インターハイで見逃せないDF&ボランチ8人「会場を沸かせるロングスロー」や「世代屈指のボールハンター」ほかを紹介
高校サッカーインターハイ注目選手 DF&ボランチ編
7月27日から福島県で行なわれる高校サッカーのインターハイ。全国各地から見逃せないチーム、選手たちが集まりしのぎを削る。ここではなかでも注目のDFとボランチを8人紹介する。
青森山田のDF小沼蒼珠 photo by Yoshida Taro
小沼蒼珠
(こぬま・そうじゅ/青森山田/DF/3年/178cm、73kg)
昨年度、唯一の2年生レギュラーとして、プレミアリーグ、選手権の2冠を達成。今年は主将として、ムードメーカーとして、"常勝軍団"青森山田を引っ張る。
自身のサッカーノートに「誰よりも努力する」と記し続けるなど、常に人一倍努力することにこだわるリーダーだ。同時に、高体連屈指の右サイドバックでもあり、厚みのある身体から強度の高い攻守を誇る。また、飛距離十分のロングスローで会場を沸かせ、ボールを奪うこと、ゴールを決めること、そして勝利への執着心の強さも魅力だ。
勝てなかったシーズン序盤の苦しい時期を乗り越え、「去年よりもタフに戦える自分がいるなっていうのは感じています」と語る闘将が、冬夏連続の日本一に挑戦する。
市立船橋のDF岡部タリクカナイ颯斗 photo by Yoshida Taro
岡部タリクカナイ颯斗
(おかべ・たりくかない・はやと/市立船橋/DF/3年/186cm、76kg)
186cmの大型ボランチは、昨年末からセンターバック(CB)のポジションに挑戦。選手権でポテンシャルを示すと、今年はDF増嶋竜也(元柏レイソルほか)やDF杉岡大暉(現FC町田ゼルビア)ら守りの要が背負ってきた「5」を託された。
波多秀吾監督から「市船の5番をつけるんだから、もっともっとやらないといけない」と求められるなか、サイズの大きさと技術力の高さを活かし、浮き球の処理や運ぶドリブル、展開力で攻守の中心になっている。
また、「点を取れるCBになることは大事」とも語り、県予選準々決勝ではチームを救う同点ゴールを決め、準決勝でも鮮烈な先制弾。全国大会でも伝統校の主将としてプライドを持ってチームを引っ張る。
帝京のDF田所莉旺 photo by Yoshida Taro
田所莉旺
(たどころ・りお/帝京/DF/3年/187cm、74kg)
川崎フロンターレのアカデミー時代に、U−15日本代表候補、U−16日本代表に選出されている。世代屈指の選手が、昨年「違う環境になった時に、自分に何ができるのかという思いも強くあった」と名門校に途中加入した。
187cmの大型DFは、ビルドアップ、ロングキックに自信を持ち、ボールを支配しながら主導権を握るチームにアクセントを加えている。守備面ではフィフティ・フィフティのボールに「行ききる」ことを意識し、ボールを奪う回数も増加。ピッチ内での発信力も強みだ。
「カナリアのユニフォームを着て、全国大会に出れることを嬉しく思うとともに、やっぱり勝たなきゃいけない」と強い"帝京魂"を持つ田所が、インターハイ制覇で"強い帝京"を取り戻す。
静岡学園のDF野田裕人 photo by Yoshida Taro
野田裕人
(のだ・ひろと/静岡学園/DF/3年/172cm、63kg)
ルーキーながらJ1で得点を重ねている、ブレイク中のDF濃野公人(鹿島)のような右サイドバック(SB)になる可能性を秘めている。昨年度の選手権初戦で1ゴール2アシストの活躍。SBの経験はまだ浅いものの、チームの連動した動きのなかでシュートを打てる位置へポジションを取り、打つ決断をすることができる。
ファーストタッチ、クロス、スルーパスの質が高く、抜群のスピードも兼備。「やっぱり一番は、攻撃で差をつけたいなっていうのは考えています」と本人は語る。
