電気代の高騰の影響で、蓄電池に注目が集まっています。3年前にオール電化住宅を建てた当初は年間を通して光熱費が黒字だったのに、急激に収支が悪化…。そんな経験をしたライターは、対策として蓄電池をあとづけすることにしました。費用は、補助金を活用して70万円。1日で完了した工事の詳細をレポートします。

10万円以上黒字だった光熱費が売電価格を上回るように

筆者は、4年前にハウスメーカーで家を建て、妻と2匹のネコたちと暮らしています。家は延床面積27坪の総2階。屋根に太陽光パネル(屋根一体型)、10.08kW(10kW未満申請)搭載した、オール電化住宅です。

家を建てた当初、まだハウスメーカーのオリジナルの蓄電池が発売されておらず、採用できませんでした。そのため、日中に発電し、余った電気は売電。そして、深夜にお得な電気料金プランを契約し、食洗機や洗濯機、エコキュートは深夜電力を使っていました。

当初はこの電気の使い方で、光熱費(電気代)は年間10万円以上の黒字でした。ところが、入居から2年ほどした頃から電気が高騰。燃料費調整額と再エネ賦課金が高くなったため、買電価格が売電価格を上回るようになってしまったのです。

そこで、深夜に稼働していた家電(食洗機・洗濯機・エコキュート)を、太陽光パネルが発電する時間帯に変更。売電から電気を使う「自家消費」にシフトしました。

発電した電気を24時間使えるようにしたい!

深夜電力で稼働させていた家電を、「自家消費」にシフトしても、売電は適度にあるとわかりました。

売電できる電気があるなら、蓄電池を導入して夜にも使えるようにしたい! そう強く思うようになり、蓄電池をあとづけすることにしたのです。

それに蓄電池があれば、停電時も電気を使うことが可能に。東日本大震災のようなことがあっても、夜真っ暗な中で過ごさずにすみそうです。

蓄電池のあとづけ工事は1日で完了!

蓄電池のあとづけ工事は、1日で完了しました。朝9時から始まり、15時過ぎには終了。わが家の太陽光発電のパワコンが、蓄電池にも使用できるものだったので、そのぶんの作業時間が短くなっています。

当日はハウスメーカーの担当者さんと、電気業者さん1名で来訪。分電盤がある洗面脱衣所へ筆者が案内し、そこで工事の説明を受けました。

まず新しい分電盤の開封と配線確認

ここからは工事の内容を、順を追ってレポートします。

●室内に取りつける新規分電盤を準備

既存の分電盤の下へ新しい分電盤を増設します。増設作業自体は、工事終盤の作業。ですから、ここでは箱をあけ新しい分電盤(写真)の確認と準備をしていました。

●パワコン配線確認

次は、外のパワコンから分電盤の位置へ配線ルートの確認です。

床下点検口からも配線を確認していました。

屋外に移動し蓄電池の取りつけ作業

確認作業が終わったら、外に移動。蓄電池を置く基礎づけ架台の、取りつけ作業が始まりました。

●基礎づけ架台の取りつけ

外壁に穴をあけてからボルトを固定して、基礎づけ架台が設置されました。

写真は、基礎づけ架台ができ上がった様子です。

●蓄電池を搬入

ちょうどこのタイミングで、蓄電池が届きました。

重さ140kgある蓄電池を、人力で基礎づけ架台の上に載せています(写真)。てっきりクレーンでつるのだと思っていたので驚きました。

蓄電池とパワコンをつなぐ間、発電は遮断

蓄電池を設置したら、次は、パワコンとの接続系統をつくる作業に移ります。

●パワコンと蓄電池の接続系統をつくる

パワコンと蓄電池の接続系統をつくる作業中、パワコンと太陽光パネルの連携を遮断することに。ですから、太陽光パネルの発電は使えなくなります。

作業が終わるとお昼休憩に。午後から室内で、新規分電盤の増設作業に入る説明を受けました。

新規分電盤増設して、通電したら工事完了

午後は、室内の作業に。まずは新規分電盤の増設作業です。上の写真は、新規分電盤の増設箇所の壁をカットしているところ。

新規分電盤の一部を仮づけし、配線を通します。

●分電盤の電気配線作業中は停電

ここから、分電盤の電気配線作業に入るため、停電になりました。停電は1時間ほどでした。

●充電が始まったことを確認して工事完了

既存の分電盤の下に新規分電盤が設置され、2台並びました(写真)。停電を解除し、いよいよ通電です。

業者の人が、蓄電池の電気系統がつながったことを確認。次に筆者がスマホにダウンロードしていた専用アプリから、「蓄電池残量補正」を実行しました。

これは一度、蓄電池の充電を100%にするためだそうです。充電がスタートしたことを確認し、蓄電池のあとづけ工事が無事終了しました。

設置した夜から稼働。かかった費用は70万円

あとづけ工事後は、一度100%満充電にする必要があるとのこと。そのため蓄電池を使用できるのは、そのあとになります。ちなみにわが家の場合、充電を開始したのが15時(工事終了直後)。満充電の100%になったのは20時でした。

蓄電池は、定格容量7.04kWhで実効容量は6.2kWh。あとづけ工事代を含めて75万5700円でした。わが家では自治体の補助金(補助金額5万円)を利用し、およそ実質70万円で蓄電池をあとづけすることができました。

蓄電池を設置後、光熱費の収支は大きく改善

上は、スマホの専用アプリ「パワーモニター」の画像です。「買った電気」の欄を見てください。0.0kWhという数字が!

蓄電池をあとづけしたことで、売電はしつつ、今まで買っていた深夜電気を、買わないですむ日もでてきました。

想定以上に買電量が減ったおかげで、今年の1月以降の光熱費は、黒字をキープできています。電気の高騰は、今も続いているため、蓄電池をあとづけしてよかったと思っています。