んだ」でBJ(Broadcasting Jockey:放送司会者)のホルギ役を演じた女優パク・イェニが、新人らしくない抜群の存在感で強烈な印象を残した。ストレートな物言いにグサッとくる悪口、目立ちたが屋の性格まで。彼女はなかなか好感が持てないBJ役をリアルな演技で表現し、好評を得た。実際にBJをキャスティングしたのかと思うほどだったが、実は彼女はニューヨーク大学とハーバード大学院で演技を専攻したエリートだった。5歳から女優を夢見たという彼女は、演技のため5ヶ国語に歌やフェンシング、乗馬、ボクシング、テコンドーまで学んだという。“何が好きなのか分からなくて全部習った”新人俳優パク・イェニに会った。
パク・イェニ:1回目は映像を撮って送って、2回目は監督と対面して行いました。映画のオーディションを受ける時は、私の姿をそのまま見せる方なので、1回目の映像を撮る時はほとんどメイクもしていなくて、本当にナチュラルに家のリビングで撮影して送りました。それから2回目のオーディションは監督と会ってキャスティングされました。その時、監督がすごく若くてカッコよくて驚いた記憶があります。このような話は恥ずかしいのですが、監督が「実物の方が良い」と言ってくださって、とても嬉しかったです。ハハ。
―― アフリカTVから飛び出してきたのかと思いました。リアルなBJの演技で話題になりましたが、キャラクターの研究はどのようにしましたか?
パク・イェニ:監督が撮影に入る前からお願いしていたことがあります。絶対に他のアフリカTVのBJやYouTuberの映像を見るなということでした。そのため、誰かの真似をするよりは、私の中にある多くの語調の中から一つを取り出して演技しました。友達に何かをうまく説明したい時に使う言葉遣いを、ホルギという人物に反映させました。
―― グサッとくる悪口が圧巻でした。
パク・イェニ:監督が雰囲気をほぐしてくれたおかげでアドリブがかなりありましたが、特に悪口は……ほとんどアドリブでした(笑)。ホルギは誰かを攻撃する配信をするBJじゃないですか。そのため、辛辣な言葉が必要でした。観客が見た時、爽快感と拒否感を同時に感じてほしいと思いました。わざとひどい悪口をたくさん入れて演技しました。とてもひどい悪口だったので、監督にいつも「大丈夫でしょうか?」と聞きながら言っていました。その度に「すごく良い」と言ってくださったのでよかったです。監督の好みにぴったり合う悪口だったんだと思って安心しました。
―― 言語でも悪口でも発音が本当にいいですね。最近の言葉で言うと「ディクション天才」です。
パク・イェニ:ハハハ。ありがたい言葉ですが、実はこれが私にはコンプレックスでもあるんです。単語一つひとつをあまりにもはきはきと言う習慣があって、ややもすると演技がぎこちなく見えることもあると思います。演技に力を入れすぎた感じがするのではないかと心配する時もあります。
――ホルギという人物についてはどのように考えていますか?
パク・イェニ:う〜ん……この人を理解しようと努力しました。人を攻撃する配信をすることにはそれなりの理由があるだろうと思いました。ホルギは自身が考えた時、理不尽だと思ったら、それを暴かなければならないキャラクターです。ソラ(シン・ヘソン)を攻撃したのも、単に嫉妬心だけではなかったと思います。明らかに嘘だけど、後援金をどこに使うのか明確ではないので、暴いてみなければならないと思ったのでしょう。実は最初は「なぜそこまで攻撃するのだろうか」と思いましたが、ある瞬間から少しは理解できました。ソラにもジョンテ(ピョン・ヨハン)にも、ある程度は感情移入できたんです。みんな人がどういうふうに生きているのか気になるし、注目されたい気分になる時があるじゃないですか。ホルギも自身が思う不条理なところを暴きたい気持ちが他の人より強い人なのです。そう思うとある程度理解できました。
――MZ世代(ミレニアム世代+Z世代)の監督と若い俳優たちが一緒だったため、撮影現場の雰囲気も良かったと思いますが、いかがでしたか?
