最幸の食体験を提供する「アルギュロス」が西麻布にオープン!

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今年の最注目レストランに間違いなく名を連ねることになる「アルギュロス」が西麻布交差点すぐの場所にオープンしました。何と言ってもフランス料理やスペイン料理の名店でシェフを務めた岡崎シェフの新境地となる“コンテンポラリーキュイジーヌ”が魅力!

西麻布に登場した凄腕シェフの隠れ家レストラン

銀の元素記号をロゴに

西麻布交差点から徒歩数分の真新しいビルの1Fにオープンした「アルギュロス」。店名はギリシャ語で「銀」という意味を持ちます。金メダルを維持するのではなく常に金を狙って邁進していく店でありたいという思いを込めたそう。

西麻布らしい艶やかさがある店内  写真:お店から

「西麻布の街には豪華さを秘めたしっとり感がある、そんなイメージでこの店を作りました」と話すのはこちらのプロデューサー、塩谷茂樹さん。オープンキッチンには純銀で作ったフルフラットカウンターに「カッシーナ」の限定カラーの椅子、ショープレートやマットもシルバーカラーを使用し、シルバーが調和するように店内は金属カラーで統一しています。

ミラーが入ったアクリル製のオリジナルカトラリーレストも美しい

食器はショープレートに使う「レイノー」や、その美しい白色で数多のシェフを魅了する「ジャン・ルイ・コケ」や彼の娘が作る「シルヴィ・コケ」を中心に作陶家、井銅心平作のオリジナルなど料理が映えるものを揃えました。またファッション性に富んでいるだけでなく、約80cm間隔のゆとりある席にはコンセントと足元を暖めるパネルヒーターを設置するなど心地よさも追求しています。

岡崎陽介シェフ

こちらのシェフを務めるのは岡崎陽介さん。2003年に渡仏し「トロワグロ」「ジス」「マルクベラ」など星付きレストランで修業し、帰国後は「ブノワ」へ。その後「サンパウ」「ラ メゾン ディセットゥドゥグレ」でシェフを務めた実力者です。

食材は信頼する生産者から

食材第一主義を謳い、日本各地の生産者を訪ね、食材に対する向き合い方に賛同でき、且つ、この店のオープンに際し考案した“コンテンポラリーキュイジーヌ”に適したものを厳選。特に福島の食材にフィーチャーしているそう。「震災後、廃業した農家の2代目が勉強して非常にクオリティの高い無農薬野菜を作っています。でもまだほとんど知られていなくて、本当にもったいない。自分の足で回っていると知名度は低くとも素晴らしい食材に出会えます」と話します。

全国に足を運んで見いだした最高の食材を昇華させる!

「スッポンとハーブ」

こちらで振る舞われるのは36,300円の10品からなるコース料理。すべての料理はメインとなる食材を決めてから構築されます。それではコースの一部を抜粋してご紹介しましょう。
「スッポンとハーブ」は長崎のスッポンと広島県「梶谷農園」の11種のハーブと4種のエディブルフラワーをふんだんに使い、スッポンの煮凝りとコリンキーを合わせ、赤ワインヴィネガーで作るヴィネグレットソースでサラダ仕立てにした華やかな一皿です。

梶谷農園のハーブやエディブルフラワー

「店のオープンにあたり食材探しで初めに訪れたのが広島県の『梶谷農園』でした。摘みたてのハーブがどれだけおいしかったか。今まで扱ってきたものとは全然違いました」と、フランスでの修業先「マルクベラ」のハーブを多用した料理の味と、味だけでなくその多彩な香りに感銘を受けた岡崎さんにとって、ハーブは最重要の食材の一つ。一口ごとに変化する15種類の香りはその味わいとともに口中を楽しませます。

スッポンは長崎産か沖縄産のものを使用

そのハーブとエディブルフラワーの中から顔を出すのはスッポンの煮凝り。スッポンをサラダに使うことにまず驚きましたが、ハーブに隠れていた煮凝りのぷりっとした食感とうまみが口に広がり、さすが高級食材のスッポン!と思わせる名脇役ぶりに岡崎さんの意図を感じます。

「時不知」

こちらは函館の「小西鮮魚店」の時不知(ときしらず)を使った一皿。神経締めした鮮度抜群の時不知は皮目だけを香ばしく焼き、ミ・キュイしています。上にはフランス・ゲランド地方に珍しく南風が吹いた時にだけ採塩し伝統的製法で作られた非常に希少な塩「ゲランド フルール ド セル 南の風」をひとつまみ、最後にディルオイルをかけています。

完璧なミ・キュイ!

