部屋を片づけたことで、人生が好転したエピソードを紹介します。「ゆっくりお部屋と心を整えながら、等身大でちょっとおしゃれな暮らし」をコンセプトに、インスタグラムで情報発信する整理収納アドバイザー・りるさんのケースです。整理・収納を学ぶきっかけになったエピソードや、心地いい部屋をつくるコツなどについてお聞きしました。

部屋を片づけながら、自分の心と向き合えるようになった

いわゆる“汚部屋暮らし”で、もともと片づけは苦手だったと言うりるさん。いつかは片づけたいと思いつつも、仕事が忙しく、片づけの方法もわからなかったため手をつけられなかったそう。そんなりるさんに転機が訪れます。

【写真】使いやすさとおしゃれさを両立したデスク収納

「適応障害と診断されて、大好きだった仕事を辞めることになってしまったんです。そのときは『もう自分にはなにもなくなってしまった』と思いました。気がつけば、残ったのは散らかった部屋だけ。そこで、まずは自分の居場所をつくらなくちゃと、整理収納について学び始めました」

部屋が片づいていくのとともに、心にも変化が。

「『しんどかったよね。でも、よくがんばったよね』と、自分自身に話しかけるようにひとつひとつものを片づけました。片づけの時間が、自分と向き合う時間になったんですよね。すると、現状を自然と受け止めることができて、どんどん心が軽くなっていくのに気がつきました」

「心が軽くなるのにともなって、『片づけって楽しいかも』と思えるようになりました。部屋がキレイになっていくのがわかるので、小さな成功体験を積み重ねていく感じですね。当時の傷ついた心に、片づけがマッチしていたんだと思います」

目指すのは、「使い勝手」と「自分らしさ」を両立した収納

部屋を片づけながら、心の調整ができるようになったりるさん。

「部屋がキレイになっていくなかで気がついたのが、いままでは『机の上が散らかっているからとりあえず片づける』といった感じで、使いやすさを考えた収納をしていなかったなと。そこから、使い勝手を意識した収納をするようになりました。ものを探さなくていい、使ったあとに戻すのも簡単。部屋もすっきりするのがすごいラクで心地よくて」

生活動線に合わせた収納に加え、もう1つ大切にしていることがあると言います。

「使いやすさを考えた収納はもちろん大切ですが、それだけではつまらないなと思ってしまって。これは、意識したというよりも気がついたら…という感じだったのですが、“自分らしさ”もプラスするようになりました。カラフルな色使いなど、部屋を見渡したときにウキウキできるようにしています」

提案するアイデアが、だれかの背中を押すきっかけになれば

オリジナリティがありながら、100円ショップのアイテムも活用するなど、等身大のおしゃれな部屋づくりを発信しているりるさん。インスタグラムの投稿テーマは、どのように決めているのでしょうか?

「普段の投稿は、自分自身のリアルな悩みがネタ元になっています。『この部分を使いやすくしたいな』と思ったら、使うアイテムや整え方をいろいろと調べますが、紹介されている方法をそのまま採用すると、どうしても居心地が悪くなってしまうことがあって。そこに、自分らしさをプラスすることは欠かせないですね」

「反対に、自分が発信する収納アイデアについても『よかったら試してみてくださいね』という気持ちで紹介しています。人それぞれ、しっくり来る収納は違うと思うので。紹介した収納アイデアに対して『片づけられずに困っていたので助かりました!』とコメントいただくのはもちろん、病気で休職されたり、同じような境遇の方から『私もなにか始めてみようと思いました』と言っていただけたときは、だれかの背中を押せたのかなと思えて本当にうれしかったです」

最後に、りるさんが考える「片づけのコツ」についてもお聞きしました。

「だれがみても片づいているということではなく、自分が心地いい、楽しいと思える部屋を目指すのがいちばんだと思っています。たとえば、“すっきり”という言葉1つをとっても、ものが少ないのも、ある程度物量が多くて使いやすいのも“すっきり”のゴール。それぞれの方にとって、見た目の“すっきり”と心の“すっきり”が合致するお部屋づくりに、私のアイデアが参考になればうれしいです」