CBR900RRが開拓した600cc車格に900ccエンジンの新境地!【このバイクに注目】(このバイクに注目)

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ハイパワーの大型化に待ったをかけた操れる醍醐味を狙う気鋭のマシン!

1980年代後半、ホンダ最速の750ccスーパースポーツは、V4エンジンが世界を席巻していた。対してホンダ社内で伝統の並列4気筒を開発してきたチームは、CBRで呼ばれるスポーツ・ツーリング的なジャンルを担当。
ただいつか逆転劇を仕掛けようと、V4は速くてもライダーの操作にシビアな面があるため、総合性能で最速ポジションを取り戻す並列4気筒マシンを画策していたのだ。

そこで開発されたCBR750RRは、鈴鹿8耐でVFRと勝負できるポテンシャルと自信を覗かせていたが、全体の戦略上で製品化まで漕ぎ着けることはなかった。

しかしもういっぽうで、リッタークラスのフラッグシップはハイパー化と同時に大型化を伴い、ライダーの手に余るモンスター揃い。
ホンダとしてはライダーが日常的なシーンで、大型バイクでも「ライダーが操る喜び」を得られるスーパースポーツが必要と、シリンダーが前傾して車体ディメンションと相性の良い、優れたハンドリングの並列4気筒で開発が決定された。

その目標値は車重185kgと750cc以下の600ccクラスに匹敵するコンパクトさと軽量であること。
そしてこの車格でリッターバイクを凌ぐ加速性能ということで、開発していたCBR750RRのエンジンサイズを拡大しながら探っていった。

もともとCBR750RRは、ボア×ストローク70mm×48.6mmの750cc。運動性能を左右するエンジン幅は右端にカムチェーンを配したスリムさ優先レイアウトのままとし、ストロークを58.0mmまで伸ばし893ccで124PS/10,500rpmと9.1kgm/8,500rpmまでパワーアップ。
これで車重185kgを160km/hまでリッタークラスと同等の加速ができるのを確認。さらにホイールベースを1,405mmとまさに600cc並みのコンパクトさで、類をみないハンドリングのマシンが誕生したのだ。

ライバルを横目に軽量コンパクト路線を守りながら熟成を重ねる

300km/hがチラつくリッタークラスのフラッグシップ人気は根強く、1992年にCBR900RRがデビューした直後はそれほどのインパクトはなかった。
しかし実際にヨーロッパやアメリカのワインディングで、CBR900RRがみせる高い運動性能と圧倒的なハンドリングの違いは明白で、ミドルクラスのユーザーも巻き込んで瞬く間にヒット作となったのだ。
前輪をウイリーも含めた急激な加減速による荷重変化の大きさを吸収するため、ワイド化しつつ16インチと小径に収め軽快さをキープ、当時は既に倒立フォーク採用のマシンも存在したが、重量的な面としなやかで細かな作動性で優位な高剛性の正立フォークを敢えて採用しているこだわりが功を奏していた。

1994年モデルでは、アッパーカウルのステーを鉄からアルミへ、シリンダーヘッドカバーをマグネシウム化と軽量化を押し進め、丸形2眼だったヘッドライトを「タイガーアイ」と呼ばれる異形2灯ユニットとしてフェアリング形状を一新、マフラーのサイレンサー部分で黒塗装を廃止した。

1996年モデルではシリンダーのボアのみ71mmへ1mm拡大、918.5ccで128PS/10,500rpmと9.3kgm/8,750rpmと中速域からピークまで力強さを増し、車重を183kgと軽量化している。

そして1998年モデルでは最新RC45(RVF750R)で実績を積んだアルミ系複合メタルスリーブを採用するなど80パーセントの構成パーツが見直され、130PS/10,500rpmと9.4kgm/8,500rpm、フェアリングも変更となり車重も180kgまで軽量化が進められた。
この3代目がキャブレターを搭載したこのシリーズ最後となり、FireBladeの愛称と共にCBR929RRへとモデルチェンジされた。

その後、2002年にはCBR954RRとして国内販売もされたのはご存じの通り。
この革新的な900ダブルアールが、スーパーバイク・レースを含め750ccから1,000ccがスーパースポーツの標準となる流れのきっかけをつくったのは間違いない。
既存の組み合わせでベストといわれる定説を覆し、新たにベストな構築へチャレンジする重要さと、これにトップメーカーのホンダが取り組んでいたことが忘れられない。

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