パク・イェニ:舞台挨拶の映像に投稿されたコメントを見たら「俳優たちの雰囲気が良さそうだ」と言ってくださっていましたが、正解です。演技もそうですが、性格を見ても相性が良かったです。シン・ヘソン先輩、ピョン・ヨハン先輩は単純に「性格が良い」のレベルを超えて、善良だと思いました。普段は親近感を持てますが、カメラの前に立つと2人とも急に変わります。その姿に驚きました。ただで見物してもいいのかと思うほど驚きました。キム・セフィ監督は、普段は性格の良い町のお姉さんという感じですが、メガフォンを取る時は近づけないカリスマ性があります。監督と先輩を見ながら演技だけでなく、人間的にもたくさんのことを学びました。
――ニューヨーク大学とハーバード大学院を経た超エリートです。韓国ではなく、アメリカで演技を専攻した理由は何ですか?
パク・イェニ:すごく幼い頃から演技がしたいと思っていました。5歳の時から女優を夢見たのですが、親に強く反対されました。小学校5年生の時に演技の学校に通わせてほしいと言ったら、両親が「勉強を頑張って、良い大学に行った後に挑戦しなさい」と言いました。両親の言うことはきちんと聞かなければならないと思って、ニューヨーク大学の心理学科に合格しました。そして1年後、演技科に転科すると言ったら、両親が「その言葉をまだ覚えているのか」と驚きました。それでも私が約束を守ったので、これ以上反対はしなかったです。
――両親が今は応援してくれていると思いますが、いかがですか?
パク・イェニ:すごく喜んでいます。少し自制してもよいくらい(笑)。第1号ファンです。もう少しいくと私生ファン(サセンペン:芸能人の私生活まで追いかけるファン)になるかもしれません。ハハハ。支持してくれて、応援してくれていますので感謝しています。
――大学を卒業した後、大学院で修士まで修了した理由も気になります。
パク・イェニ:大学を早期卒業することになって、それからアメリカでオーディションを受けに行きましたが、本当に容易ではなかったです。アメリカで3回のオーディションを受けましたが、すべて落ちました。もっと学ばなければならないという気がしました。きっと考えていただけなのに、ある瞬間気がついたら大学院の志願書を書いていました(笑)。
――オーディションに落ちてハーバード大学院に合格するなんて、それほどならそのオーディションが間違っていたのではないでしょうか?
パク・イェニ:いいえ(笑)。オーディションを受けに行ったら、自分の演技に足りない部分がたくさんあることがはっきりと分かりました。もっと勉強が必要でした。
――アメリカで演技を始めた方が早かったかもしれないのに、なぜ韓国で女優デビューしたのでしょうか?