ソースは椎茸で作ったソースとブールブランソースを2層にしています。「福島県で見た野菜で一番印象に残ったのが小椋さんの椎茸でした。この椎茸をいかにおいしくするかと考えたらピューレだと思いました。ポタージュくらい濃厚でうまみも香りも強いのでバランスを取るためにブールブランソースを合わせました。バターを使わず葛粉で濃度をつけているので口当たりが軽く味わいだけが残ります」と岡崎さん。食材それぞれが主張するも見事に調和させた岡崎さんの手腕に胃袋が掴まれます。

メインディッシュは井銅心平作の皿にのせて

メインディッシュは「いぶさな牛 炭火焼き」です。本日はジューシーで肉のうまみが強い部位の「とうがらし」に炭火の香りを纏わせて焼いています。添えたのは京都産の「白子筍」のみ。食材のおいしさをシンプルに味わう一皿に仕上げています。

皮まで真っ白で1本3kg以上の「白子筍」は希少すぎて市場にほぼ出ない

年月をかけ養土を幾層にも重ねることで竹の根を深くして栽培する京都「辻農園」の「白子筍」は、地中にあるうちに収穫するのでアク抜きの必要がありません。通常穂先がおいしいとされる筍ですがこれは根元の方が甘く、生で食べるのが一番と言われる逸品です。皮を剥いて塩を振りローストしてシャキシャキとした食感と独特な風味を楽しみます。

ぶどう山椒が合う!

ソースは赤ワインと香味野菜と牛のコンソメを煮詰めたもの。味変に五島列島の「ひとしの塩」、和歌山県産「ぶどう山椒」、マダガスカル産の黒胡椒を添えています。熱々にした器の上で山椒や胡椒の香りが高まり食欲をそそります。またメインディッシュに必ず添えられる旬の食材で作るピューレも絶品です。

旬の素材で作る菓子

グランデセールもフルーツを決めることから始まります。本日は宮崎産マンゴーをフレッシュとキャラメリゼして火を入れるという2つの調理法で食べ比べ。「スプーンの上にフレッシュマンゴーとパンナコッタをのせています。一口で召し上がってください」と、まずはフレッシュの方を。瑞々しく甘みも十分。その余韻に浸りながら次はキャラメリゼを食します。

デザートも主役はフルーツ

こちらは薄くカットしたフィナンシェの上に紅茶のムース、マンゴーのピューレとキャラメリゼ、フランボワーズをのせ、メレンゲ、フランボワーズのグラニテ、ホワイトチョコレート、マイクロフェンネルでデコレーションしています。キャラメリゼしたマンゴーは甘みと香りが確かにフレッシュより際立ちますが、紅茶のムースやメレンゲが調和し、味に一体感を生み出します。

「ミニャルディーズまでおいしく召し上がっていただきたい」

ムースにメレンゲ、キャラメリゼしたマンゴーとこれだけ甘いものが重なるのに食後感が軽い。「10品目ともなればかなりお腹も膨れています。そこに甘くてボリューミーなデザートだと辛いかと思い、食感は軽く、油脂分の少ないデザートを作るよう心がけています」と話すのはパティシェールの白井さん。こういう心遣いはうれしいものです。

最幸の時間を提供する!

「香りを大切にしています」

「すべては食材のために!」と言わんばかりの料理は、ソースも火入れもその食材を昇華させるためにあるのだと思わせます。それは数々の名店で腕を振るってきた岡崎さんの技術と食材を愛でる心があればこそ。「おいしいは当たり前、楽しかった、おもしろかったなどプラスαがなくては。お客様に良い時間を過ごしてもらえるように料理、食材、サービス、空間すべてにこだわり、慢心することなく日々学び努力し、今一番新しくおいしいフレンチを目指したい」と話します。

趣のあるロゴ

フルフラットのカウンターで岡崎さんの高いテクニックを目の当たりにし、おいしい音と香りに包まれると自然と会話も弾みます。ここを訪れる人たちに最幸の時間を提供する「アルギュロス」は西麻布の景色を豊かにし、美食シーンの最先端を走り続けることでしょう。

※価格は税込


<店舗情報>
◆アルギュロス
住所 : 東京都港区西麻布1-12-6 ダイアンクレストビル 1F
TEL : 050-5593-8613


文:高橋綾子、食べログマガジン編集部 撮影:溝口智彦

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