今年度は名門校の主将を務めるが、選手権後から長期離脱し、今大会の県予選後の6月にようやく復帰した。DFとして守備でも貢献し、全国大会へ連れてきてくれたチームメートへの感謝を結果で示す。
興國のDF久松大燿 photo by Morita Masayoshi
久松大燿
(ひさまつ・たいよう/興國/DF/3年/179cm、64kg)
父は智弁和歌山高で甲子園に出場した経験を持つ元・高校球児で、母はハンドボールの経験者。3歳下の妹も奈良県で中学生の陸上記録を持つスポーツ一家で生まれ育った。久松自身もアスリート能力が高く、50mを6秒2で走るスピードを生かした縦突破を武器に1年目から出場機会を掴んできた。
本職は右サイドのアタッカーだが、県予選ではケガ人の穴を埋めるべく、右サイドバックとしてプレー。積極的な攻撃参加を繰り返し、プレーの幅の広さを見せつけた。今年2月にはオーストリア2部のザンクト・ペルテンのセカンドチームに練習参加。高卒での海外進出を狙う彼にとって、初めての全国大会となるインターハイは格好のアピールの舞台だ。
昌平のMF大谷湊斗 photo by Yoshida Taro
大谷湊斗
(おおたに・みなと/昌平/MF/3年/168cm、62kg)
元日本代表FWの玉田圭司監督が率いる注目校の主将は、今春U−17日本高校選抜の活動でもキャプテンマークを巻いた実力派のボランチだ。ボールスキルの高さは世代トップクラス。指揮官も認める個性の持ち主は、今季プレミアリーグEASTの強豪相手でも全くボールを失わずに、そのドリブルを駆使して攻撃をコントロールしている。
小柄だが、空中戦で強さを発揮し、セカンドボールの回収力も非常に高い。今年はハイパフォーマンスを続けている印象だが、「やっぱりいいプレーだけじゃ終われないんで」と、求めるのはゴールやアシストだ。昌平は過去4度出場したインターハイで3度の3位。結果を残し、昌平と玉田監督に初のビッグタイトルをもたらす。
市立船橋のMF峯野倖 photo by Yoshida Taro
峯野倖
(みねの・こう/市立船橋/MF/3年/166cm、62kg)
世代を代表するボールハンターだ。名門校のボランチは1年時にU−16日本代表に選出され、2年時のインターハイでは優秀選手に選出。豊富な運動量と危機察知能力の高さによってピッチのいたるところに現れて相手ボールを刈り取り、セカンドボールを回収する。
今年はドリブルで相手の逆を突く回数が増加。プレミアリーグEAST前期最終戦の尚志戦ではミドル弾を決め、練習の成果を発揮した。1年生夏から2年生春にかけての約9カ月間は脳震盪によって活躍する機会を奪われ、昨年度の選手権も国立で戦う仲間の姿をスタンドから観戦。今回のインターハイでは「攻撃でも、守備でも、違いを見せられるように頑張っていきます」と語る。これまでの悔しさを晴らし、市船を10度目のインターハイ優勝へ導く。
大津のMF嶋本悠大 photo by Morita Masayoshi
嶋本悠大
(しまもと・ゆうだい/大津/MF/3年/180cm、67kg)
今シーズン最強の高体連チームとの呼び声が多い大津高のなかでも、ひと際目立つ存在感。インターハイに出場するボランチのなかで、指折りの選手であるのは間違いない。持ち味は高いテクニックと的確な判断を駆使したゲームメーク。「ボールに触ることが自分の良いところだと思う」と話すとおり、周囲とのパス交換や持ち運びでうまく相手を引きつけながら、味方を使って試合のリズムを作る。
「10番を背負わせてもらっているので責任感はある」と意気込む今年はゴールへの積極性も高まり、相手にとってより怖い選手になっている。すでに複数のJクラブの練習に参加し、本人も高卒でのプロ入りを意識している。進路をつかみ取るためにも、今夏の大暴れは不可欠だ。