パク・イェニ:アメリカで大学を卒業すればもらうことのできる1年のビザがあって申請してみましたが、この期間中は何だかとても不安でした。安心してお金を稼げる母国に戻って仕事をしたいと思いました。そうして卒業した後、韓国に戻ってそのまま何もない状態で始めました。最初はEBSで英語の放送の仕事をしながら、私を受け入れてくれる所属事務所を探し回りました。そうするうちにMnet「君の声が見える4」とXtvN「歌に惚れる」という番組に出演することになりましたが、その番組を見て今の事務所の代表が連絡してくださいました。そして私にも心強い事務所という存在ができました。
――「賢い医師生活」がデビュー作でした。韓国で初めて受けたオーディションだそうですが、スタートから大ヒット作に選ばれました。
パク・イェニ:実は「賢い医師生活」のオーディションは、事務所がない時に受けたものなんです。女優デビューする前、私という人を知らせたくて一生懸命にYouTubeをしていましたが、その映像をご覧になった方から、DMで会おうと連絡がありました。最初は何なのかよく分からないままカフェで会おうと言われたので行ったら、「刑務所のルールブック」について聞いたことがあるかとおっしゃいました。「賢い生活」シリーズをまた制作することになったが、オーディションを受ける意志はあるかとおっしゃいました。絶対に掴まなければならないと思って、すぐに「はい、はい、はい!」と答えました(笑)。
――「WITZENマンション広告の中のあの方」で非常に有名になりましたが、この広告が人生においてもターニングポイントになったと思います。
パク・イェニ:デビュー作をこの広告に変えなければならないようです(笑)。それだけものすごい幸運をもたらした広告です。初めて韓国に来てオーディションを受けに通った時、監督たちは私の演技をあまり好まなかったんです。ところが、その広告を見てシン・ウォンホ監督をはじめ、様々なドラマ制作チームから連絡が来るようになりました。私が追求する演技スタイルを好いてくださる監督が思ったより多かったのです。その広告でパク・イェニという女優の居場所をはっきり見つけた気分でした。
――何年間演技の勉強に邁進した後、実際に女優になって演技をやってみたらいかがでしたか?
パク・イェニ:うーん、片思いが叶ったと表現したいです。今私は演技と付き合っています。長い間好きだったのですが、実を結んでからもまだまだ「あばたもえくぼ」です。まさに私が片思いした相手でした。ちょっと中二病みたいでも優しく見てください(笑)。私たち、順調に付き合っています。
――演技のため、5ヶ国語にフェンシング、乗馬、ボクシング、テコンドー、絵まで習ったと聞きました。準備を徹底していますね。
パク・イェニ:もともと学ぶことが好きなんです。学校のプログラムにあったので学んだ分野もありますが、演技のために準備したものがほとんどです。
――特に歌の実力が歌手に勝るとも劣らない水準でした。特別に習ったのでしょうか?
パク・イェニ: ただ幼い頃から歌を歌うのが好きでした。どこかで習ったことはなく、バスルームで独学しました。シャワーを浴びながら歌うと、エコーがかかってとても歌が上手な人になったような気がします。
――ミュージカルに挑戦してもすごく良さそうです。
パク・イェニ:もちろん、機会があれば必ず挑戦してみたいのですが、私は私自身の水準をよく把握しています。ミュージカルをするほどの声量ではないです。ひそひそとささやくタイプですので、観客に私の声が聞こえないかもしれません。部屋の隅、いや「浴室の隅の公演」しかやっていないので、大きな舞台には向いていません(笑)。
――女優として、ロールモデルはいますか?
パク・イェニ:ソン・ソック先輩を本当に尊敬しています。私が目指す演技スタイルであり、本当にファンなんです。悪役も、善良な役も上手じゃないですか。殺伐とした姿もありましたが、ある時はとても甘いです。これは希望なのですが、ソン・ソック先輩と刑事物を撮るのが夢です(笑)。夢がちょっと具体的です。先輩は有能な刑事で、私はそんな先輩に憧れる後輩刑事で、英語がお上手だから海外で潜伏捜査もしなければなりません(笑)。私もついてまわりながら、海外と韓国を行き来しながら捜査をするようなグローバルな刑事物を先輩とぜひ一度撮ってみたいです。
――これからが楽しみな女優です。今後どんな女優になりたいですか?
パク・イェニ:長く演技したいです。30代を過ぎて40代、50代になってもその年代に合う役をしながら、視聴者や観客に慰めをあげたいと思います。真心からの演技を通じてヒーリングを与える女優になることが目標です。
――海外進出への欲も当然あると思います。
パク・イェニ:すごくあります。最近、韓国の俳優たちが海外で注目されているじゃないですか。そのような道を開いてくれた先輩たちに感謝し、誇りに思います。おかげで私も夢を見ることができるようになりました。誇らしい韓国人として、海外に進出して名を知らせたいです。