ライフオーガナイザーとして、散らかったおうちを訪問することが多い下村志保美さん。お仕事をするうちに「片づけられない人の共通点」に気づいたそうです。今回は収納苦手さんが失敗しがちな収納方法や、「即捨てリスト」について教えてもらいました。

間違いその1:「収納用品」を先に買ってしまう

50代のライフオーガナイザー・下村志保美さんによると、片づけられない人は「3つの間違った収納」をやってしまいがちなのだそう。そのひとつとして、収納用品を先に買ってしまうことが挙げられます。

SNSで人気のすてきな収納や、通販サイトの便利グッズ、かゆいところに手が届きそうな収納用品を見ていると、「これを買えば片づくのか」とポチってみたことはあるでしょうか。

購入前にじっくりその画像を見てください。その収納の中にはどれくらいの物量がありますか? あなたが持っている量と同じくらいでしょうか?

この手の「片づいている写真」ってじつはそもそも、物量が少ないことがほとんどなのです。まずは自分が持っているものの量をしっかり把握して、それが全部入るのかを確認してから購入しましょう。入ったらラッキー、というのはもはやギャンブルです。

間違いその2:「移動」しただけで満足してしまう

机の上に出しっぱなし、ソファの上に置きっぱなし、床の上に散らかっている…。それらを重い腰を上げて一気に収納の中に押し込んで「片づけた!」と思ったのに、数日経ったらまた元通り。

その理由は単にものを机から、ソファから、床から収納へ「移動」しただけだからです。なぜ机の上に出しっぱなしになるのか、どうすればソファの上にものがたまらないようになるのか、なんで床の上に置いてしまうのか、その原因がなくならない限り、ものの移動の繰り返しになってしまいます。

そもそもの原因は、本来の収納場所が遠い、入れにくい、量が多すぎるなどがほとんどです。だとすればそれを改善しない限り解決しません。

収納場所が本当にそこでいいのか。持っている量が多すぎないか。一度見直してみましょう。

間違いその3:「完璧な収納」をつくってしまう

このケースがいちばん多いかもしれません。

たとえばリビングボードの収納の中をきれいに整理して、使いやすい仕きりなどを購入して収納完成! しかしその後、寝室からそのリビングボードに入れたいものが出てきた。

せっかくきれいにしたのに残念ですよね。これは収納の中を完璧に使いきって完璧な収納をつくってしまったからこその悲劇です。

収納を考えるときは、2割から3割の余白をつくっておくことを意識すると、多少ものが増えてきてもいきなり困ることはありません。

余白があるとなんだかもったいないように思いますが、買い物好きの家族がいる、よく贈り物が届く、ストック好きなどであれば、なおさら意識して余白をつくっておくようにしましょう。

「入れること」が片づけではない

片づけ収納というと、収納の中にものを収めることがゴールのように思ってしまいますが、私たちは暮らしの中でも収納の中からものを取り出し、また新たになにかを購入したり処分したり、ものの出入りが常にあります。

収納はスタート地点でありゴールではありません。そこから使ったら戻す、買ってきたら入れる、古くなったら処分するなどずっと収納とつき合っていくこと、それこそが片づけです。

片づけと掃除は別物

片づかない家や、片づいても散らかってしまう家はなにが原因なのでしょうか。

下村さんいわく「片づいていない家は、掃除と片づけがごちゃごちゃになって混乱していることが多いと感じます」とのこと。

「片づけ」とは、使ったものを収納の中に戻したり、ものの量を調整したりすること。

一方「掃除」とは、掃除機をかけたり雑巾でふいたりと、汚れを取り除くこと。

2つの別のことを同時に考えるから混乱します。

まずは床にあるもの、キッチンカウンターにあるもの、洗面台の上に置かれているもの、クローゼットからはみ出しているもの、これらを「片づけ」ます。

そうすると床が見えて掃除機はかけやすく、お掃除シートでさっとひとふきもしやすくなり「おうちのきれい」がかないます。

「片づけてから掃除」を徹底しましょう。

充電されていないブランド掃除機

吸引力で有名なコードレス掃除機を持っているのに、いざ使おうと思ったら充電がきれていて充電することからスタートしなくてはいけない、というのは「片づいてない家あるある」ではないでしょうか?

これは床に置いてあるものをどかしながら掃除機をかけていて、途中で挫折してしまうことが原因のようです。掃除機をかけっぱなしのまま床のものをどけたり、そのまま片づけに移行して掃除機の存在を忘れてしまうことも。

また掃除機がかけにくく面倒になり、しばらく掃除機を使わなかったりすると、いざというときの充電ぎれにも気づきにくい状態に。

掃除したいという気持ちはきれいなおうちづくりに大切なものですが、掃除機をかける前にまず、床のものをいったん片づけておくと防ぐことができます。

またお客様のおうちでは、洋服の山で遭難していたお掃除ロボットを救出した経験が何度もあります。家具などであればお掃除ロボットも避けてくれるのですが、柔らかい洋服の山の場合、ロボットがぶつかってそのまま上に洋服が被さってしまい…ということが原因と思われます。

どのケースも「家をきれいにしたい」という健気な掃除欲が逆に片づかない原因に。掃除をするためにはまず、床置きのものをなくすことが重要ですね。

捨てるものは「今、使っている」を基準に決める

片づけの基本は、まず不要なものを家の外に出すこと。「使える」「使う」を基準にすると捨てることは難しくなりますので、「今、使っている」を基準に決めていくと決断が早くなります。下村さんが選んだ「クローゼットで捨てていいもの」は以下になります。

1. ずっと片方しかないソックス
2. すぐ毛玉ができる服
3. やせたら着る服
4. 知り合いに見せたくない服
5. ボタンやファスナーがとめにくい服
6. 期限ぎれの防虫剤
7. 絡まって使いにくいハンガー
8. 多すぎる紙袋
9. 1年以上使ってないプチプラバッグ
10. どの洋服のものかわからない予備ボタン

キッチンで捨てていいもの

キッチングッズは欠けていても、またフタがなくても使えるかもしれません。期限がきれている食品も、実際はおなかを壊すことはないかもしれません。

だけどそれらによって「片づけたいのに片づかない」という別の悩みが出てきているのであれば、手放して本当に使いたいもの、食べたいものをキッチンに置いた方が暮らしの質が上がります。

1. 欠けた食器
2. フタがない保存容器
3. 固まってしまっている調味料
4. 汚れが落ちないエコバッグ
5. いつもらったかわからないお土産の佃煮
6. 多すぎるレジ袋
7. 黒ずんだふきん、タオル
8. コンビニでもらったスプーンやフォーク、割り箸
9. お刺身についてきたワサビやしょうゆ
10. 1年以上使ってないゆで卵メーカーなどの便利グッズ

即捨てリストですっきりした暮らしを

家にありがちですが、捨てても困らないもの、捨てるとすっきりするものを挙げました。リストにある「いらないもの」がなくなると、おうちが格段に片づきます。

捨てるときは心が痛みますが、その痛みは今後の衝動買いを抑えてくれるいちばんのお薬です。勇気を出して挑戦してみてください。